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くるみで心臓の健康づくりも 不飽和脂肪酸など栄養バランスが抜群

 くるみは、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質をバランスよく豊富に含む健康的な食品だ。また、ナッツ類では唯一、心臓の健康によい植物性オメガ3(n-3系)脂肪酸のαリノレン酸も豊富に含まれる。

 脂肪にはいくつかの種類があり、それぞれ性質や含まれる食品が違う。脂肪は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別される。そして、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、さらに、多価不飽和脂肪酸は「n-3系」と「n-6系」に分けられる。

 この「n-3系脂肪酸」には、中性脂肪の低下や、血小板の凝固を防ぎ、血液をサラサラにする効果があると報告されており、EPAやDHAで知られる青魚(イワシ、サバ、ニシン、サンマ)や、ナッツ類では唯一くるみに多く含まれている。

くるみ
 2009年、米国栄養学会学術誌「The American Journal of Clinical Nutrition」に発表されたカリフォルニアのロマリンダ大学で行なわれたくるみ食と魚食の比較による研究では、くるみ食が魚食以上にコレステロールを低下させ、一方で魚食の脂肪が中性脂肪(トリグリセリド)を低下させることが明らかになっている。

 研究は、正常∼軽度の脂質異常症患者25人を対象に行われたもの。研究チームは対象者を(1)くるみ(42gを毎日摂取)、(2)魚(シャケ113gを週2度摂取)、(3)ナッツ類も魚も含まない対照食をとる、の3種類の食事グループに無作為に振り分けた。8週間たった時点で別の食事に切り換え、合計24週間続けてもらった。

 その結果、食事にくるみを取り入れた群は、対照食に比べて血中総コレステロールが5.4%、LDL(悪玉)コレステロールが9.3%低下していた。魚食では対照食と比べて、中性脂肪を低下させ、HDL(善玉)コレステロール濃度が上昇していたという。

 「食事に1オンス(約28g)のくるみを取り入れると、血中総コレステロールとLDLコレステロールが低下するという結果となったが、これは、n-3系脂肪酸をはじめ、体によい栄養素が含まれているくるみをとることで、心臓病の危険性を減らす可能性を示すと考えられる。」とラヴァル大学栄養学部のヘレネ・ジャック氏は話す。

 「n-3系脂肪酸」は、細胞膜の構成要素であり、体の調整物質のひとつでもある。動脈硬化を防ぎ、コレステロール値、中性脂肪値を下げ、心臓病、がん、脳溢血・脳卒中、糖尿病、高血圧、肥満などの予防に効果を発揮する。

 現代人の多くが必須脂肪酸不足になっている。日本の厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』(2010年版)では、n-3脂肪酸の摂取量の目標値を決めており、1日あたり(18‐29歳)男子で2,100mg*以上、女子で1,800mg*以上としている。くるみ1オンス(約28g)には2,570mgの植物性オメガ3(n-3系)脂肪酸であるαリノレン酸が含まれるので、手軽な供給源としてくるみを日常の食生活に取り入れ、ぜひ健康づくりに役立てたいものだ。
 *このうち目標量ではEPA,DHAを1g/日以上摂取するのが望ましい

くるみ

[保健指導リソースガイド編集部]
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