オピニオン/保健指導あれこれ
健康保険組合が挑戦したデータヘルス計画とコラボヘルスの推進
No.10「日本国は大企業も中小企業も健康経営 ~まったなし!~ の時代に突入」
内田洋行健康保険組合 事務長
2016年09月12日
珍しや…当健保が加入全事業所から委託を受けてストレスチェックを実施
当健保は加入全事業所から委託を受けて、代行サービス事業者((株)アドバンテッジ リスク マネジメント)と業務委託契約を交わし、2016年9月からストレスチェックを実施致します。加入全事業所の人事・総務部門と協働して実施する体制は下記の図の通りです。
代表実施者は当健保の保健師(中尾京子)で配下に実施事務従事者を新たに配置し、事業所の産業医は共同実施者になります。50名以下の中小事業所で産業医非専任の事業所は代行サービス事業者の専門医面談を受けることになります。▶アドバンテッジ リスク マネジメントのHP http://www.armg.jp/
健康診断も同様ですが、ストレスチェックも健診での検査と同じでモニタリングに過ぎません。要するに、現状はどうかということを把握するだけです。重要なことは、ストレスチェックの結果を活かし、個人ごとの事後措置、集団(職場)ごとの集計・分析と改善活動、継続的な見直しと創意工夫による改善を実施することです。 今後の検討事項ですが、新たな投資が可能ならば個人の事後措置に対して医師、看護職、心理職などによる相談窓口を設置し、面接指導の勧めを行うことが重要であると思います。集団ごとの集計・分析の結果は、職場ストレスを改善するための重要な材料となり、リスク管理や生産性の維持・向上といった本質的な目的のために非常に有益な情報です。 今後は事業所の幹部や管理職は働く人のメンタルヘルスを改善するために、当健保が実施する職場ごとの集計・分析結果に基づいて職場単位の改善活動を今まで以上に充実させることが求められます。 お世話になっていますソーシャルアドバンス(株)代表取締役の伴裕美様からストレスチェック制度が良く理解できる本をご紹介頂きまして、夏休みに熟読しました。特に、第4章「結果を活かし、改善、継続する」に感銘しましたので本のタイトル、著者を紹介させて頂きます。人事・総務部門の責任者とストレスチェック制度を担当して実践されている方々にお勧めです。又、著者の亀田社長様はソーシャルアドバンスの顧問をされています。 ▶『ゼロから始めるストレスチェック制度導入マニュアル』著者:亀田高志((株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長・医師)発行所:(株)労務行政。
▶ソーシャルアドバンスのHP http://social-advance.jp/company/message/ (株)クリエーションアカデミー代表取締役の高井良雄様よりご案内を頂きまして、当健保の同志であります課長代理(山本小百合)と一緒に潤砂(じゅんさ)を使った『箱庭用具メルコム』を活用して『メンタルに優しい心の見える化』にチャレンジしました。
創作時間は一人30分強でした。とても肌触りが良く気持ちが良い潤砂を触りながら、私の想いを目の前で創造すると、脳がスッキリして、頭が軽くなり、心が和み、いつの間にかポジティブ・シンキングで活き活きとしている自分に気が付きました。 私が頭に描いたイメージは「今と昔」「都会と田舎」「時間と空間」「繋ぐ架け橋」「山・川・海と生物」「太陽と光」「宇宙とサムシンググレート」「科学と宗教の融合」「利他と自己」「心と魂」などで、創作した作品は下の写真です。同志の作品も含めて、クリエーションアカデミーのスタッフの皆様から素晴らしいコメントやご指導を頂き大変盛り上がりました。同志は、今回1回切の体験では無く、これからも何度も箱庭用具メルコムを使って自分の思いや夢を描いた作品を創りたいと意気込んでいました。 この箱庭用具メルコムは学校、企業の人事・総務部門、健康経営推進室、健康保険組合、自治体の保健室、病院、老人ホーム、介護施設などに導入が進んでいるとの事です。
皆様に於かれましても、一度、何処かでチャレンジして頂きましたら幸いです。
▶クリエーションアカデミーのHP http://www.meltcom.co.jp/index.php?id=5
『心』と『身体』の全体最適型の健康づくりに挑戦
加入全事業所から委託を受けてストレスチェックを実施する当健保は、定期健康診断(法定健診)も同様の方法で実施しています。当健保は『人間の両面』であります『心(メンタル)』と『身体(フィジカル)』の両方のデータ分析が可能となりました。
つまり、加入者全員の健診データ、レセプトデータ、ストレスチェック結果データ(被保険者のみ)の突合分析が可能となる訳です。過去から、企業の人事・総務部門と健康保険組合のお互いの悩みの種でありました『法律と組織による壁(制約)』を打ち破り、当健保は『理想的で、且つ、本質的でより有効な全体最適型の社員&家族の健康づくり』に挑戦することが可能となった訳です。
やったぞ!まるで夢のようです!(笑顔)。
近い将来、加入事業所の人事・総務部門との更なるコラボヘルス(協働)の推進により、加入者の欠勤データや労働生産性データなどの分析も行い、今注目されています『プレゼンティーズムの見える化』を実現したいと思います。
2015年度の経済産業省の健康経営度調査<結果サマリー>のメッセージを考察
(株)内田洋行の会長(柏原孝)が2014年2月14日に当時の社長ブログに『社員の健康づくり』を発信されました。(オピニオンNo.4夢を見た:コラボヘルスの推進(2015/09/14)をご参照) 会長からの健康メッセージに、『人材』を『人財』と位置付ける『ウチダグループの考え』からすると、『社員の健康管理』は『大きな経営テーマ』であり、今後は『健康経営の観点』から『取り組みを拡大する』と記載されています。私はこの胸が熱くなるお言葉に深く感謝しております。 経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課から届きました2015年度の健康経営度調査<結果サマリー>のメッセージを考察しますと、ウチダグループの健康経営推進の今後の課題は組織体制の強化であると言えます。その対応策は一般的に次の三つが考えられます。一つは、責任体制の明確化のためにCHOを設置する。一つは、推進・統括する組織として健康経営推進室(仮称)を設置する。一つは、専門家との連携・活用として管理栄養士、心理職、保健師などを増員することです。 卸業種では一般的ですが、ウチダグループも中小企業の加入事業所が多く、産業保健体制が脆弱です。従って、組織体制の強化は、事業所が個別最適型で健康経営推進室(仮称)の組織化を検討するのでは無く、例えば当健保内にグループ全体の健康経営『支援室』(仮称)を組織して、事業所の経営トップ(人事・総務部門、産業医を含めて)、労組と三位一体型(企業・労組・健保)の健康経営の推進体制を構築することが理想的と言えます。
加入事業所が『ホワイト500』や『健康優良企業・銀の認定証』が取れるように
支援
日本健康会議(2015.07.10)の『健康なまち・職場づくり宣言2020』で下記の宣言4・5が発表されました。
・宣言4:保健保組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業を500社以上支援
・宣言5:協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上 そして、宣言5の中小企業向けでは協会けんぽだけで無く、健康保険組合連合会・東京連合会、東京都、東京商工会議所など複数団体が協働して、『健康企業宣言』、『健康優良企業・銀の認定証』の制度を立ち上げました。 又、経産省からは『健康経営優良法人認定制度』を新たに立上げ大規模法人部門『ホワイト500』と中小規模法人部門で認定するとの発表がありました。
厚労省、経産省、自治体、関連団体などの一連の動きを見ると、日本国は大企業も中小企業も健康経営…まったなし!…が花盛りの時代に突入したと言えます。 誠に嬉しいではありませんか!ウチダグループは中小企業が半分以上であり、当健保は国に先駆けてデータヘルス計画にチャレンジし、コラボヘルスと健康経営の推進を積極的に実践中なので、このような新しい動きや制度は『フォローの風』となります。 その理由は三つあります。 一つは、当健保の職員2名が東商認証の健康経営アドバイザー(初級)の資格を2016年7月に取得して、加入事業所の健康企業宣言やホワイト500の取得に向けての支援が可能となったことです。資格を取得したのは、志高き課長代理(山本小百合)と私です。 一つは、当健保と加入全事業所のコラボヘルス(協働)の推進活動の結果として、健康企業宣言チェックシートStep1の5つのチェック項目は加入事業所が既に実施していることです。具体的には、2015年度から加入全事業所と協働して、新たな保健事業として(1)被扶養者の健診受診率79%を達成 (2)運動促進 (3)食事コントロール (4)禁煙キャンペーン (5)加入全事業所向けのストレスチェックなどを企画・実施し、本年度も継続的に実施しています。 一つは、健康経営を推進する文化の醸成を目的にウチダグループの10名の社長向けの健康経営プレゼンを実施して高い評価を受けていますので、加入事業所の経営トップの了解も得やすい環境にあることです。
(オピニオンNo.4夢を見た:コラボヘルスの推進をご参照) 常務理事(松井陽一)に健康企業宣言に関する国の新たな動きを報告し理事長(秋山慎吾)の了解を得まして、第2回UCHIDA健康会議(2016.09.28)で詳細内容を説明します。その後、加入全事業所の健康企業宣言の支援・サポートを行い、1年以内に健康優良企業の『銀』認定証の取得を目指します。
今、ウチダグループの健康経営推進の『歯車がゴトンと轟く音』が聞こえました。
「健康保険組合が挑戦したデータヘルス計画とコラボヘルスの推進」もくじ
- No.1 一体どうすれば良いのか、どのように財政・保健事業の改革を実行したのか
- No.2「国に先駆けてどのようにデータヘルス計画にチャレンジしたのか」
- No.3「学び:素晴らしい仲間との出会い」
- No.4 「夢を見た:コラボヘルスの推進」
- No.5 「日本初、世界初への挑戦:先進的な保健事業の実証事業」
- No.6 「当健保が主導で推進したコラボヘルスと健康経営の3つの成功要因(血流)」
- No.7 「生まれ変わる行動変容の習慣化(健康寿命の延伸に向けて)」
- No.8 「国を挙げた日本健康会議、ならば、UCHIDA健康会議の開催だ!」
- No.9 「歩く広告塔:世界メディアの取材/他」
- No.10「日本国は大企業も中小企業も健康経営 ~まったなし!~ の時代に突入」
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