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【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い

 健康診断あるいは肺がん検診を毎年受け、胸部画像撮影を行っていた人ほど、肺がんを早期ステージ(0~2期)で発見できていたことが、肺がんと診断された30歳以上の成人を対象とした調査で明らかになった。

 肺がんを早期発見するために、健康診断・肺がん検診の受診が重要であることがあらためて示された。調査は、製薬企業のアストラゼネカが、全国の30歳以上の肺がん患者156人を対象に実施したもの。

肺がんを早期発見することは予後改善に大きく影響

 アストラゼネカは、全国の30歳以上の肺がん患者156人を対象に、健康診断および肺がん検診の受診歴、肺がん発見の経緯や肺がんに関する理解度などを調べる調査を実施した。

 その結果、健康診断あるいは肺がん検診を毎年受け、胸部画像撮影を行っていた人ほど、肺がんを早期ステージ(0~2期)で発見できていたことが明らかになった。

 肺がんは、初期症状が出にくく、加えて風邪といった他の病気との区別がつきにくいことから、早期発見が難しいがんのひとつ。そのため、症状が出たときには進行していることが少なくない。

 日本人の部位別のがん死亡数がもっとも多いがんで、2019年には約12万7,000人が診断され、2020年には約7万6,000人が肺がんにより死亡している。

 また、肺がんのなかでもっとも頻度の高い非小細胞肺がんの場合、ステージ別の5年生存率は、ステージ1が84.1%、ステージ2が54.4%、ステージ3が29.9%、ステージ4が8.1%となっており、肺がんを早期発見することは予後改善に大きく影響する。

肺がん検診を毎年受けていた人の74%が早期ステージ(0~2期)で診断されており、毎年受けていなかった人(62%)よりも、早期ステージで発見された割合が高かった。また、健康診断でも69% 対 63%と同様の傾向がみられた

出典:アストラゼネカ、2024年

肺がん検診を毎年受けている人は42% 受けない理由は「気になる症状がない」が多い

 肺がんを早い段階でみつけるためには、胸部X線検査および喀痰細胞診が有効とされており、40歳以降の人は、1年に1回の肺がん検診が推奨されている。

 従業員に対して会社が負担する健康診断(事業者健診)では、35歳以上であれば、胸部X線検査が含まれるが、自治体が実施する健康診断には含まれていない場合がある。そのため、自営業者や定年退職者などは、別途肺がん検診を受ける必要がある。

 調査結果をみると、肺がんの発見経緯は、「健康診断時」(46%)がもっとも多く、「他の疾患治療時での胸部画像撮影」(36%)、「咳などの症状をきっかけに医療機関を受診」(9%)、「肺がん検診」(5%)と続いた。

 さらに、症状をきっかけに医療機関を受診して肺がんが発見された人の50%は、診断時にはステージ3以降に進行していた。

 健康診断(人間ドックを含む)は、多くの人が毎年受けている一方で、肺がん検診を毎年受けていた人は、半数以下の42%だった。

 肺がん検診を毎年受けなかった理由としては、「とくに気になる症状がなかった」(61%)がもっとも多かった。

健診やがん検診を受ければ肺がんを早期発見できる 早期治療が可能に

 健康診断あるいは肺がん検診を毎年受けていた人の7割は、早期ステージ(0~2期)と診断されており、健康診断あるいは肺がん検診を毎年受けていなかった人に比べて、より早期で肺がんを発見できた割合が高かった。

 「肺がんと診断される前から、肺がんに関する知識や情報をもっていたら、どんなことにつながったと思うか?」という問いに対しては、進行したステージ(3~4期)で診断された患者は、早期ステージ(0~2期)の患者に比べて、「もっと早い健康診断や肺がん検診の受診につながったと思う」と回答した割合が高かった。

 なお、他の疾患治療時にみつかった患者が受診していた診療科としては、循環器科(高血圧、心疾患、脂質異常)が18%、消化器科(胃十二指腸潰瘍、大腸疾患、肝胆疾患)が13%、呼吸器科(喘息、COPD、その他呼吸器疾患)が11%だった。

 さらに、診断ステージ別で肺がんの発見の経緯を比べたところ、診断時にステージ3以降だった患者のうち、症状をきっかけに医療機関を受診して肺がんがみつかった患者は19%で、同様の経緯で早期ステージ(0~2期)であった患者(6%)の3倍以上に上り、症状がでたときには病状が進行しているケースが多いことが示された。

肺がんが進行した人は「もっと早く検査を受けていれば良かった」と後悔

 「肺がんは初期症状があらわれにくく、症状がでたときには進行していることが多いがんです。早期発見には胸部画像によって肺の状態をみることが不可欠であることから、健康診断あるいは肺がん検診を毎年受けていた人が、より早期ステージで発見できたという結果につながったと考えられます」と、アストラゼネカでは述べている。

 「早期発見のチャンスを逃さないためにも、胸部画像撮影の機会となる健康診断および肺がん検診の重要性を理解していただきたいです」としている。

 調査は、インターネットで2023年10月に実施され、対象となったのは30歳以上の肺がんと診断された人(最初の診断から10年未満)156人だった。

「肺がんと診断される前に、肺がんの知識や情報を知っていたら、どんなことにつながったか」を質問
肺がんの進行ステージ(3~4期)の人は、「もっと早い時期に健康診断やがん検診を受診したと思う」と回答した人が多かった(早期の肺がん:28%、進行した肺がん:38%)

出典:アストラゼネカ、2024年

アストラゼネカ
[Terahata]
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