ニュース

肥満の多い国にいる日本人は肥満になりやすい? 運動指導がポイント

 海外に在留している日本人で、運動習慣のある人ほど、精神的の健康度が高いことが示された。
 神戸大学などの研究グループが、肥満問題が深刻化しているマレーシアに在留する日本人を対象に、運動習慣の有無や座位時間の長さ、精神面の健康度について調査した。
海外にいる日本人が運動を続けるのは難しい
 海外在留邦人数(3ヵ月以上の海外在留者)は年々増加している。環境や文化の異なる海外に在留する日本人は、国内生活者に比べ運動を継続するのが難しいと考えられる。

 また、日本人が海外に長時間在留していると、その国の生活習慣に順応しやすい。肥満の多い国では、肥満になりやすい生活習慣も共有してしまう可能性がある。

 マレーシアでは、アジアの中でとくに肥満問題が深刻化している国だ。調査によると、マレーシアの成人の肥満率(BMI 25以上)は13.3%で、日本(3.3%)の4倍に達している。

 マレーシアの肥満率は過去15年間で3倍に増加し、東南アジア主要国の中で最高となった。食事などの生活スタイルの欧米化や、自動車の普及とともに運動不足が増えたことなどが原因で、肥満の増加は社会問題になっている。
肥満の多い国にいる人は肥満になりやすい?
 アジア大洋州地域では、2型糖尿病や心血管疾患などの非感染性疾患(NCD)が、死因の約8割を占める。これらは、生活習慣を改善することで予防が可能だと考えられている。

 海外生活を長く送っている日本人が、その国の影響をもっとも受けて変わりやすいのは食生活だという。マレーシアへの在留が長くなるほど、食生活はマレーシア流になる。

 一方、運動習慣は当人が自覚をもってコントロールすれば、時間を増やすことができる。座位時間も短くできる。

 身体活動(運動やスポーツ、体を活発に動かす生活活動)を継続することは、肥満や2型糖尿病、高血圧やがんなど、さまざまな疾病の予防や改善につながり、要介護状態に陥るのを防ぐのにも効果的だ。

 一方で、長時間の座位行動は、肥満、2型糖尿病、心疾患の発症など、健康状態にさまざまな悪影響を及ぼす。
運動をして座位時間が短いほど精神面でも健康
 アジア地域は北米に次いで在留邦人数が多く、肥満の増加が問題になっている。それにともない高血圧、糖尿病、脂質異常症などの有病人口が急速に増加している。

 研究グループは、マレーシアのペラ州イポー市に在留する日本人130人(有効回答108人)を対象に、運動行動、座位行動時間、健康に関連する生活の質と、年齢、性別、就労の有無などの社会人口学的要因などを調査した。

 研究グループは「トランスセオレティカル・モデル」にもとづいて運動行動を調査し、運動習慣の違いによる、座位時間や健康関連QOL(生活の質)の精神健康度の差を明らかにした。

 「トランスセオレティカル・モデル(行動変容段階モデル、TTM)」は、人がどのように健康行動を変容するかを理解するために用いられる。もともとは、喫煙などの不健康な習慣的行動の変容を説明あるいは予測するために開発されたものだったが、現在では身体活動・運動行動の研究分野でも使用されている。

 その結果、運動をする習慣のある人は65.7%だった。20~30分以上の運動を週2~3回以上継続している人は、あまり運動をしない人たちよりも、1日あたりの座位時間が平均約135分短く、また、健康に関連する生活の質(精神的な側面)を表すスコアは平均約5.5点高い値を示した。
運動をいかに継続させるかが重要なポイント
 「海外で生活する日本人に対して、座位時間の軽減、および健康に関連する生活の質の向上のために、運動行動を定着させる方法について検討する必要があります。運動をいかにして定期的に、かつ継続させるかが極めて重要なポイントです」と、研究者は述べている。

 研究は、神戸大学大学院保健学研究科の井澤和大准教授、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授らの研究グループによるもので、国際学術雑誌「Gerontology and Geriatric Medicine」に掲載された。

神戸大学大学院保健学研究科
Sedentary Behavior and Health-Related Quality of Life Among Japanese Living Overseas(Gerontology and Geriatric Medicine)
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2019年02月20日
府民のための健活マイレージ「アスマイル」が始動 700万人の健康づくりを支援 大阪府
2019年02月20日
高カロリーの清涼飲料は肥満やメタボの敵 腎臓病のリスクも高める
2019年02月20日
認知症と腸内細菌が強く関連 認知症患者で少ない菌が判明 長寿医療研究センター
2019年02月19日
アルコールががんや生活習慣病を引き起こす「少酒の勧め」 全国生活習慣病予防月間2019 公開講演会 レポート
2019年02月15日
【書籍プレゼント】保健指導リソースガイド10周年特別企画 第1弾!『保健師と放射線 すぐ使える講義・演習・事例検討』を10名様にプレゼント
2019年02月13日
子宮頸がんは2000年を境に増加 世界では31万人超が死亡 専門家は「早期診断とHPVワクチンの普及が欠かせない」と強調
2019年02月13日
低所得が糖尿病リスクに 1.2〜1.4倍の格差 ストレスや就労困難が原因か?
2019年02月13日
地域活動に参加する高齢者はうつになりにくい ソーシャル・キャピタルの整備が必要 3万人を調査
2019年02月13日
「脂肪の味」は6番目の味覚 味覚に敏感になると食欲を抑えられる?
2019年02月13日
後期高齢者の6割が3疾患以上の慢性疾患を併存 後期高齢者約131万人分のレセプト情報を分析

最新ニュース

2019年02月21日
【参加者募集中!】第5回年次講演会/医療や保健指導の現場で役立つプログラム「スローカロリーのアンケート結果」も発表
2019年02月21日
【健やか21】梅毒予防に向けた啓発動画の作成について(東京都)
2019年02月20日
府民のための健活マイレージ「アスマイル」が始動 700万人の健康づくりを支援 大阪府
2019年02月20日
高カロリーの清涼飲料は肥満やメタボの敵 腎臓病のリスクも高める
2019年02月20日
虐待対策ワーカー配置など児童相談体制強化に向けた取組を強化―東京都
2019年02月20日
認知症と腸内細菌が強く関連 認知症患者で少ない菌が判明 長寿医療研究センター
2019年02月19日
アルコールががんや生活習慣病を引き起こす「少酒の勧め」 全国生活習慣病予防月間2019 公開講演会 レポート
2019年02月15日
【書籍プレゼント】保健指導リソースガイド10周年特別企画 第1弾!『保健師と放射線 すぐ使える講義・演習・事例検討』を10名様にプレゼント
2019年02月14日
風疹のワクチン接種と妊婦への予防を呼びかけ―先天性風疹症候群の報告を受け
2019年02月14日
【健やか21】シンポジウム「社会で守る子どもの安全 〜『ネットの声』を分析してみてわかったこと〜」3/3(日) 
2019年02月13日
子宮頸がんは2000年を境に増加 世界では31万人超が死亡 専門家は「早期診断とHPVワクチンの普及が欠かせない」と強調
2019年02月13日
低所得が糖尿病リスクに 1.2〜1.4倍の格差 ストレスや就労困難が原因か?
2019年02月13日
地域活動に参加する高齢者はうつになりにくい ソーシャル・キャピタルの整備が必要 3万人を調査
2019年02月13日
「脂肪の味」は6番目の味覚 味覚に敏感になると食欲を抑えられる?
2019年02月13日
後期高齢者の6割が3疾患以上の慢性疾患を併存 後期高齢者約131万人分のレセプト情報を分析
2019年02月07日
【PR】 【資料ダウンロード開始】健康的にダイエット! 保健指導で活用したい「おにぎりダイエット」のススメ
2019年02月07日
【健やか21】第71回「保健文化賞」の募集について
2019年02月06日
H31年度実施を目指す未就園児等全戸訪問事業で児童虐待を防止
2019年02月06日
特設ページ「妊産婦のための食習慣」を開設~健やか親子21公式HP
2019年02月05日
高齢者は運動をどこまでできる? 強めの運動でも楽しんで続けられる
2019年02月05日
宮城県がメタボ対策のアプリを配信 働き盛り世代に「あと1500歩 歩こう」
2019年02月05日
牛乳やヨーグルトの成分が炎症を抑制 血管を改善し脳の活性化にも効果的
2019年02月05日
母親のストレスが子どもの肥満に影響 生後1歳までがとくに重要との結果に
2019年02月05日
「適正受診が医療を守る~上手な医療のかかり方~」へるすあっぷ21 2月号
2019年02月03日
大人のがん教育への活用も。がん医療の現状とサバイバーの今をていねいに描くドキュメンタリー映画「がんになる前に知っておくこと」を鑑賞して
2019年01月31日
【健やか21】子ども予防接種週間(3/1~3/7)/低年齢層の子供の保護者向け普及啓発リーフレット
2019年01月30日
肥満より怖い「サルコペニア肥満」 食事と運動で筋肉低下を予防
2019年01月30日
糖尿病発症の予測アプリは「医療機器」ではない スマホアプリにも規制の波
2019年01月30日
健保組合加入者の37%が肥満 健診検査値で「リスクなし」は19% 健保連
2019年01月30日
すべてのがん患者は運動を治療として行うべき 運動が乳がん患者のQOLを改善 欧州臨床腫瘍学会
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,762 人(2018年12月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶