ニュース

食後の15分ウォーキングが高血糖を抑える 糖尿病リスクが低下

 食後に血糖値が高くなる人は、毎食後に15分のウォーキングを行えば、血糖値を下げることができる。1日の中でまとまった時間をつくり集中的に運動するよりも、毎食後に運動した方が効果的であることが確かめられた。

 この研究は、ジョージ・ワシントン大学の研究チームが行ったもので、「食後の15分間のウォーキングは、高齢の方でも効果的であることが分かりました。食後高血糖を改善すれば、動脈硬化の進行を抑えられ、心筋梗塞や脳卒中の危険性を下げることができます」と研究者は述べている。

 研究に参加したのは、平均年齢70歳で糖尿病予備群(pre-diabety)と判定された高齢者10人だった。空腹時血糖値は正常であれば70~100mg/dLだが、参加者の血糖値は105~125mg/dLと高めだった。

 参加者に、カロリーメーターと呼ばれる運動量を正確にはかる装置を備えた部屋に2日間入ってもらった。1日目(コントロール日)は何も運動をせず安静に過ごしてもらった。

 2日目は、▽毎食の30分後に15分間のウォーキングを3回行う、▽午前か午後に45分間のウォーキングを行う――の2種類のパターンに分けて実験を行った。ウォーキングはすべてトレッドミルで、最高時速4.8kmの中程度の強度で行った。参加者は同じ標準化された食事をとり、48時間にわたり連続血糖値測定が行われた。

 結果は、もっとも高血糖が抑えられ、血糖変動の起伏が少なかったのは、毎食後に15分のウォーキングを行った場合だった。食後3時間の血糖変動においても、高血糖を抑える効果があらわれた。

 「食後のウォーキングによって、食後の血糖値の上昇が抑えられます。毎食後に歩くことが最適な運動法であることが分かりました。イタリアには"食後に歩くと体に良い"ということわざがありますが、それが正しいことを裏付ける結果になりました」と、ジョージ ワシントン大学のロレッタ ディピエトロ氏(公衆衛生学)は話す。

 「まとまった運動時間をとれなかったり、体力に不安があるという高齢者でも、毎食後の15分の運動であれば苦にならないはずです。散歩や犬の散歩の習慣のある人は、楽にウォーキングを続けられます。"運動をどのように行えばよいかわからない"という70~80歳の方にとっては良いニュースです」(ディピエトロ氏)。

 昼食や夕食後に眠くなり、テレビを見ながらうたた寝をしてしまう――こうした経験は誰にでもあるが、研究者によると、これがもっとも危険な生活習慣だという。ウォーキングは、特別な用意をしなくともどこでも行え、コストもかからないというメリットがある。

 ただし、15分という短い時間であっても、朝・昼・夕食の後に毎日ウォーキングを行わないと効果は期待できないという。また、体重減少を目的とした運動としては運動量が足りないおそれがある。

 米国糖尿病学会(ADA)によると、糖尿病予備群の段階にあり、肥満のある人は、体重を7%減らし、1日30分の運動を週5日行うことで、2型糖尿病を発症する危険性を58%低下することができる。

 この研究は、米国立保健研究機構と国立老化研究所が資金提供し行われた。

Moderate-Intensity Walking Timed Just Right Might Help Protect Against Type 2 Diabetes(ジョージ ワシントン大学 2013年6月14日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「運動」に関するニュース

2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
2023年08月15日
軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年08月01日
肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
2023年07月31日
歩きやすい環境に住む人はメタボ・肥満が少ない 運動・身体活動を促す地域環境をデザイン
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶