No.3 漬物に注目してみよう
きっと多くの方に「減塩」の二文字が浮かんだのではないでしょうか。
確かに食塩の取りすぎは体によくないです。けれど漬物ほど地域の食文化も如実にあらわしているものもないわけで、目の敵にするだけでなく、冷静に自分の担当する地域でどのような漬物文化があるのか知っておくことも大切だと思います。
とくに若い世代の方々は、核家族化が進み、嗜好の違いもあって自分の生まれ育った地域の食文化を理解していないケースも多々あります。減塩しましょう、漬物を減らしましょう、とやみくもに口にするだけでなく、
・いつ、どのくらいの量を作っているのか
・どのような味付けなのか
・いつ、どのように食べているのか
・なぜ作るのか
・なぜ食べるのか
など、漬物文化の背景を理解したうえで対策を練ることが重要だと思うのです。
では、その文化をどこで知るのか?
私はやはり、スーパーマーケットをオススメします。それでは今回も、いくつかの地域のスーパーを見てみましょう。
そこには1袋2kg単位の酒粕をはじめ、中双糖(黄ざらめ)、米ぬか、こうじ、みりん。さらに漬物入れ用の容器がズラリ並ぶ様は、さぁ、皆さん、漬物の季節ですよ!といわんばかりの状態です。

漬けるべき野菜もすごい売り方をしていました。実はこの漬物用品特設コーナーの手前、お店の入口のすぐ脇にブルーシートが敷かれ、そこに特大の大根と白菜が陳列・・・、いや、陳列というより積み重なっていたというべきでしょうか。
この季節の旬である大根ならL、2Lサイズが10~11本、白菜も2Lサイズが4玉をひとまとめにしていました。正直な話、持ち上がらないほど重たいです。

いったい誰がこんな大量の野菜を買うのだろう?疑問に思った私はお店の方に、とても珍しい光景ですよね声をかけました。すると、
「えっ、普通ですよね?」
お約束の答が返ってきたことは言うまでもありません。
しばらく観察していると、よく売れていました。お客さんたちも馴れたもので、多くの方々が軽トラックなどでお店に乗りつけ、お店の人に手伝ってもらいながら、これらの野菜を「どすん!」と積み込んで意気揚々と帰って行くのです。
あれだけ大量の野菜を漬けるなんていったい何人家族なのだろう?もしかすると、冬に野菜を食べるための習慣?
正確な理由は分からなかったものの、毎年同じような光景が繰り返されていることは理解できました。
つまり、この地で大量の漬物作りは大切な年中行事のひとつであり、作ること、食べることを制限するのはひと筋縄ではいかないことが分かります。安易に「漬物は体に悪いから」などと話をしても、簡単に受け入れてもらえないことも容易に想像つきますね。
また、漬物用の味噌や、味噌からとれる「みそたまり」と醤油を合わせた調味料もありまして、野沢菜をはじめ、肉や魚にも合うとのこと。実際の漬物を食べたわけではありませんが、なんだか味が濃そうだなぁーと思ってしまうのでした。

もうひとつ、こちらは坂城町(上田市の隣)で地元の方に普段どのような漬物を作っているのか披露していただいた時のものですが、定番の野沢菜から、大根、ごぼう、うり、なすなど、その種類の多さにビックリしてしまいました。聞けば、どこの家庭でも漬物はたくさん作り、お客さんが来るとたくさん並べ、お茶を何杯も飲みながらポリポリと食べる女子会(井戸端会議)をするそうです。これも完全に習慣なのでしょうね。

先ほど、長野では野沢菜が定番の漬物と触れましたが、その発祥の地といわれる野沢温泉村に行くと、野沢菜漬の名人と呼ばれる人がいました。早速訪ね、樽を見せていただくと、とても親切丁寧に漬け方や食べ方のアドバイスをしてくれました。
その時に感じたのは、この方々は心底愛情を持って漬物を作っているということでしたきっと他の多くの方々も単に食べたいからではなく、昔からの風習、文化として漬物を愛し、手作りのおいしいものを食べさせたいとの思いがあるのだと思います。そこまで知ってしまうと、安易に「漬物は控えましょう」と言いづらくなってしまいます。


だけど、もっと目を引いたのは、高山市のスーパーマーケットで見かけた大根漬でした。普通は白、あるいはウコンを使った黄色ですよね。それがなぜか赤カブと同じ色(写真の左側)をしていたのです。

不思議に思って聞くと、一般的な白い大根漬は不人気だったのに、赤カブ色の大根漬が登場した途端、売れるようになったといいます。
味で好みが分かれるのは理解できても、まさか色でここまで重要とは思いもしませんでした。食文化ってホント奥深いですね。
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