間食指導の意義と基本ポイント

「間食指導」の基本ポイント

 食事指導の中で、対象者の食生活を把握する際、食事記録や生活習慣の分析シートなどをもとに、どのような説明をされることが多いでしょうか。あまりに状態が良くない場合は、一定期間間食を禁止することもあると思いますが、そこまでではない時、あるいは対象者が間食に対して特別な思い入れがある場合、どのように共存していくかを一緒に話し合いながら方向性を検討していくことになります。間食は、食生活に彩りや潤いを添え、コミュニケーションの1つとしての役割も果たします。だからこそ、今後も食生活に活かしていただけるよう、健康に配慮した上手な選び方、食べ方の知識をお伝えしていくことが大切です。

 間食について対象者と考えていくために、基本となるテーマが3つありますので、ご紹介します。

1) どれを選ぶ?

「間食指導」の基本ポイント

 どのような食品を選ぶとよいかという意味では、乳製品や果物、野菜などが推奨されるところですが、家庭でデザートを作ればその量も調節しやすいのでお勧めです。しかし、実生活では働き盛りの会社員、独身、1人暮らしの方など、生活環境はさまざまで、市販品や専門店のお菓子、お店などを利用する機会は多いもの。現実的な線として、まずは食品の選び方、注意点をアドバイスしておくことが有用です。よく言われる注意点としては、

  • ●和菓子は、洋菓子よりも高カロリーになることがある
  • ●スナック菓子など食感の軽いものは、量の管理が必要
  • ●大袋やお徳用は注意(小分けタイプに)
  • ●清涼飲料水はやめる 等々

 とくに糖尿病予備群である境界型の人は、食後高血糖を起こすことが多いので、食後に血糖値が急激に上昇する清涼飲料水や糖質が多量に含まれる食品には要注意です。

2)どれぐらい食べる?

 食品のエネルギー量を知るには、市販のお菓子ならば、外箱や袋の裏にエネルギー量や糖質、脂質などの栄養表示が明記されているものが増えていますので、表示があるものをチェックして購入すると安心です。注意すべきは、専門店の洋・和菓子やお店のデザートなど、表示のない食品。エネルギー量は食品によって違いますので、まずは、間食としてよく登場する食品がどれくらいのエネルギー量であるかを、把握していただくことが大切です。

 目標とする1日の摂取エネルギー量の中から、食事量を控えたり、摂取品目を置き換えたり等の工夫や、どれくらいなら指示量オーバーの許容範囲となるか、また、摂取してよい日をどのように設けるかなど、対象者の生活スタイルや環境を配慮しながら、希望を確認しつつアドバイスすることが望まれます。

3) いつ食べる?

 3度の食後に上がった血糖値が、下がろうとし始めた(もしくは上がったまま)時に間食を行うと、再び(もしくは、さらに)上昇してしまうので、高血糖状態が続くことになります。間食を摂る時間として多いのは、10時、15時、夕食後・夜中。最もよくないのは、夜中と言われています。血糖が高いまま就寝することになり、下がりきらないまま起床を迎えることになります。

 どのタイミングにしても、摂取すれば血糖値は上がりますが、アドバイスとしてよく使われているのが、"3食の食事の一部として食べてしまう"、"活動量の高い午前中に食べる"などの工夫。前者は、1日の血糖上昇の回数を一定にすることと、食事と一緒に計算できるので摂取エネルギー量の把握と管理のしやすさという利点があります。後者は、食べた分をなるべく活動で消費しようという意識と同時に、摂取カロリーを消費するのは困難であることを実感してもらう、という意味合いがあります。

 お菓子などの嗜好食品は、単純糖質や脂質が高いことが多く、少量でも高エネルギーの摂取となり、目標となるエネルギー量がオーバーしてしまいがち。対象者には食後高血糖をおこす糖尿病予備群の方も含まれますので、糖質の摂りすぎによる脂肪蓄積を考えると、血糖値の動きを意識することが有用です。このようなポイントに注意しながら、どのように間食を上手に続けていくかを対象者と一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

2013年08月 公開

日本医療・健康情報研究所
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