No.1 保健指導をやっていると本当に様々な対象者の方とめぐり合います
管理栄養士 (フリー)
佐藤 郁子
保健指導をやっていると本当に様々な対象者の方とめぐり合います。
今の保健指導の流れから、健診後、指導を受けるまでに大体6ヶ月程度経っており、健診結果を見ても忘れてしまっている人が多い中、自分なりに取り組み始めている人も少なくありません。
例えば、ストイックに取り組み体重は順調に減ってきているが、方法が自己流で間違っている対象者であった時、皆さんはどのような指導をしていますか?
先日、保健指導をした40代男性の事例です。健診時はBMI26.7 、復囲87cm、血圧・中性脂肪・LDLが高値です。第一印象は背の高いちょっとがっちりした方で、とても腹囲が87cmには見えません。
まず、保健指導用の問診表を受け取り、直近の体重と腹囲を確認しました。体重は健診時より12kgも減っていました。取り急ぎ、保健指導は今回が初めてとのことでしたので、保健指導の概略と目的、プログラムの内容等をひと通り説明し、話を始めました。
「健診したときより体重がかなり減っていますが、体調不良等何かございましたか?」という私に対し、「いや~健診で引っかかったでしょ?その前からまずいとは思っていたけど、健診結果を見て『やせよう』って本気で思ってダイエット始めたんだよね」と、待ってましたとばかり自分の成功談を自慢げ語り始める対象者さん。
「すごいですね」とちょっと大げさに驚きながら賞賛し、「それで、何をされたらこんなに体重が減ったのですか?」と聞いたところ、「朝・昼は食べない。どうしても我慢ができないときはシリアルバー1本」「大好きなお酒と夕食後のお菓子も全部やめた!!」とのこと。
「やり始めたらどんどん体重が減ってきたから、うれしくてがんばって続けたんだ」と身振り手振りを交えながら一所懸命話してくださるのを、頷きながらしばらく聞いていましたが、段々と勢いがなくなってきました。
そして、「実は先月までは今より2kgも体重が少なかったのだけど、全然減らなくなってきて。減らなくなるとストレスが溜まってお酒もお菓子も食べ始めたら体重が戻りました」と、先程と違って寂しそうな表情で話されました。
話が一段落したところで、私は「すごくがんばられたのですね。すぐに始められる方はなかなかいらっしゃらないですよ。すばらしいです」と労をねぎらい、「でも、ちょっと焦って体重を落としすぎましたね。もう少しうまく体重をコントロールする方法を一緒に考えていきませんか」と伝えました。