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2015年度の特定健診の実施率は50.1% 特定保健指導は17.5%で伸び悩み

 特定健康診査(特定健診)の実施率は、2015年度に50.1%となり、前年度に比べて1.5ポイント上昇し、年々向上しているが、国の掲げる全体の目標値である70%には届いていないことが、厚生労働省が発表した2015年度「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」から明らかになった。特定保健指導の実施率は17.5%だった。
特定健診の実施率は50.1%
 特定健診の2015年度の実施状況をみると、対象者約5,396万人に対し受診者は約2,706万人で、実施率は50.1%だった。前年度に比べて1.5ポイント、実施初年度(2008年度)の38.9%に比べ11.2ポイント増加しており、着実に向上しているが、国の掲げる目標値「70%以上」には届いていない。

 実施率を年齢階級別にみると、40~50歳代で高く、60歳以上で低くなる傾向がみられる。性別のみると男性が55.1%、女性が45.3%で男性の方が高く、女性では年齢による実施率に大きな差はみられなかった。
特定健康診査の実施率(性・年齢階級別)
 保険者別の実施率をみると、健康保険組合や共済組合において高く、市町村国保や国保組合、全国健康保険協会、船員保険において低いという二極構造となっている。

 もっとも高いのは健保組合(単一)の76.2%(前年度に比べて1.5ポイント増)で、共済組合の75.8%(同1.6ポイント増)だった。逆に実施率が低いのは、市町村国保で36.3%(同1.0ポイント増)、とくに大規模な自治体の運営する国保では29.1%にとどまり、前年度と同水準にとどまっている。
特定健康診査の実施率(保険者の種類別・性・年齢階級別)
 2017年度実施分からは各医療保険者の特定健診実施率が公表されることになっており、各医療保険者の積極的な取り組みに期待が集まる。
特定保健指導の実施率は17.5%
 2015度に特定健康診査を受けた人のうち、特定保健指導の対象者になったのは16.7%(約453万人)だった。対象者のうち特定保健指導を終了した人の割合は17.5%(約79万人)であり、前年度から0.3ポイント減少した。国の掲げる目標値である45%から乖離がある。

 特定保健指導の実施率低下については、全国健康保険協会で不審通信へ対処したこと、協会けんぽでシステムのネットワーク接続を遮断したことなどにより、健診結果のデータをシステムに効率的に登録できなかったことが影響している。

 実施率を年齢階級別にみると、40~44歳で14.8%ともっとも低く、45~64歳までは大きな差はないが、65歳以上で相対的に高くなっている。性別の実施率は、男性、女性ともに17.5%だった。
特定保健指導実施率(性・年齢階級別)
 さらに実施率を保険者別にみると、もっとも高いのは小規模な市町村国保で38.3%(前年度に比べて0.9ポイント増)、次いで、中規模な市町村国保24.3%(同0.6ポイント増)、単一の健保組合22.5%(同1.0ポイント増)となっている。
特定保健指導実施率(保険者の種類別・性・年齢階級別)
 厚生労働省は、特定健診・保健指導の実施率が低い保険者の取組を促すため、後期高齢者支援金の加算率(ペナルティ)を段階的に引き上げ、加算の対象範囲を拡大していく考えを示している。健保組合・共済組合では2018年度以降は、特定健診57.5%未満、保健指導10%未満に対象範囲を段階的に拡大、加算率を段階的に引上げる。国保では、特定健診実施率などに着目した新たな「保険者努力支援制度」を段階的に実施していく。

【特定健診の実施率目標】 市町村国保 60%以上、国保組合 70%以上、協会けんぽ(船保含む)65%以上、単一健保 90%以上、総合健保(私学共済含む) 85%以上、共済組合 90%以上。
【特定保健指導の実施率目標】 市町村国保 60%以上、国保組合 30%以上、協会けんぽ 35%以上、船員保険 30%以上、単一健保 55%以上、総合健保(私学共済含む)30%以上、共済組合 45%以上。
メタボ該当者と予備群の減少率は2.74%
 2015年度のメタボリックシンドローム該当者および予備群の減少率は2.74%であり、メタボリックシンドローム該当者および予備群はわずかに減少している。

 2015年度の服薬者のうちのメタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少率は3.6%増加している一方で、服薬していない者では12.7%減少している。特定保健指導の対象者は服薬していない者に限定されるので、特定保健指導に一定の効果があったと考えられる。

 特定健診受診者のうち、高血圧症・糖尿病・脂質異常症の治療に係る薬剤のいずれか1種類を服用している者の割合は18.9%、いずれか2種類を服用している者の割合は7.8%、3種類の薬剤を服用している者の割合は1.4%だった。

 また、メタボリックシンドローム該当者および予備群のうち、いずれか1種類の薬剤を服用している者の割合は30.4%、いずれか2種類を服用している者の割合は15.5%、 3種類を服用している者の割合は3.6%だった。

平成27年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況(厚生労働省 2017年7月31日)
[Terahata]
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