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HPVワクチンは未接種者の感染も防ぐ

 子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンは、その接種を受けていない人も含めて、女性を保護していることを示すデータが報告された。米アルバート・アインシュタイン医科大学のJessica Kahn氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Pediatrics」に9月29日掲載された。

 HPVワクチンが導入されてから17年間のデータに基づくこの研究により、ワクチン接種を受けた女性では、HPV感染リスクがワクチンの種類により76~98%低下したことが示された。それとともに、集団免疫により未接種者でも感染リスクが72~76%低下していた。

 論文の上席著者であるKahn氏は、「われわれの研究には、二つの有望な結果が示されている。第一に、HPVワクチンは、HPV感染リスクが高いにもかかわらずワクチン接種を完了していない女性にも、驚くほどの効果を発揮することだ。第二は、集団免疫の明確な証拠が見られたことである。つまり、十分な数の人々がワクチン接種を受けると、ウイルスの伝播そのものが減り、未接種者を間接的に保護するという知見だ」と語っている。

 米国立がん研究所(NCI)によると、ほぼすべての子宮頸がんは高リスク型HPVの長期感染によるものであり、さらにこのウイルスは女性と男性の双方に、子宮頸がん以外のがんを引き起こすことがある。論文中に述べられている研究背景によると、米国ではこれまでに、2価、4価、9価という3種類のHPVワクチンが承認されてきており、それらのうち2016年以降も入手可能なのは9価のみであって、9価ワクチンは子宮頸がんの約90%の原因となるHPV株を標的としているという。

 今回の研究では、2006年10月~2023年9月に2,335人の女性(平均年齢18.9±2.7歳)を追跡調査した。このうち約79%が2人以上の男性を性的パートナーとして持ちHPV感染リスクが高いと考えられ、51%が少なくとも1種類以上の性感染症の病歴があった。前記の研究期間中のHPVワクチンの接種率は、82%に達していた。

 解析の結果、ワクチン接種の普及に伴いHPV感染は劇的に減少していた。論文の筆頭著者である米シンシナティ小児病院のAislinn DeSieghardt氏は、「データ解析の結果、感染率の低下は主にワクチンの導入によるものであり、性行動の変化やその他の要因によるものではないことが示唆された」と述べている。また前述のように、集団免疫を介してワクチン接種を受けていない女性も保護されたことが示された。Kahn氏によると、「集団免疫の確立は、ワクチン接種率が男女ともに上昇したことに関係している可能性が高い」という。

 Kahn氏はまた、「米国やHPVワクチン接種体制が広く定着している他の国々では、子宮頸がんの発生率はすでに低下している」と解説。「この極めて安全で効果的なワクチンの普及を促進し、検査と治療へのアクセスを確保することで、現代の公衆衛生における最大の勝利の一つ、すなわち世界中の子宮頸がんの撲滅を達成できる」と、同氏は結論付けている。

(HealthDay News 2025年10月1日)

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