朝食を食べない人は骨折に要注意
朝食は1日3回の食事の中で最も重要と言われるが、骨の健康の面からも、それは真実のようだ。朝食を欠食する人は骨粗鬆症による骨折のリスクが高いという、奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科の中島拓紀氏らの研究結果が、「Journal of the Endocrine Society」に8月28日掲載された。
朝食欠食のほかに、夕食を遅い時間に食べることなども、骨粗鬆症による骨折のリスクの高さと有意な関連があるという。中島氏は、「このような非健康的な食習慣は、喫煙や運動不足、睡眠不足といった、ほかの生活習慣関連リスク因子の蓄積と関係があるようだ」と述べている。
この研究では、20歳以上の日本人92万7,130人(年齢中央値66.6歳〔四分位範囲57.6~70.3〕、男性45.3%)の健診データと医療費請求データが用いられた。
健診時の生活習慣関連の質問から、朝食欠食や夕食を遅い時間帯に取る食習慣などを把握し、医療費請求データから骨粗鬆症による骨折(大腿骨、椎体、前腕、上腕)の発生を把握した。
中央値2.6年(四分位範囲1.4~4.3)の追跡で、骨粗鬆症による骨折は2万8,196件発生していた(1,000人年当たり10.8)。
骨折リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、併存疾患など)を調整後、朝食を欠食する人は骨粗鬆症による骨折のリスクが18%高いことが示された(調整ハザード比〔aHR〕1.18〔95%信頼区間1.12~1.23〕)。
朝食欠食以外にも、喫煙習慣で11%のリスク上昇(aHR1.11〔同1.06~1.17〕)、遅い時間帯の夕食摂取で8%のリスク上昇(aHR1.08〔1.04~1.12〕)が認められた。
さらに、朝食欠食と遅い時間帯の夕食摂取の双方が該当する人では、23%とより大きなリスク上昇が観察された(aHR1.23〔1.13~1.34〕)。
一方、睡眠で休養が十分取れていることや(aHR0.95〔0.93~0.98〕)、同世代の同性と比べて歩行速度が速いことは(aHR0.84〔0.82~0.86〕)、リスクの低さと関連していた。
この結果を基に中島氏は、「骨粗鬆症やそれによる骨折を防ぐには、健康的な食習慣を心がけるだけでなく、生活習慣全体を改善する幅広い努力も必要ではないか」と話している。
なお、朝食欠食が骨折のリスクを高める機序については論文中に、「朝食を食べない人は骨の健康に重要なビタミンDとカルシウムの摂取量が少ない傾向があり、それらの不足が骨粗鬆症のリスクに関与しているのではないか」との考察が加えられている。
著者らは、「われわれの研究結果は、骨粗鬆症が生活習慣病であることを示唆している」と結論付けるとともに、「今後は、遅い時間帯の夕食がなぜ骨代謝に影響を及ぼすのかを明らかにすること、および、朝食欠食と遅い時間帯の夕食の改善指導に焦点を当てた介入の有効性を探る研究が必要とされる」としている。
(HealthDay News 2025年8月29日)
Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock
参考情報
Abstract/Full Text
Press Release


「HealthDay News」に関するニュース
- 2025年09月16日
- 朝食を食べない人は骨折に要注意
- 2025年09月08日
- 隠れた脂肪の蓄積が心臓の老化を加速させる
- 2025年09月01日
- 週末の睡眠を妨げる"社会的無呼吸"とは?
- 2025年08月25日
- 症状についてChatGPTに質問した時の回答はどのくらい正確か?