オピニオン/保健指導あれこれ
「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」のご紹介
No.1 従業員の置かれた状況と地域保健との連携の必要性
東海大学医学部看護学科
2018年07月04日
労働者が年間10万人以上、介護離職をせざるを得ない状況に追い込まれている現状
10年後、20年後…従業員たちが高齢者になります
ここで、従業員本人に目を向けてみますと、10年後20年後、その従業員たちが高齢者になります。将来推計によると、2036年には高齢化率が33.4%となり3人に1人が高齢者です2)。厚生労働省は、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができることを目指し、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めています。 国民一人ひとりが地域保健・介護保険の各種サービスや医療等に関する知識を持ち、今の高齢者以上に主体的に活用しながら自宅で暮らし続けることが求められるはずです。そして、産業保健は就労期間だけを視野に入れて支援するのではなく、従業員の人生全体を視野に入れ、退職後も元気に暮らせるよう心身の健康を維持・増進する、また、必要に応じて就労期間から地域保健との接点を持ち、地域保健サービスを活用する術を身に付ける手助けをすることが大切だと考えます。 これまで介護の観点から述べてきましたが、何も介護に限定される話ではありません。厚生労働省は、第7次医療計画5)において「精神障がいにも対応できる地域包括ケアシステムの構築」を示しています。また、難病や身体障がいを持ったら・・・子どもが不登校になったら・・・虐待の可能性が疑われたら・・・と様々な場面で多機関の連携が重要になります。 次に示します図1のように、私は、地域包括ケアシステムの中には職場(産業保健)も一つの役割を担う機関として加わるべきだと考えています。従業員や住民が持つ様々な健康問題の解決に向けて共に機能していくことが必要だと思います。「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」を作成しました!
![](http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/opinion/images/mitsuhashi_opi_2.jpg)
【参考文献】
1)平成29年版高齢社会白書(全体版).厚生労働省. (2018年6月21日検索) 2)平成27年度介護保険事業状況報告(年報).厚生労働省.(2018年6月21日検索) 3)平成24年就業構造基本調査.総務省統計局.(2018年6月21日検索) 4)平成29年版 少子化社会対策白書(概要).内閣府.(2018年6月21日検索) 5)原澤朋史.第7次医療計画について.週刊保健衛生ニュース.平成29年6月26日;第1914号 6)地域保健法第4条に基づく基本指針.厚生労働省告示第464号(最終改正).2012 7)地域・職域連携推進事業ガイドライン (改訂版).厚生労働省 地域・職域連携支援検討会.2007 (2018年6月21日検索) 8)データヘルス計画作成の手引き.厚生労働省.平成29年9月( 2018年6月21日検索) 9)データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン.厚生労働省保健局.平成29年7月 (2018年6月21日検索) 10)三橋祐子, 錦戸典子.地域保健との連携における産業看護職のコンピテンシーに関する検討.日本産業衛生学雑誌.2017;第59巻4号:95-106「「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」のご紹介」もくじ
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