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公衆衛生医、骨折で入院しました


(2016/11/01)
No.2 「文書主義」に驚く 患者自身よりも家族の重要視?
 モンスターペイシェント対策あるいは説明・理解・納得・同意

 入院患者になって「昔と変わった」と思ったことは表題の作業が行われることとその全体像でした。

 しかも患者自身である私よりも家族の重要視とも取れます。一言で言えば患者の自立性の無視と文書主義とも言える姿に驚いたのでした。


 ―手術のためのM病院―

 手術の説明は当然のことながら診断医(執刀医と同じ)から受けました。煩雑ですが列挙します。

「入院手術計画書」主治医から、同意署名は患者(または家族)。

「手術・治療・検査・その他治療に関する説明書」患者。

「手術・治療・検査・その他の治療に対する同意書」

(病状の説明。手術・治療・検査等の目的、必要性、方法。期待される効果と限界。施術等に伴う危険性と合併症。

実施しなかった場合の予後、予測。別の治療方法。

セカンドオピニオンの補償 7項目。

『説明』を聞いて『同意』します)医師から本人及び家族。

「輸血に関する説明書」医師から本人。

「輸血に関する同意書」医師から本人。

「麻酔についての同意書」医師から本人。

そして看護計画/評価書。

 すべてに同意して入院しました。ところで即日入院だったので早急に処理したいことが残っています。2週間ほどして外出したいと申し出たのですが、家族以外の付き添いは駄目と許可されませんでした。そして3週間でリハビリテーションのために転院します。

 ―リハビリテーションのN病院―

 ここでも同じ状況が繰り返されました。

「入院計画書」生理検査のデータを読みながら医師から本人。

「リハビリテーション実施計画」理学療法士から本人及び家族(長男)。

「リハビリテーション 総合実施計画書(1か月目)、(2か月目)」文書のみ、本人。

「看護計画(1安全な移乗動作ができる 観察項目10. 看護療法項目TP13.教育項目4. 2疾患の理解、状況判断動作ができるできる 観察9. 看護療法TP5. 教育4.7 3筋力 ADL低下により歩行転倒のおそれ―観察項目7.看護療法項目TP12.教育項目4)」
看護師から本人(約2時間)

 こんな状況で説明した、理解したとの証拠書類を揃えることに血眼になっていると写ったのです。例えばMからNに転院した時入院の手続きを済ませ案内されたベットに腰を下ろしたとき、まず訪れた看護師は姓を名乗った後すぐにでもたくさんの質問を浴びせてきました。

 その一つが前記の「看護計画」です。その項目はなんと70以上。実に2時間以上かかりました。その中には例えば「アレルギー食品がありますか」に「ない」と答えました。

 しばらく経つとまた同じ質問。さっき答えたでしょと言えば「これは栄養関係からの質問です」と。つまり一人の患者に多くの部門が個々に対面しているのです。最後に彼女に聞きました「ナースとしての仕事は?」。彼女は答えずに帰っていきました。

 さらには退院準備に自宅生活の問題点の有無を調査する「家屋調査報告書」が済むまでは退院許可は出せないとのこと。それについても家族もしくは本人(家族が先でした)つまりはここでも患者よりも家族と病院の関係を重視していました。

 私は子供が二人、幸いに二人とも車で1時間以内に住んでいますが仕事があるので求める時間に駆けつけることはおいそれとできません。退院後、自宅の近くの人にそんな実態を話していたら彼女は曰く「夫が健在だからいいようなものの私一人になったら、娘二人だが一人は名古屋で教員、もう一人はアメリカで世帯を持っていて呼び寄せは困難」といいます。

 これからの日本の社会は高齢社会です。

 65歳以上は現在25%、15年後には30% 3,300万人を超えます、そして65歳以上がいる世帯は2,400万世帯、その25% 600万世帯(人)が独居老人。有病率や要入院率は論じないとしても医療を受ける際の不自由さは拡大しそうです。

 長い間、国民の医療供給という分野に力を入れてきた者として将来の不安が高まります。願わくはもう少し患者本人の過去と現在を信用してほしいと思いました。でも、それには社会の寛容も必要なのかもしれません。

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