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「乳がん」を早期発見 唾液をAIで高精度に検査 低コストな測定方法の開発へ

 帝京大学などの研究チームが、乳がんを早期発見する方法を開発したと発表した。唾液を「メタボローム解析」と「人工知能(AI)」で検査するというもので、研究チームは低コストの測定方法の開発を目指している。
浸潤性乳がんなどを166の唾液検体でメタボローム解析
 乳がんは日本人女性のがん罹患率の第1位となっている。乳がんの治療成績は良好であり、4人に3人は完治するが、より早期の段階で発見できれば治療成績をさらに向上でき、手術の縮小なども可能になると考えられている。

 乳がんを発見するためには、超音波やマンモグラフィーなどの画像検査や血液検査が行われるが、これらは感度や特異度に限界があるため、乳がんの早期には多くは陰性になってしまう。

 そのため早期でも高い感度で検出できる乳がんのマーカーが求められている。とくに日本は先進国の中でも乳がん検診の受診率が低いため、自覚症状のない女性でも簡便に受診しやすい、侵襲性の低い検査が必要とされている。

 そこで研究チームは「メタボローム解析」に着目した。メタボローム解析は、生体内にある糖やアミノ酸、脂肪酸などの代謝物を一斉に測定して定量する新しい技術。研究チームはこれまでに、唾液をメタボローム解析にかけ、がんなどの疾患を早期発見する技術の開発に取り組んでいる。

関連情報
唾液の解析のみで乳がんを高精度に識別
 今回の研究では、浸潤性乳がん(IC群)101症例、非浸潤性乳がん(DCIS群)23症例、健常者(HC群)42症例、合計166の唾液検体を収集し、メタボローム解析を実施。この方法では1回に測定できる物質数に限界があるため、多数の代謝物を測定できる装置を使い、できるだけ多くの水溶性代謝物を測定した。

 その結果、唾液から260種類の物質を定量化するのに成功し、そのうちの30物質の濃度に各群の間で違いがあることを明らかにした。また、IC群では、代謝物の一種であるポリアミン類などの濃度がHC群と比較して高い一方で、DCIS群ではこれらの物質の濃度は上昇しないことなどを突き止めた。

 このうちIC群とHC群の間でもっとも高精度に識別できた物質は、ROC曲線以下の面積で0.766(95%信頼区間;0.671-0.840)という精度で検出されたが、これらの物質群の濃度パターンをAIに学習させ、精度を0.919(95%CI信頼区間;0.838-0.961)にまで向上させるのに成功した。

 唾液の解析のみで乳がんを高精度に識別する検査方法を開発すれば、乳がんの早期発見に役立つ。そのためにより大規模な症例での検証が必要となるが、研究チームは今後、他の疾患との比較なども含めてさらなる精度向上を目指し、低コストな測定方法の開発を進めていくとしている。

 研究は、帝京大学医学部外科学講座の神野浩光教授が、東京医科大学低侵襲医療開発総合センターの杉本昌弘教授(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授)、慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器)の林田哲専任講師らと共同で行ったもの。研究成果は「Springer Nature」に掲載された。

東京医科大学低侵襲医療開発総合センター

Salivary metabolomics with alternative decision tree-based machine learning methods for breast cancer discrimination, Breast Cancer Research and Treatment(Springer Nature 2019年7月9日)
[Terahata]

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