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くるみが生殖力を高める可能性 男性の健康を強力にサポート
2012.08.22
 不妊症は全世界で患者数が拡大していると言われるが、晩婚化が進む日本はさらに深刻な問題となっている。日本での不妊治療は女性側に偏っていることが多く偏見も強いのが現状だ。WHOによると、不妊の原因は男女双方に原因がある場合を加えると、約半分のケースで男性が関係するとしているが、男性側の対策はほとんどなされていないことが多いという。

 今回、男性が毎日ふたつかみほどのくるみを食べると、精子の活力、運動性、形態(正常な形状)が改善し、生殖力を高める可能性がある、とのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)看護学部による画期的な研究が、『バイオロジー・オブ・リプロダクション』誌の電子版サイト(ペーパーズ・イン・プレス)*に掲載された。植物性のオメガ3供給源が精子に与える影響を調べた世界で初めての研究となる。

* 全論文へのアクセス

くるみが精子を元気にした?!
くるみ
 長い歴史を通じ、食べ物は人間の生殖と結びつけられてきた。女性については、生殖の成功率を上げる食習慣や必要な栄養素がすでに特定されてきているが、男性の方は、従来の研究ではあまり明らかになっていない。

 今回、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)看護学部の研究チームは、男性が毎日ふたつかみほどのくるみを食べると、生殖力を高めることができるかを検討した。

 試験には、21∼35歳の男性117人が参加した。参加者を2群に分けて、一方の群には殻をむいた丸ごとのくるみ75g(約2.5オンス)を毎日の食事に加えてもらい、もう一方の群には通常の食事を続けながらナッツ類の摂取を避けてもらった。両群とも食事は基本的に西洋式だった。

 その結果、12週間後、くるみ群は対照群と比べて、精子の活力、運動性、形態(正常な形状)が改善したという。UCLAの看護学部およびフィールディング公衆衛生学大学院のウェンディー・ロビンス教授(Ph.D.、登録栄養士)は、「くるみを摂取した群で、精子のパラメーターに有意な改善がみられたが、食べなかった群では変化がみられなかった」と報告し、「くるみは、天然の植物性オメガ3脂肪酸であるアルファリノレン酸がきわめて豊富*。くるみが精子に良好な影響をもたらした原因はこれかもしれない。しかし、くるみはアルファリノレン酸だけでなく、抗酸化物質の含有量も多く、さまざまな微量栄養素も含んでいるので、これらが相乗的に作用するとも考えられる」と述べている。

 統計によると、受精不良や不妊に悩む全世界で7000万組のカップルのうち、30∼50パーセントは男性側に原因があるとされ、アメリカでは不妊に悩む男性は330万∼470万人(カップル6組中1組)と推定されている。「妊娠したい場合、女性だけが食べ物に注意すればよいというわけではない。今回の研究から、男性の食べ物も重要であることがわかった」とロビンス氏。

 「くるみの栄養組成を考えれば、この結果は当然だが、さらに高齢者を含め、あらゆる年代の男性や生殖障害に悩む男性に対するインパクトを考えるとすばらしい結果だ」とUCLAのヒト栄養センター、看護学部、医学部に所属するキャサリン・カーペンター(Ph.D.、公衆衛生学修士)も賛辞を送った。

 次のステップでは、不妊クリニックを受診しているカップルと協力して、男性がくるみ食をとるとカップルの妊娠率が高くなるかどうかを調べるという。こちらも、世界の注目が集まりそうだ。

 * 1オンス(約28g)のくるみの総脂質(18g)のうち2.5gが一価不飽和脂肪、13gが多価不飽和脂肪(うち2.5gが植物性オメガ3脂肪酸のアルファリノレン酸)。さらに、食物繊維が2g、タンパク質が4g、抗酸化物質が3.68mmol含まれる。
(出典:http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/cgi-bin/list_nut_edit.pl

くるみが前立腺がん対策となる可能性
くるみ
 さらに、くるみを毎日食べることが、男性の前立腺がんの予防や治療に役立つ可能性があるとの研究も発表されている。

 この研究は、米国のカリフォルニア大学デイヴィス校のポール・デイヴィス氏らが発表したもので、くるみを食べると、前立腺がんの成長を遅くすることができることが、動物実験の結果から示唆された。

 研究では、前立腺がんを発症するように遺伝子操作されたネズミに、1日3オンス(約85グラム)に相当するくるみを食べさせた。18週間後に、くるみを食べたネズミは、くるみを含まないが同量の脂肪を含む同じ食事をしたネズミと比べて、前立腺の腫瘍が小さく、成長が遅くなっていることを発見した。

 くるみを摂取したマウスでは、前立腺がんと強く関連するバイオマーカーのインスリン様増殖因子1(IGF-1)の血漿濃度が低下したことに加え、LDL(悪玉)コレステロールの低下、肝臓のメタボローム(IGF-1とコレステロールの主たる供給源である肝臓で生じる化学作用の総体)の明白な変化もみられた。

 デイヴィス氏は、「前立腺がんのあるネズミが、人間の男性が容易に食べることができる量のくるみを食べることで、がんの成長を制御できることが示された。これは、前立腺がん患者に有益である可能性を示す、非常に期待できる結果」と述べている。

 前立腺がんは米国の男性の約6人中1人に生じる重大な健康問題で、男性のがんによる死亡の主要原因となっている。今回の前立腺がんに関する研究では、くるみががん対策の手段にもなる可能性が示された。

(soshin)
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