オピニオン/保健指導あれこれ
産業保健分野の保健指導の実践者と法
No.1 「日本産業保健法学会」始動!
日本産業保健法学会 広報委員会
2021年01月06日
学会が目指すもの
産業保健分野では、多くの活動が労働安全衛生法等の法令に基づくほか、メンタルヘルス不調その他の作業関連疾患の発生や対応を巡って法的紛争が発生する可能性があります。そのため、医療・保健の中では、特に法が業務の標準を規定している要素が大きい分野といえます。 そのような特徴のある産業保健分野において、関係者が「法」に受動的な姿勢でいると、「法」に使われてしまい、現場で新たに発生する様々な問題の解決に主体的役割を果たすことができません。そこで、本学会では、産業保健関係者が「法」に係る専門性を高め、「法」を能動的に使う技術と発想を磨くとともに、「法」の創造にもチャレンジしていきたいと思います。 産業保健と「法」の濃密な対話により、納得いく職業生活を送る人々を1人でも多く増やすことを、この学会の取組みの最終目的と位置付けています。学会員の構成
本学会の大きな特色の一つは、産業保健に係る多職種が参画し、連携して議論を積み重ねていくことにあります。産業医や産業看護職といった産業保健専門職の会員とともに、当然のことながら法律関係の専門家(法学者、弁護士、社会保険労務士等)が参画しています。 また今後は、人事労務担当者、労働組合関係者、カウンセラー、リワーク支援者など、様々な立場の方々にも参加を呼び掛けていきます。当面の検討課題
産業保健法学会は、問題解決志向と予防志向にその特徴があります。さらに、国レベルのマクロ領域から、各企業または個別事例のミクロ領域まで、幅広い課題を取り扱うことになります。とはいっても、社会のニーズをもとに、課題の焦点を絞って検討を重ねていく必要もあります。 そこで、当面の検討課題として、次の10の事柄を想定しています。 【検討課題:10の事柄】 ①経営者、管理者、産業保健の専門家、家庭、医療機関、リハビリ機関その他の外部専門機関、社会保険者、社会福祉施設など、様々なステークホルダーによる連携的な産業保健を促す法制度の在り方 ②多様で濃密な働き方の行き先、生じ得る健康問題と法的規制の在り方 ③兼業者や雇用類似の契約者の増加等に対応する安全衛生の確保策 ④これからの化学物質管理と法 ⑤診断学や病理学等の進化を念頭に置いた、脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定や治癒の判定基準 ⑥脳・心臓疾患や精神疾患以外の健康障害への労災補償の射程 ⑦健康情報の適正な取扱いの在り方 ⑧適正な休職・復職判定の在り方 ⑨パーソナリティや発達の問題が窺われる従業員への適正な対応の在り方(合理的配慮のありようを含む) ⑩ハラスメントへの実効的対応策2021年9月に学術大会を開催予定!第1回のテーマは”法知識を踏まえた問題解決を考える”
現在、2021年9月23日~24日に開催予定の「第1回学術大会」に向けて準備を行っています。また、ジャーナルの刊行や研修、認定資格試験にも取り組んでいく予定です。ぜひ多くの方々の参加をお待ちしております。
~「第1回学術大会」のお知らせ~
〇開催予定日:2021年9月23日(祝・木)~9月24日(金)
※9月25日(土)には研修会開催予定
〇会場:一橋大学 一橋講堂
〇概要・共通テーマ:法知識を踏まえた問題解決を考える
〇認定単位:本大会参加により認定資格単位が取得可能
大会長:近畿大学法学部教授 三柴 丈典
副大会長:自治医科大学名誉教授 香山 不二雄
事務局長:桜美林大学リベラルアーツ学群教授 種市 康太郎
★大会の詳細は下記HPにてお知らせします。
→日本産業保健法学会 第1回学術大会
・日本産業保健法学会
・日本産業保健法学会 Facebookグループ
→多職種間での交流を目的としたグループです。
「産業保健分野の保健指導の実践者と法」もくじ
著者プロフィール
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日本産業保健法学会 広報委員会
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