ますます重要度が増す、災害時保健活動の取り組み
東京都で「一斉帰宅抑制推進企業」取組事例集を公表
東京都は、このほど『令和5年度版 東京都一斉帰宅抑制推進企業 取組事例集』を公表した。都は東日本大震災を契機に一斉帰宅抑制推進を進め、ある一定基準以上の取り組みをしている企業や団体を「推進企業」、そのうち特に優れた取り組みに対しては「モデル企業」に認定している。
近年の深刻な気候変動や、地震などによる災害を背景に、災害産業保健の重要度は増してきている。今回公表された『事例集』は、一斉帰宅抑制という側面だけではなく、災害時に働く人たちの安全を守り、健康を支援していくためにどのような取り組みをしているか、いわば災害時保健活動の好事例集ともいえる。
東日本大震災を契機に
災害は、私たちの想像をはるかに超えて襲ってくる。「いざというとき」に備えて災害時の対策を進めることは、いうまでもなく重要だ。
まだ記憶に新しい平成23年3月11日の東日本大震災では、鉄道の多くが運行を停止し、道路でも大渋滞が発生。バスやタクシーなど多くの交通機関が麻痺した結果、東京都内では約352万人(内閣府推計)におよぶ帰宅困難者が生じた。
さらに、帰宅困難者が一斉に帰ろうとすると、大量の人が道路を埋め尽くし、救急車や消防車、警察などの緊急車両が通れなくなる。また余震や火災、建物崩壊など二次災害に遭う可能性もある。
そのため、東京都は平成24年に「東京都帰宅困難者対策条例」(平成25年4月施行)を制定し、従業員などの一斉帰宅の抑制を事業者の努力義務として定めた。そして、一斉帰宅抑制に積極的に取り組む企業等を「東京都一斉帰宅抑制推進企業」に認定し、そのうち特に優れた取り組みを進めている企業等を「モデル企業」に認定する制度を設けている。今年5月、都は令和5年度版の『取組事例集』を公表した。
4つのテーマ別に掲載された『取組事例集』
『取組事例集』では、平成30年から昨年度までに認定した39のモデル企業を含む推進企業140のうち、掲載協力を得た企業について、その取り組みがまとめられている。それら企業ごとに取り組んでいる事例を紹介しているほか、「備蓄」「訓練」「周知」「滞在・外出対応」という4つのテーマ別でも掲載している。
安否確認はもちろん、災害時のマニュアル作成や感染症対策、リモートワーク社員への対応など、従業員の安全や健康確保に向けてどのような取り組みが最優先になされているのか、参考になるものとなっている。
本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


