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【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる

 コーヒーを飲む習慣のある人は、死亡や心血管疾患のリスクが低下することが、4.6万人を対象とした大規模な新しい調査で示された。

 コーヒーを飲んでいる人は、フレイルのリスクが低いことや、女性では健康的な老化を達成できる可能性が高いという調査結果も発表された。

 コーヒーに含まれるカフェインが代謝を刺激し、エネルギー消費量を増加させたり、コーヒーに含まれるポリフェノールなどが酸化ストレスや炎症を緩和し、血糖値を下げるインスリンに対する感受性を良くしている可能性を、研究者は指摘している。

コーヒーを飲む習慣があると死亡や心血管疾患のリスクが低下

 コーヒーを1日に1~2杯飲んでいると、全死亡と心血管疾患による死亡のリスクがそれぞれ低下するという大規模な調査の結果を、米国のタフツ大学が発表した。研究成果は「Journal of Nutrition」に掲載された。

 ただし、勧められるのは、ブラックコーヒーや、砂糖やクリームをあまり加えていないコーヒーで、そうしたコーヒーを飲む習慣は、1日1杯以上であると全死亡リスクの16%の低下、2~3杯であると17%の低下と関連しているとしている。

 研究グループは、米国全国健康栄養調査(NHANES)に参加した4万6,222人の成人の1999~2018年のデータを解析した。

 「コーヒーは、世界でもっとも多く消費されている飲みもののひとつであり、米国人の成人の半数は1日に1杯以上を飲んでいるという報告もあります。コーヒーが健康にどのような影響を与えるかを知ることは重要です」と、同大学栄養科学政策学部のファン チャン教授は述べている。

コーヒーを飲んでいる人はフレイルのリスクが低下

 コーヒーを1日に4~6杯飲む習慣があると、フレイルのリスクが低下する可能性があるという最新の調査結果を、オランダのアムステルダム自由大学も発表した。研究成果は「European Journal of Nutrition」に掲載された。

 「毎日のコーヒーの摂取と、老後のフレイルのリスクの低減のあいだに関連があることが示されました。コーヒーを摂取する習慣は、健康的な老化を促進する可能性があります」と、同大学公衆衛生研究所のマルグリート オルトフ氏は言う

 研究グループは、アムステルダム縦断老化研究(LASA)に参加した55歳以上の成人1,161人を対象に、7年間にわたり追跡調査を行った。

 体重減少、筋力低下、疲労、歩行速度の低下、身体活動の低下のうち3つ以上がある人をフレイルと判定した。

 その結果、フレイルのリスクは、コーヒーを1日4~6杯以上飲んでいる人で64%、6杯以上飲んでいる人で63%、それぞれ低下した。

フレイルを予防するために生活全体の介入が必要

 研究者は、コーヒーには抗酸化作用のあるクロロゲン酸などのポリフェノールが含まれており、炎症、サルコペニア(筋肉減少)、筋肉損傷などの予防に役立っている可能性を指摘している。

 またコーヒーは、血糖値を下げるインスリンに対する感受性を良くして、ブドウ糖の吸収の調節を改善している可能性もあるという。

 「ただし、高齢者がより充実した生活をおくれるようにするために、食事や運動などの生活全体の介入を検討することも重要です。年齢を重ねても健康を維持する方法について、多くの人が関心をもっています」と、オルトフ氏は付け加えている。

 なお、欧州食品安全機関(EFSA)は、1日に摂取するカフェイン量は400mgまでにするよう推奨している。これはコーヒー3~5杯分に相当する。

コーヒーを飲んでいる女性は健康的な老化を達成
約5万人の女性を30年間追跡して調査

 中年期にカフェイン入りのコーヒーを飲んでいた女性は、健康的な老化を達成できる可能性が高いという新しい別の研究を、米国栄養学会(ASN)も発表した。

 コーヒーは、女性の健康増進にも役立つ可能性があることが、約5万人の女性を30年間追跡した調査で示された。

 ただし、カフェインが含まれるコーラなどの他の飲料では、こうした効果は期待できないとしている。

 「カフェイン入りのコーヒーは、女性の身体と精神の両方の健康な老化に役立っている可能性があります」と、ハーバード公衆衛生大学院およびトロント大学医学部栄養科学科のサラ マダヴィ氏は言う。

 研究グループは、米国で実施されている大規模研究である看護師健康調査(NHS)に参加した4万7,513人の女性の1984年以降のデータを解析した。

 その結果、45~60歳の中年期に、平均して1日315mgのカフェインを摂取していた女性は、70歳以上まで生き、11の主要な慢性疾患に罹患せず、身体機能を維持し、認知機能障害や記憶障害などもなく、健康的な老化を達成できている割合が高いことが示された。

 小カップのコーヒー3杯、あるいは大カップのコーヒー1.5杯に、同じくらいの量のカフェインが含まれるという。

 「運動の習慣化、健康的な食事、禁煙といった健康的な行動と組み合わせることが必要ですが、1日にコーヒーを1杯多く飲むと、健康な高齢者グループの女性では、その後の人生で健康になれる可能性が2~5%高くなることが示されました」と、マダヴィ氏は言う。

 「これらの結果は予備的なものではありますが、小さな習慣を継続的に続けることが、健康に長期的に影響する可能性を示唆しています」としている。

 一般的に1日にコーヒー2杯くらいの量のカフェインの摂取は、ほとんどの人にとって安全だとしている。

Hold the Cream and Sugar: Black Coffee Linked to Lower Risk of Death (タフツ大学 2025年6月16日)
Coffee Consumption and Mortality among United States Adults: A Prospective Cohort Study (Journal of Nutrition 2025年7月)
New research suggests drinking coffee may reduce the risk of frailty (Peer-Reviewed Publication 2025年4月29日)
Habitual coffee consumption and risk of frailty in later life: the Longitudinal Aging Study Amsterdam (LASA) (European Journal of Nutrition 2025年4月24日)
Brewed for longevity: drinking coffee linked with healthy aging in women (米国栄養学会 2025年6月2日)

[Terahata]
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