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加熱式たばこ受動喫煙で有害物質曝露を確認 厚労省研究班が知見を整理、経過措置見直しの議論へ

 5月21日、厚生労働省の受動喫煙対策専門委員会(第5回)で、加熱式たばこに関する科学的知見を整理した研究班報告が示された。2010年以降に公表された国内外の文献を検索・抽出し、除外基準に基づくスクリーニングを経て、科学的知見を体系的に整理したもので、今後予定される加熱式たばこの規制や経過措置の見直しを検討する上で、重要な基礎資料となりそうだ。

加熱式たばこの経過措置、施行5年で見直し検討へ

 2020年4月に全面施行された改正健康増進法は、飲食店やホテルなど原則屋内禁煙とした。しかし、加熱式たばこについては、「受動喫煙による健康への影響が明らかではない」として特別な経過措置が設けられた。この経過措置のもと、専用室であれば飲食しながらでも喫煙が認められる状態が続いてきた。

 この特例は、施行後5年の経過時点で見直しを検討すると法律に明記されており、今回の研究班報告はその判断材料として位置づけられる。研究結果を踏まえ、厚生労働省は年内にも加熱式たばこの規制について方向性を示す見通しだ。

2010年以降の文献を対象に、健康影響と曝露の知見を整理

 加熱式たばこは、たばこ葉を燃焼させず加熱してエアロゾルを発生させる製品。日本では2010年代半ば以降に急速に普及し、研究班報告によれば、2025年度7-9月期には、たばこ全体の45%程度の販売数量を占めるまでになっている。
 一方で、紙巻たばこと比べて市場に登場してからの期間は短く、受動喫煙による健康影響に関する研究は十分に蓄積されていなかった。

 こうした状況を踏まえ、研究班は2010年以降に公表された国内外の研究を収集し、受動喫煙による有害物質への曝露や健康影響に関する知見を体系的に評価した。

 それによると、加熱式たばこの使用時には、ニコチンのほか、ホルムアルデヒドなど発がん性が指摘される物質や、アクロレイン、アセトアルデヒドなどの有害化学物質が空気中に放出されることが確認された。
 また、室内環境ではこれらの物質によって非喫煙者が曝露を受ける可能性が高いことが示された。

利用者本人では循環器疾患・症状との関連性が強い

 研究班は、加熱式たばこ利用者本人に関する研究も整理した。

 その結果、能動喫煙については、循環器疾患・症状との関連性が「強い」、証拠の確からしさが「やや高い」と評価された。ただし、疾患発症そのものを直接評価した研究は限定的とされている。
 研究班は、紙巻たばこに比べて一部の有害物質への曝露は低減されるものの、依然として健康リスクが懸念されるレベルにあるとしている。

「健康影響なし」を意味するものではない

 一方、受動喫煙による健康影響については、評価が慎重に行われた。
 報告では、呼吸器症状や心血管系への急性影響との関連を示唆する研究は存在するものの、研究数そのものが少なく、観察期間も短いことから、因果関係を強く支持する結論には至らなかったとしている。

 厚労省専門委員会でも、加熱式たばこは市場への普及から日が浅く、長期的影響を評価するための疫学研究が十分蓄積されていないことが指摘された。だが、今回の評価は「健康影響がない」と結論づけたものではなく、「現時点では健康影響を評価するための科学的根拠が十分ではない」と理解する必要がある。

[保健指導リソースガイド編集部]