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妊婦の半数以上が妊娠前・妊娠中に医薬品・サプリを使用 10万人を調査
2017年06月28日
妊娠前・妊娠中の女性の半数以上が医薬品やサプリメントを使用していることが、東北大学が日本全国の約10万人の妊婦を対象に行った実態調査で明らかになった。
日本全国約10万人の妊婦に「エコチル調査」を実施
この薬の使用実態調査は、東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センターの小原拓准教授(薬学)と西郡秀和准教授(産科学)らのグループによるもの。研究成果は、専門誌「Pharmacy」(電子版)に掲載された。
妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態およびその安全性に関する情報は非常に少なく、日本にはこれまで評価基盤がなかった。
そこで研究グループは今回、環境省の「環境と子どもの健康に関する全国調査」(エコチル調査)に参加した9万7,464人の妊婦における妊娠前・妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態を調査した。
このエコチル調査は、環境中の化学物質などが子どもの成長・発達にもたらす影響について調べている大規模調査。
国立環境研究所をコアセンターとし、国立成育医療研究センターをメディカルサポートセンターとして、大学など全国15か所のユニットセンターとの協働により、環境省が実施している。2011年から開始され、2011~2013年にかけて約10万人の妊婦をリクルートし、出生児が13歳になるまで追跡が行われている。
妊娠判明後から妊娠12週までに57%が医薬品・サプリメントを使用
その結果、妊娠前・妊娠中の半数以上が医薬品・サプリメントを使用していることが明らかとなった。
医薬品・サプリメントを使用した妊婦の割合は、妊娠前1年間では78.4%、妊娠判明後から妊娠12週までの間では57.1%、妊娠12週以降では68.8%だった。
使用された医薬品・サプリメントの種類は、妊娠前1年間では、「市販されている解熱・鎮痛・感冒薬」(34.7%)の使用が最も多く、次いで「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(29.8%)、「全ての抗菌薬」(14.0%)の順に多かった。
また、妊娠判明後から妊娠12週までの間では、「葉酸サプリメント」(28.9%)、「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(7.8%)、「漢方薬」(6.0%)の順に多かった。
さらに妊娠12週以降では、「葉酸サプリメント」(26.2%)、「子宮弛緩薬」(15.2%)、「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(13.3%)の順で多かった。
妊娠中の女性と胎児の双方の健康の確保が必要
今回の研究によって、多くの妊婦が妊娠中に医薬品・サプリメントを使用していることが明らかとなった。求められているのは、妊娠・授乳中の女性と胎児・乳児の双方の健康の確保だ。
処方する場合の情報源として医薬品添付文書があるが、多くの薬剤では妊娠中・授乳中の女性に使用することを禁じており実際的ではない。
胎児、乳児の安全のみを優先し、妊娠・授乳中の女性の健康を犠牲にすることは、結果として胎児、乳児の健康をも害する危険性があるおそれもある。
今後、妊娠中の医薬品・サプリメント使用の安全性の評価が行われることが期待されると研究者はまとめている。
東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)(環境省)
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