オピニオン/保健指導あれこれ
保健指導サービスの質の管理

No.1 「保健指導サービスの質の管理」の基本

産業医科大学
森 晃爾
 はじめに
 平成20年度から始まった特定健診・保健指導の制度では、すべての医療保険者が共通したルールで保健指導を提供することになりました。当然のことながら、健診だけでは受診者を健康にすることはできません。健診結果に基づいて受診者が何らかの行動を起こして初めて有効性を持ちます。

 その際、健診結果に運動指導や栄養指導のコメントを書いたとしても、動機づけがされていない受診者には行動変容が生じません。そもそも精密検査の受診や治療が勧奨されていても、何の行動も起きない受診者が多数います。

 保健指導は、このような受診者に対して、正しく健診結果の意味を理解させ、動機づけを行い、適切な行動目標を立てさせる機会であり、特定健診・保健指導の制度では、決定的に重要な意義を持ちます。

 それでは、「保健指導は本当に有効なのか」と聞かれたら、自信を持って「はい」と答えられるでしょうか?私には自信がありません。しかし、「しっかり研修を受けた質の高い保健指導実践者による保健指導は有効なのか」という問いには、「有効であるというエビンデスがある」と、答えることができます。

 そして、保健指導サービス機関は、組織として保健指導サービスを提供するわけですので、個人の力量に任せられてきた保健指導から、しっかりと品質管理された保健指導に変えていく必要があります。

 質の管理の対象
 さて、保健指導サービスの質の管理を行う際、その対象を明確にした上で、対象ごとに質の管理の方法を決める必要があります。保健指導サービスの質は、保健指導プログラムの質と保健指導実践者の質で構成されており、対象としてこの両方を管理していくことになります。

 サービスの質の管理では、質を上げるとともにバラつきを小さくすることも重要ですが、そのために保健指導プログラムの内容をどこまで詳細にマニュアル化するかを判断しなければなりません。と言うのは、マニュアルが詳細であれば、それだけ保健指導実践者の技量による差は小さくなりますが、対象者の状況に合わせた対応ができる余地も小さくなるからです。

 一方、マニュアルの具体性を減らせば、保健指導実践者の技量に委ねる必要があります。"ビジネスホテルか、シティホテルか?"、"ファーストフード店か、三ツ星レストランか?"、そこまで極端でなくても、そのバランスを選ばなければなりません。

 保健指導は、有資格の専門職によるサービスであることや、対象者ごとにあった行動目標を作ることが必要であることから、かなりの部分、保健指導実践者の技量に委ねることになります。そのため、サービスの質の管理の取組みとして、資質向上のための教育研修が重要となります。すなわち、保健指導サービスの質の管理の取組みとして効果的な保健指導プログラムをマニュアル化すること、保健指導実践者の資質向上のための教育研修を計画的に実施することは不可欠な要素になります。

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