ニュース
くるみを糖尿病の食事療法に活用 オメガ3脂肪酸などが豊富
2012年10月31日
くるみはナッツ類で抗酸化値がもっとも高く、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラル、食物繊維など、健康維持・増進に必要な栄養素が豊富に含まれる。くるみは、バランス良く栄養素を補給するのに適した食材だ。
くるみは、健康に良いと注目を浴びているオメガ3脂肪酸がナッツ類でもっとも多く含まれている。オメガ3脂肪酸は動脈硬化を防ぎ、コレステロール値、中性脂肪値を下げ、心臓病、がん、脳卒中、糖尿病、高血圧、肥満など、生活習慣病の予防・改善の効果があると報告されている。
糖尿病の食事療法では、脂肪のコントロールが重要となる。くるみが脂肪の摂取を改善する上で特にメリットの多い食品であり、スマートな選択となることを示した研究を、オーストラリアのウーロンゴン大学の研究者が2件発表している。
悪玉コレステロールが低下、善玉のHDLコレステロール値が上昇
くるみにはオメガ3脂肪酸や抗酸化物質が豊富に含まれている
もう1件の研究では、2型糖尿病患者がくるみを毎日の食事に取り入れると、良質の脂肪を摂取できるだけでなく、血糖コントロールも改善することがあきらかになった。この研究は臨床栄養の専門誌「European Journal of Clinical Nutrition」2009年4月号に発表された。
インスリン治療を受けていない過体重の成人糖尿病患者50人(平均年齢54±8.7歳)に、体重維持を目標とした低脂肪食の指導を受けてもらい、1日30gのくるみを摂取する群(くるみ群)と摂取しない群(対照群)に無作為に分けた。両群ともに1日の摂取カロリーは2000kcalで、脂肪のエネルギー量比は30%とした。
1年間にわたり食事療法を続けてもらったところ、両群とも飽和脂肪の摂取量は抑えられ、1∼2kgの体重減量を示したが、くるみ群では対照群と比べてオメガ3脂肪酸の摂取量が有意に多くなり、空腹時血糖値が有意に低下した。この効果は最初の3ヵ月で認められたという。
研究を指導したウーロンゴン大学スマートフーズセンター所長のリンダ・タプセル教授は「くるみにはオメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪が豊富に含まれるだけでなく、食物繊維やビタミンEなどの抗酸化作用のある栄養素もとれる。くるみ群ではインスリン値の改善も示されたことは、くるみに良質の脂肪が含まれていたことによる可能性がある」と説明している。
-
Including Walnuts in a Low-Fat/Modified-Fat Diet Improves HDL Cholesterol-to-Total Cholesterol Ratios in Patients With Type 2 Diabetes.
(Diabetes Care. 2004 Dec;27(12):2777-83.) - Long-term effects of increased dietary polyunsaturated fat from walnuts on metabolic parameters in type II diabetes.
(Eur J Clin Nutr. 2009 Apr 8.)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「栄養」に関するニュース
- 2023年08月28日
- 極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
- 2023年08月28日
- カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月15日
- スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
- 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年08月01日
- 肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要