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「抹茶」に不安を軽減する効果 抹茶の健康効果を解明し世界に発信

 抹茶に不安を軽減する効果があることを実験で明らかにしたと、熊本大学の研究グループが発表した。
 ドパミンとセロトニンの活性化を通じ、抹茶が抗不安効果を発現している可能性がある。
 ドパミンは神経を活性化し、セロトニンは気持ちを安定させてくれる働きのある脳内物質だ。
抹茶の健康効果を科学的に解明
 研究は、熊本大学大学院生命科学研究部薬物活性学分野の倉内祐樹助教、香月博志教授らの研究グループによるもの。詳細は「Journal of Functional Foods」オンライン版に掲載された。

 抹茶は日本をはじめ世界中で嗜好品として親しまれている。日本では古くから医薬品のように扱われていた歴史があり、美容効果やリラックス効果、抗肥満効果など、さまざまな作用があるとされている。

 研究グループは、抹茶の健康効果を科学的に解明しようと考えた。マウスの不安様行動を評価する行動試験である「高架式十字迷路試験」を用い、抹茶の抗不安効果を調べた。

 暗くて狭い場所(Closed arm)と開放的な高所(Open arm)にマウスを置き、それぞれの滞在時間や移動距離を測定した。抹茶を熱水で抽出したエキスを飲ませたマウスと、より抹茶成分が濃くなる80%エタノールで抽出したエキスを飲ませたマウスの行動を比較した。熱水で抽出した抹茶には水に溶けやすい成分が多く含まれ、80%エタノールで抽出した抹茶には比較的水に溶けにくい成分が含まれる。

 その結果、いずれもOpen armでの滞在時間や移動距離が長くなった。このことは、抹茶の成分を摂取することでマウスの抗不安活性が高まったことを示している。
抹茶を世界に伝承し新しい生活スタイルを提案
 抹茶および抹茶抽出物が不安を軽減させる効果には、「ドパミンD1受容体」と「セロトニン5-HT1A受容体」の働きが関与している。抹茶の摂取は、ドパミンとセロトニンの活性化を通じ、抗不安効果を発現していると考えられる。ドパミンは神経を活性化し、セロトニンは気持ちを安定させる働きのある脳内物質だ。

 抹茶の葉の栽培で行われてる棚式覆下という方法は、新芽が伸び始める4〜5月にかけて25日以上の期間、茶園に遮光棚を設け、黒い寒冷紗で覆いをして栽培するというもの。独特の鮮緑色および芳香のある茶葉を栽培できる。

 旨味の成分はアミノ酸類で、なかでもグルタミン酸、テアニン、アルギニンなどのアミノ酸が、光を遮ることにより1.5倍以上に増加するという報告がある。抹茶にはカフェイン、ポリフェノール(カテキン)なども含まれる。

 今後の研究で、抹茶の健康効果が解明されることが期待される。「日本人の日常生活に根付いている抹茶を世界に伝承することで、健康を増進する新しい生活スタイルを提案できる可能性がある」と、研究者は述べている。
熊本大学大学院生命科学研究部・薬学教育部 薬物活性学分野
Anxiolytic activities of Matcha tea powder, extracts, and fractions in mice: Contribution of dopamine D1 receptor- and serotonin 5-HT1A receptor-mediated mechanisms(Journal of Functional Foods 2019年8月)
[Terahata]
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