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父親の赤ちゃんに対する「ボンディング障害」 産後のメンタルケアが重要と指摘 エコチル調査

 東北大学は、父親の赤ちゃんに対する「ボンディング障害」のリスク因子を特定し、予防するために父親にも産後のメンタルヘルスケアが重要であることを明らかにした。父親のボンディング障害のリスク因子が、(1)母親のボンディング障害、(2)妊婦へのドメスティック・バイオレンス(DV)、(3)産後うつ――であることがをじめて示した。
 ボンディング障害を予防し、健やかな親子関係を構築するためには、父親のメンタルヘルスケアも重要だという。
母親だけでなく父親もおちいる可能性のあるボンディング障害
 研究は、環境省が実施している「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」を担当している宮城ユニットセンター独自の追加調査として行われた。エコチル調査は、環境省が2011年にスタートさせた、全国10万組の子どもとその両親が参加している大規模な健康調査。

 東北大学の研究グループは、エコチル調査の追加調査として、父親の赤ちゃんに対するボンディング障害と産後うつの頻度、それらのリスク因子を、前向き調査で検討した。

 「ボンディング障害」とは、出生後の赤ちゃんに対して「愛おしい」「守ってあげたい」という感情を抱けない状態。親が子どもに無関心であったり、拒絶する、怒りがあるなど、子どもに抱く感情をもてない障害だ。放置すると育児放棄や幼児虐待に繋がりかねないため、産後のメンタルケアにおいて重要な課題となっている。

 日本では近年、母親の産後のメンタルヘルスが注目されているものの、父親のメンタルヘルスについての研究は多くない。しかし、研究チームによると、母親のみならず父親もボンディング障害におちいる可能性があるという。

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父親のボンディング障害と産後うつの原因は
 研究グループは、まず産後1ヵ月の父親を対象に調査を実施。赤ちゃんへの気持ち質問票を用いて、ボンディング障害を評価した。

 この質問票は、子どもへ抱く気持ちについて調査する質問票で、得点が高いほど子どもへの否定的な感情が強いことを示す。なお、同調査ではボンディング障害の程度が高い上位約10%が含まれる点数を閾値とした。また、産後うつ評価としては、エジンバラ産後うつ病質問票を用いて、8点以上をうつ状態とした。

 産後1ヵ月の父親1,585名を対象に調査を行った結果、1,008名の回答が得られた。赤ちゃんへの気持ち質問票のうち、子どもへの情緒的絆の欠如4項目合計4点以上、子どもへの怒り・拒絶など4項目合計3点以上を陽性とした。陽性の頻度は、情緒的絆の欠如8.3%、怒り・拒絶7.9%、産後うつ11.2%だった。

 この研究によって明らかにされた主なリスク因子は――
(1)父親の赤ちゃんへの情緒的絆の欠如の項目については「母親の赤ちゃんへの情緒的絆の欠如」「妊婦への精神的なドメスティック・バイオレンス(DV)があった」「父親が産後うつだった」という3つだった。
(2)怒り・拒絶の項目については「母親が赤ちゃんに対して怒り・拒絶を感じる」「妊婦への身体的なDVがあった」「父親が産後うつだった」という3つだった。

 なお、父親と母親の赤ちゃんへの情緒的絆の欠如の項目と怒り・拒絶という項目については、それぞれの点数が緩やかな相関を示した。
母親のみならず父親の産後のメンタルヘルスケアが重要
 研究では、産後1ヵ月における父親のボンディング障害と産後うつの実態、それらのリスク因子が明らかになった。とくに、父親のボンディング障害のリスク因子が、(1)母親のボンディング障害、(2)妊婦へのDV、(3)産後うつであることが、国際的にはじめて示された。

 「児童虐待予防などの観点からも、産後うつも含めて、母親のみならず父親の産後のメンタルヘルスケアが重要であると考えられる」と、研究グループは述べている。

 研究は、東北大学大学院医学系研究科の西郡秀和非常勤講師、同大東北メディカル・メガバンク機構の小原拓准教授、同大大学院医学系研究科婦人科学分野の八重樫伸生教授らによるもの。研究成果は「The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine」電子版に掲載された。

東北大学大学院医学系研究科
Mother-to-infant bonding failure and intimate partner violence during pregnancy as risk factors for father-to-infant bonding failure at one month postpartum: birth cohort study of an adjunct study of the Japan Environment and Children's Study(Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine 2019年4月15日)
[Terahata]

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