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広がるパーソナル ヘルス レコード(PHR)への取り組み 郡山市で研究事業を開始

第62回日本糖尿病学会年次学術集会
 医療・健康情報を収集し一元的に管理する仕組みである「パーソナル ヘルス レコード(PHR)」の活用に向けた研究が本格的に行われている。
 PHRは健康指標を改善するための切り札として期待されている。
パーソナル ヘルス レコード(PHR)とは?
 「パーソナル ヘルス レコード(PHR)」とは、患者の医療・介護・健康データを収集し、一元的に保存する仕組み。個人の健康に関する情報を1ヵ所に集め、本人が自由にアクセスでき、それらの情報を用いて健康増進や生活改善につなげていこうというもの。

 病院・診療所や検査センターから取得する診察・検査データ、保険者保有の特定健診データ、薬局から取得する薬剤データ、自己測定による血圧や血糖、体重などの数値のほか、食事や運動、服薬などの行動についても、スマートフォンのアプリに記録していく。

 スマートフォンやクラウドの普及とあいまって、PHRを本人の同意のもとでさまざまなサービスに活用することが考えられている。医療機関に提供すれば、医療の質の向上や業務の効率化がはかられ、患者はよりきめ細かい診療を受けられるようになり、医療費の適正化にもつながると期待されている。
PHRが次世代ヘルスケアの切り札に
 政府は、患者本位で最適な健康管理・診療・ケアを提供するための基盤として、全国的な「保健医療情報ネットワーク」の構築に向けた取組みを開始している。

 2018年に閣議決定をした「未来投資戦略」では、「次世代ヘルスケア・システムの構築プロジェクト」のひとつとして、PHRの推進をうたっている。具体的には、本人の健康情報や服薬履歴などについて、2020年度より行政ポータルサイトを通じてデータを提供できるようにすることを目指している。
個人の医療・介護・健康データであるPHRをさまざまな医療サービスに活用
活用に向けた基盤整備は進んでいる
 医療保険者における保健事業のモデルケースとして、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎臓病(CKD)などの主要な疾患に共通した検査項目について、標準化された検査データを保険者、検査センターおよび病院システムから収集し、疾患の重症化予防のための管理などに活用できる基盤の整備を目指している。

 それぞれ診療ガイドラインを策定している4学会(日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓学会)と日本医療情報学会などが連携して、「生活習慣病コア項目セット集」と、患者が自己管理をするために有用な項目セット「生活習慣病自己管理項目セット集」を策定している。
糖尿病の重症化予防に活用 郡山市の取組み
 福島県郡山市では2017年から、PHRを活用した糖尿病重症化予防研究事業に取り組んでいる。

 糖尿病の重症化予防を目的としたもので、国民健康保険加入者を対象に、スマートフォンアプリを活用して健康管理を有効に行えるかを検証している。

 PHRを活用すれば、いわば糖尿病手帳とお薬手帳をデジタル電子手帳にして、スマートフォンに入れたような状態になる。PHRは紙の手帳のように紛失することがなく、許可なく中身を他人に見られることもない。

 PHRを使って主治医や保健師などが連携して、正確なデータにもとづき、効果的な糖尿病の療養指導をリアルタイムに行っていく仕組みが考えられている。

 医療情報システム開発センターなどが郡山市で展開している研究事業では、糖尿病の合併症がある重症群を主な対象に、血液透析や失明などの重症化を遅らせることを評価指標としている。

 失明や血液透析の導入は患者の日常生活に大きな制限を与えることになり、血液透析の場合は医療費の負担も年間500万円以上に膨れ上がる。透析導入を防ぐことは、国民保健を運用する自治体にとっても大きなインセンティブになる。
糖尿病重症化予防PHRモデル(郡山市)
スマートフォンを用いたアプリなら続けられる
 糖尿病の治療には、食事や運動、薬の服薬遵守などの生活習慣の改善が不可欠だ。毎日携帯しているスマートフォンを用いたアプリであれば、患者の動機づけ、意識変容、行動変容につながり、自己管理を行いやすくなると期待されている。

 福島県では2010年の急性心筋梗塞の死亡率が全国ワースト1位になるなど、健康指標の改善が進んでいない。

 都道府県別受療率(人口10万人当たりの受療数)によると、糖尿病は170人、で全国ワースト8位。メタボリックシンドロームの割合も17.1%で全国ワースト2位。

 県は2016年度から県民運動のテーマに「健康」を掲げ、「食」「運動」「社会参加」の3本柱を軸とした取り組みを進めている。

 PHRを活用した糖尿病の重症化予防は、健康指標を改善するための切り札として目されている。

 デジタルで記録・管理するPHRであれば、医療機関や個人などがばらばらに持っていたデータを集約して、患者本人が自己管理できるようになる。医療機関と情報を共有することで、健康増進への取り組みが促進されると期待されている。

第62回日本糖尿病学会年次学術集会
郡山市国保におけるPHRを活用した糖尿病重症化予防研究事業(福島県郡山市 2019年3月14日)
健康・医療・介護のデータ基盤の構築に向けた総務省の取組(PHR関連)(首相官邸 2019年4月)
[Terahata]

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