オピニオン/保健指導あれこれ
健康保険組合が挑戦したデータヘルス計画とコラボヘルスの推進

No.5 「日本初、世界初への挑戦:先進的な保健事業の実証事業」

内田洋行健康保険組合 事務長
中家 良夫
 何が問題で、何を実現したいのか
(データ分析と連動したプッシュ型の仕組みが必要)

 従来の保険者と加入者向けの健康管理ポータルサイトは加入者からのログインによって開始する「プル型」サービスが中心です。このサービスは実際のログイン率は低く、利用者は健康リテラシーの高い人が多いので本来ログインして欲しいリスク者は少ないのが現状です。健保組合側はあくまでも受け身の立場であるという課題を抱えており、「保健指導の質・量」の改善までには至りません。

 また、健診・レセプトデータの分析サービスも個人ごとの突合ができなかったり、年次での報告のためにタイムリーな保健事業の実施が出来なかったり、さらには医療従事者不在の場合には事業対象者の選定において質的判断が困難であるなどの課題があり、これらが戦略的な保健事業の実施を妨げています。

 これらの課題を解決する為に、専門性をもったデータ分析機能を持ち、且つ、加入者へ直接アプローチできる「プッシュ型」ヘルスケアICTサービスの開発と実証を(株)ミナケアと共同で実施しました。メールによるプッシュ型アプローチを実現させるために、No.4に掲載しましたコラボヘルス推進の中で、被保険者の社用メールアドレスを事業主と当健保で共有化したことが功を奏しました。




 UCHIDA元気LABOの威力は抜群(業務効率化、低コスト化)

 本システムを活用することによりデータ分析と保健事業のマネジメント(PDCAサイクル)の融合と効率化が実現し、これまでの年間のマネジメントサイクル(1年間のバッチ処理)が、月次サイクル(レセプト到着タイミングで)に短縮されたことにより意思決定のスピードが大幅にアップしました。

 健康リスク者を多彩な条件で抽出しアプローチできるので保健事業の多様な企画が可能になり、また、外部委託せずに低コストでPDCA(対象者抽出→保健介入→効果検証→課題整理)を回すことが可能となりました。これまでの保健指導は保健師が行うハイリスクアプローチに限定されていましたが、本システムを活用することにより事務職が行うポピュレーションアプローチが可能になり保健事業の効率化が実現しました。

 また、ミナケアロジックを使用することにより、肥満、喫煙、血圧・血糖・血中脂質(保健指導対象、受診勧奨対象、高緊急度対象)などのカテゴリーを選択するだけで対象者を簡単にリストアップできるので大変便利です。且つ、そのリストアップ対象者全員(リスク集団)に対して、メール本文のみ作成すればその対象者(集団)に即座にメールが送れます。先進的な保健事業の実証では新規の8つのカテゴリーのアプローチ対象者を追加し、合計で約2,000名に対して保健介入を実施したところ、対象者の抽出とメールによる情報発信が効率化され「約98.9%の作業時間の削減」と「約90.0%の外注委託費の削減」が実現しました。これは凄いことです。日本経済新聞社の取材時に記者が仰った「本システムは、日本初、いや世界初であり、価値あり」のコメントが印象深く今も残っています。

 27年度の新たなチャレンジ(新たな7つの保健事業)

 実証事業の期間が1年と短く、本システムの改修・導入にも一定の期間を要したため、本システムの利活用による実質的な実証期間には制限がありました。また、本来は健診結果をもってアウトカム評価とすべきでありますが年度内事業としてはその実施までは至らなかったのです。

 平成27年度は生活習慣病の発症・重症化の予防を目的に保健事業の更なる強化を図り、本システムの積極活用も含め、新たに7つの保健事業(図をご参照)にチャレンジしております。そして、本事業の成果を多くの保険者へ継続的に伝え、データヘルス、コラボヘルス、健康経営の意義について浸透させるとともに、保健事業の効率化や改善を進めて業界の底上げを狙いたい。そして、世のため人のために貢献することができれば誠に幸いです。

 当健保のホームページに「先進的な保健事業の実証報告書(UCHIDA元気LABO)を公開していますのでご覧ください。
 >>内田洋行健康保険組合ホームページ



*資料はこちらからPDFにてご覧いただけます。
 ・UCHIDA元気LABOの概念図
 ・実証検討委員会の構成メンバーと内容
 ・27年度新たに7つの保健事業にチャレンジ

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