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魚をよく食べる女性は産後抑うつになりにくい 抑うつ症状は「心の疲れのサイン」

 富山大学は、妊娠期に魚をよく食べた母親は産後抑うつになりにくい傾向があることを明らかにした。「魚には妊婦と子どもにとって大切な栄養が含まれる」としている。
妊娠期の魚の摂取頻度の多さと産後抑うつ状態のなりにくさと関連
 妊娠中や出産後に、「気分が落ち込んで何もしたくない」いわゆる「抑うつ状態」になる女性は多い。ここでいう抑うつ症状とは"気分が沈んで気持ちがスッキリしない""気持ちがソワソワして落ち着かない"といった「心の疲れのサイン」を指している。

 これまで魚に多く含まれるDHAやEPAを摂取すると、うつになりにくいことを示した研究が報告されている。

 富山大学はこれまたで、エコチル調査の追加調査から、血中のEPA濃度が高い人ほど抑うつ状態になりにくいことや、妊娠中の魚の摂取が妊娠期および産後1ヵ月での抑うつリスクの低減と関連することを報告していた。そこで今回は、産後6ヵ月と産後1年における抑うつ状態との関連を調査した。

 エコチル調査は、子どもの成長・発達に影響を与える環境要因を明らかにするため、環境省が2011年より実施している疫学調査。妊娠期の母親の体内にいる胎児期から出生後の子どもが13歳になるまでの健康状態や生活習慣を追跡して調査している。

 その結果、産後6ヵ月では、魚の摂取がもっとも少ない毎日5.2g(中間値)に比べ、それ以上の量の魚を摂取する群では抑うつ状態が低減していた。また、産後1年では、魚の摂取がもっとも少ない毎日5.3g(中間値)より、それ以上の量の魚を摂取する群で抑うつ状態が低減していた。

 研究は、富山大学医学部公衆衛生学講座の浜崎景准教授らの研究グループによるもので、その成果は精神医学専門誌「Psychological Medicine」オンライン版に掲載された。

関連情報
魚には妊婦と子どもにとって大切な栄養が含まれる
 魚をよく食べている人は一般的に健康意識が高く、他の健康習慣の影響がある可能性があり、魚食習慣が単にそのバロメーターになっており、他の健康習慣の影響があらわれている可能性もある。

 そのため、「魚をよく摂取すると抑うつ状態にならない」とただちに結論付けることはできないものの、「魚に含まれるDHAは脳や神経にとって大事なものであり、子どもの発育に必要と言われています。そのため、妊娠中や授乳中のお母さんは、より多くのDHAを摂ることが推奨されています」と研究グループは指摘している。

 その他、DHAやEPAは、ぜん息やアトピーなどの炎症性疾患、認知機能、気分の落ち込みなどとの関連が示唆されており、現在、研究が進められているという。

 「魚は、n-3系多価不飽和脂肪酸以外にも、良質なタンパク質やミネラルなどを含み、妊婦さんにとっては栄養バランスの良い食材ですので、積極的に摂っていただきたい」と、研究グループは述べている。
富山大学 エコチル調査富山ユニットセンター 子どもの健康と環境に関する全国調査「エコチル調査」(環境省) 魚を食べると「抑うつ状態」になりにくい~妊娠中のお母さんとお父さんから見えた結果~ Dietary intake of fish and n-3 polyunsaturated fatty acids and risk of postpartum depression: a nationwide longitudinal study - the Japan Environment and Children's Study (JECS)(Psychological Medicine 2019年9月19日)
[Terahata]
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