オピニオン/保健指導あれこれ
保健指導サービスの質の管理

No.1 「保健指導サービスの質の管理」の基本

産業医科大学
森 晃爾
 質の管理の方法-PDCAを廻す
 どのようなサービスでも、マニュアルを作って、スタッフ研修を行っただけで、最初から非常に高い質が達成できるわけではありません。PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを廻しながら、継続的に改善していくことが重要です。すなわち、保健指導サービスの質の管理とは、対象となる保健指導プログラムや保健指導実践者の技量について、「PDCAを廻すための仕組みと実践」と定義することができます。そして、目標を明確にした上で実施後に目標の達成状況を評価・分析して、改善すべき事項を見出して、計画的に改善していくことが、PDCAの基本となります。

 評価指標
 最後に"評価"について確認したいと思います。一般的に"評価"には、優劣をつけること、説明責任を果たすこと、仮説を検証することなど、様々な目的があります。ここではあくまで、PDCAを廻すための評価についてです。

 質の管理では、一定期間にわたる目標を立てて、計画的にプログラムを実施し、その達成の有無を確認するとともに、達成できなかった場合には、その原因を分析して改善計画の立案と実施に結びつけることが、基本となります。その際、目標を数値化しておけば、達成できた場合にはより高い目標を立て、達成できなかった場合にはその原因を分析して改善するという動機が働きやすくなります。そのため、目標は評価指標と目標値で構成されます。

 その際、改善は目標を達成するために行われることになるため、どのような評価指標を用いるかについては、プログラム導入のゴールに繋がるように、十分に検討しなければなりません。

 評価指標には、最終成果であるアウトカム評価指標、アウトカムに繋がる途中段階の指標であるパフォーマンス評価指標、サービス提供量(率)に当たるアウトプット評価指標があり、それぞれの評価指標を組み合わせて目標を立てます。

 さらに評価の段階においては、プログラム構造の評価(ストラクチャー評価)、プログラムの実施状況(プログラムに沿って行われたか)に関する評価(プロセス評価)を組み合わせることによって、プログラム全体の評価と改善のための分析や検討が行いやすくなります。

 最後に
 以上のような質の管理を組織として行うためには、方針の策定、組織の構築と運営、質の管理のためのルールの文書化など、いくつかの作業が必要となります。すなわちマネジメントシステムを構築することが基本となります。

 これを医療保険者の立場から見ると、保健指導サービス機関を選定する際、マネジメントシステムの構築と運用状況を確認することによって、質の高い機関を選定することが可能となります。次回は、質の高い保健指導サービス機関の選定の方法について、解説したいと思います。

※関連情報
保健指導サービスの質の管理(産業医科大学)

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