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極端に「暑い日」が多いほど認知症発症リスクは高まる? 東京科学大学が高齢者データで検証

 東京科学大学の研究チームがこのほど、平年に比べて気温が大きく上回る「暑い日」の増加が、高齢者の認知症発症リスクを長期的に高める可能性があると示した。

 極端に暑い日は年々増加傾向にあることから、認知症予防の観点からも高齢者を暑さから守る対策が求められている。

暑い日の増加が翌年の認知症発症リスクを高める

 研究にあたったのは、東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 公衆衛生学分野の森田彩子准教授や藤原武男教授ら。

 近年は熱中症や死亡の増加など、暑さによる健康被害が問題となっている。これまでの研究では、暑さによる一時的な記憶力低下や、重度の熱中症を経験した人が認知症を発症しやすいことが報告されていた。一方、極端に暑い日の増加が認知症の発症にどのような長期的影響を及ぼすのかについては、ほとんど研究されていなかった。

 認知症になれば、記憶や判断力の低下によって日常生活に支障をきたし、家族にも影響が大きい。そこで研究チームでは「認知症の発症をできるだけ防ぐ対策が重要だ」として、日本全国の高齢者を対象に、暑い日の発生回数と認知症発症との関連を調べた。

 研究に用いたのは日本老年学的評価研究(JAGES)のデータ。対象者は、2016年度調査に参加した65歳以上の自立した高齢者のうち、同じ自治体に30年以上居住し、認知症の既往歴がない5万7178人。

 これらの参加者が3年間の追跡期間中に認知症を発症したか、あるいは死亡したかを介護保険データから確認した。また「暑い日」は、参加者が住む各市町村で過去30年間(1981〜2010年)に観測された5~9月の日平均気温のうち、上位10%に入る暑さの日のことと定義し、各市町村の気候データから発生日数を算出。そのうえで暑い日と認知症発症の関連を統計手法「3層ランダム効果ロジスティック回帰モデル」で分析した。

 その結果、居住地域で「暑い日」が合計30日発生すると、翌年度中に認知症を発症するリスクが約40%増加すると推定されたという。認知症と診断される前に、暑さの影響で死亡した人がいる可能性もあり、そのような人も含めて評価すると、認知症の発症リスクは最大で2.5倍(150%増)に達すると推計された。

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出典:東京科学大学

 また、3年前の暑い日は前年度の暑い日よりも強い影響を持つ可能性が示され、暑い日の増加は数年にわたり認知症発症リスクを高める可能性が示唆された。

 研究チームは「今後、気候変動による暑い日のさらなる増加が予測される中、高齢者を暑さから守る対策が認知症予防の観点でも重要」だと強調している。

暑い日の増加が高齢者の認知症発症リスクを長期的に高める可能性(東京科学大学/2026年1月8日)

[yoshioka]