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女性の大腸がんに女性ホルモンと男性ホルモンが影響 日本人女性4万人を調査

 エストロゲンなどの性ホルモンが女性の大腸がんの罹患に影響している可能性があるが、日本人4万人を対象とした「JPHC研究」で明らかになった。
性ホルモンが大腸がん罹患に影響を与えている
 大腸がんは、世界でもっとも罹患率が高いがんのひとつで、日本でもがん罹患数の順位が男性で3位、女性で2位、男女計で1位となっている。

 女性では、経口避妊薬の服用やホルモン補充療法を受けることで大腸がん罹患リスクを抑えられるという報告があり、女性ホルモンであるエストロゲンが罹患率の差をもたらしていると考えられている。

 また、日本を含むアジア諸国では、大豆の摂取量が高く、複数の研究を統合したメタ解析では、大豆またはイソフラボンの摂取により、エストロゲン濃度が14%上昇するという報告がある。

 血中の性ホルモンが大腸がん罹患に影響を与えている可能性があるが、閉経後女性を対象に血中エストロゲンと大腸がん罹患の関連を調べた研究は少ない。そこで、今回の研究では、閉経後の日本人女性を対象に調査した。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
大腸がんを発症した女性と発症しなかった女性を比較
 研究グループは、1993年に、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄、大阪の6保健所管内に在住していた40~69歳の女性約4万人を2012年まで追跡し、血中の性ホルモン濃度と大腸がん罹患との関連を調べた。

 アンケートに回答し健診などで血液サンプルを提供した45~74歳の女性1万1,644人を対象に、約12年の追跡調査を行った。期間中に197人が大腸がんと診断された。

 大腸がんになった女性1人に対し、大腸がんにならなかった女性から年齢・居住地域・採血日・採血時間・空腹時間の条件をマッチさせた2人を無作為に選んで対照グループに設定し、うち閉経後女性のみ(症例群:185人、対照群:361人)を対象に解析した。

 今回の研究では、卵巣から分泌されるエストロゲンのなかでも生理活性が高い「エストラジオール」、性ホルモンの輸送タンパクである「性ホルモン結合グロブリン(SHBG)」、黄体ホルモンである「プロゲステロン」、男性ホルモンである「テストステロン」をそれぞれ測定した。

 テストステロンは男性ホルモンだが、量は少ないものの女性の体内にもある。女性の副腎や卵巣から、わずかではあるがテストステロンがつくられている。

 今回測定したテストステロンは、SHBGと結合しているテストステロンと考えられているため、計算式を用いて結合していない遊離テストステロンを算出した。
テストステロン濃度が高い女性で大腸がんリスクが上昇
 その結果、テストステロン濃度が高かったグループで、低かったグループと比較し、大腸がんリスクが上昇することが明らかになった。また、遊離テストステロン濃度が高かったグループでも、同様に大腸がんリスクが上昇する傾向がみられた。

 エストラジオール濃度が高かったグループで、低いグループと比較し、大腸がんリスクが高くなる傾向がみられたが、統計学的な有意差はみられなかった。また、SHBG、およびプロゲステロンと大腸がん罹患の間には関連がみられなかった。
大豆などイソフラボン摂取量を少ないと大腸がんリスクが上昇
 さらに、イソフラボン摂取量が高いグループと低いグループに分け、SHBG濃度と大腸がんリスクの関連を比較したところ、イソフラボン摂取量が低いグループで大腸がんリスクが上昇していた。イソフラボン摂取量が高いグループでは、大腸がんリスクが減少する傾向が示された。

 また、イソフラボン摂取が低いグループでSHBG濃度と大腸がんリスクに有意な正の関連が認められ、イソフラボンの摂取量により、SHBG濃度と大腸がんリスクの関連は異なることが示された。「SHBG濃度が高いグループでは、SHBGに結合していないエストラジオールの濃度が低いと考えられる」としている。

 これまでの研究でも、イソフラボンを多く摂取することで、エストラジオール濃度が上昇することが示唆されている。イソフラボン摂取量が高いことにより、SHBG濃度が高い場合でも、大腸がんリスクが減少する可能性がある。
ホルモン補充療法で大腸がんリスクを抑えられる可能性
 研究では、テストステロン濃度が高い女性では、大腸がんリスクが上昇することが示された。閉経後女性を対象として行ったはじめての研究だ。

 閉経前の女性では、エストロゲンはおもに卵巣で合成されるが、閉経後は卵巣機能が低下するために、アロマターゼという酵素によって男性ホルモンから転換されて合成される。

 「テストステロン投与により大腸腺腫の発生を促進する可能性や、アンドロゲン受容体の遺伝子配列が大腸がん患者と健常者で異なることなどが報告されている」と、研究者は述べている。

 また、テストステロンの分泌はアロマターゼの働きによって調節されており、エストロゲンの一種であるエストラジオールの濃度が低いと、テストステロンが多く分泌される可能性がある。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Circulating sex hormone levels and colorectal cancer risk in Japanese postmenopausal women: The JPHC nested case-control study(International Journal of Cancer 2019年5月27日)
[Terahata]

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