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職場の「燃え尽き症候群」にこうして対策 警告サインを知り早期に介入 「マインドフルネス」を導入

 燃え尽き症候群は、それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状。

 仕事のストレスと燃え尽き症候群は相互に関連しあっていることが分かった。燃え尽き症候群を防ぐことは、職場や労働者にとって重要だ。できるだけ早期に問題を発見し介入することが鍵になる。

 燃え尽き症候群を防ぎ、その早期警告サインを知るのに役立つ新しいツールが開発された。

 職場に「マインドフルネス」を導入すると、従業員のストレスや不安などを軽減でき、燃え尽き症候群を効果的に防げることも示された。

燃え尽き症候群の早期警告サイン こんな人が要注意

 燃え尽き症候群は、それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状。

 主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などがみられる。精神医学的にはうつ病と診断されることもある。

 燃え尽き症候群を防ぐことは、職場や労働者にとって重要だ。できるだけ早期に問題を発見し介入することが鍵になる。

 ノルウェー科学技術大学はこのほど、ノルウェーの労働者500人を代表サンプルとして調査し、燃え尽き症候群の早期警告サインを特定するのに役立つ新しいツールを開発したと発表した。

燃え尽き症候群の早期警告サイン
1仕事で精神的に疲れを感じている
2仕事に対して熱意を感じにくくなった
3仕事中に集中するのが難しい
4仕事中に意図せずに過剰に反応してしまうことがある

 「ノルウェーでは、仕事に関連した疲労に悩む人の割合は他国に比べて低いのですが、それでも労働者の13%が燃え尽き症候群のリスクが高いことが分かりました」と、同大学心理学部で労働・組織心理学を研究しているレオン デ ビア氏は言う。

 「燃え尽き症候群のリスクの高い労働者に対し、適切なタイミングで対処すれば、長期的に良い影響がでてくると考えられます」と指摘している。

仕事のストレスと燃え尽き症候群は相互に関連

 仕事のストレスと燃え尽き症候群は相互に関連しあっており、時間的なプレッシャーなどにより燃え尽き症候群が強まると、仕事で感じるストレスはより大きくなることが、ドイツのヨハネス グーテンベルク大学マインツによる別の調査で明らかになった。

 「燃え尽き症候群でもっともよくみられる症状として、夕方、週末、休暇といった通常の回復期間では解消できないほどの強い疲労感があります」と、同大学のクリスチャン ドルマン教授は指摘する。

 「さらなる疲労から自分の身を守るために、仕事とのあいだに心理的な距離をつくる人もいます。つまり、仕事とそれに関係する人々から遠ざかり、よりシニカルになりやすいのです」。

 「燃え尽き症候群に苦しむ従業員に対して、仕事のストレスとの悪循環を断ち切るために、適切なサポートをタイムリーに提供する必要があります」としている。

 研究グループは、燃え尽き症候群と仕事のストレスに関する、計2万6,319人の労働者を対象とした48件の縦断的調査を解析した。調査は欧州、イスラエル、米国、カナダ、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、中国、台湾など、さまざまな国で行われた。

職場のストレスや燃え尽き症候群に「マインドフルネス」で対策

 それでは、職場の燃え尽き症候群に対策するために、どのような方法が効果があるだろうか?

 英国のノッティンガム大学による研究で、職場に「マインドフルネス」を導入すると、従業員のストレスや不安、過剰な負荷を軽減でき、燃え尽き症候群を効果的に防げることが示された。

 マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。(1) いま、ここにある体験に注意を向け、(2) 自分の偏見や願望にとらわれず、出来事をありのままにみる、という2つの要素が重要になる。

 とくにデジタル化が進んだ職場で、マインドフルネスは効果的だとしている。呼吸法、ヨガ、ウォーキング、瞑想なども組み合せて、ストレス緩和やリラックスを実践することが、多くの人のメンタルヘルスの改善に役立つという研究は増えている。

 同大学心理学部などの研究グループは、英国のデジタル化が進んだ職場で働く142人の従業員から得た、インタビューにもとづく調査データを分析した。

 その結果、ストレスのネガティブな影響が少ないのは、デジタルが得意で、仕事に不安を感じることの少ない労働者や、マインドフルネスの高い労働者であることが示された。

 「多くの職場でデジタル化が進み、働き方も変化しています。従業員は絶えず進化するデジタル技術に適応しなければならず、そのことをストレスに感じることもあります」と、同大学のエリザベス マーシュ氏は言う。

 「企業などは、職場での心理社会的および身体的なリスクや、職場のデジタル化がもたらす危険を管理する方法を検討する必要があります。マインドフルネスによるストレス管理を学ぶことは、働いている人の健康を改善するのに役立つ可能性があります」としている。

マインドフルネスはメンタルヘルス改善に有用であることが示されている
日本でも神経性やせ症の女性の不安に対するマインドフルネスの効果を検証する研究が行われている
出典:京都大学、2023年

Burnout: identifying people at risk (ノルウェー科学技術大学 2024年2月15日)
The psychometric properties of the Burnout Assessment Tool in Norway: A thorough investigation into construct-relevant multidimensionality (Scandinavian Journal of Psychology 2023年12月25日)
Burnout Assessment Tool (ノルウェー科学技術大学)
Mindfulness at work protects against stress and burnout (ノッティンガム大学 2024年2月26日)
Mindfully and confidently digital: A mixed methods study on personal resources to mitigate the dark side of digital working (PLOS ONE 2024年2月23日) Burnout can exacerbate work stress, further promoting a vicious circle (ヨハネス グーテンベルク大学マインツ 2020年11月10日)
Reciprocal effects between job stressors and burnout: A continuous time meta-analysis of longitudinal studies (Psychological Bulletin 2020年)

[Terahata]