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地域での看取り


(2016/04/20)
No.3 地域包括ケアと看取り
 1. 地域包括ケアシステムとは
 地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものです(下図)。病気と介護が重複して様々な日常生活を困難にしていくことがありますがこれを整理し、地域の資源を上手く活用して住み慣れた家での生活を続けられるよう社会全体が助け合うことです。


出典)厚生労働省資料より一部抜粋

 2. 高齢者の暮らし
 高齢者世帯や一人暮らしによる将来の不安を感じている人は少なくありません。認知症高齢者の数が増大するとともに、高齢の単身世帯や夫婦のみ世帯が増加していくことをふまえると、地域で暮らしていくために必要な様々なサービスや住まいが、家族を支援しながら、本人の意向と生活実態に合わせて切れ目なく継続的に提供されることが必要であり、地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワークづくりを推進していくことが求められています。

 3. 特別養護老人ホームでは
 特別養護老人ホーム(以下、特養)は、常に入所者が在宅復帰を目指してケアを提供するよう求められていますが、現実には非常に難しいと感じています。高齢者は終の棲家として覚悟を決めて入所し、最期まで安心して暮らしたいと願っています。

 家族もまた、「介護負担」という身体的な負担については肩の荷を下ろすことができますので、経済的・精神的な関わりが中心となります。また、家族は本人の年金の範囲で安心した生活が送れるので、いつまでも長生きして欲しいと考えるようになります。そのため、入所者が加齢に伴って少しずつ状態が変化し終末期にさしかかっても、お別れの時が迫っていることを受け止めることができず入退院を繰り返すという矛盾に直面しています。


特養には多くの専門職が働いています。(犬も重要なスタッフです!)

 具体的には、90歳を超える高齢者のほとんどは認知機能の低下があり、自分の意思を伝えることが難しくなります。そして、食欲の低下や食事をとることができても体重が減ってくることがあります。そんな時、私たち専門職は「栄養を受けつけなくなってきた(各臓器の機能が低下して死期が近い)」と理解します。

 しかし長い間一緒に食事をしていない家族は、本人の「もういらない」「食べたくない」という言葉が聞けないため、なぜ食べないのか納得できないと訴えます。病院に入院して、点滴をしてもらえば元気になるのではないかと考えます。

 4. 地域との関わり
 特養は施設の中だけでなく、その地域における役割を示し、地域住民が安心して最期まで暮らせるよう、協働しなければならないと考えています。施設や在宅において看取りケアが必要となる2025年以降の多死時代に向けて、曖昧な死生観や医療に依存した健康観を改め、少しでも多くの人が「あるがままの自然死」を受け入れることが大切だと思います。

 特養には様々な専門職として医師・看護師・介護福祉士がいますが、これら専門職を活用して地域に向けて看取りに関する教育的役割を果たしていくべきと考えています。

 5. 健康フェアの開催
 聖徳園では毎年、訪問看護ステーションが主になって、「こもれび健康フェア」を開催しています。2015年10月は「エンド・オブ・ライフケア」と題して、自宅で夫の看取りを経験した家族や地域の診療所の医師による講演を行い、180名の地域住民の参加がありました。参加者は健康チェックとして、血圧、体脂肪、骨密度、肌年齢なども測定できます。元気に生きることと、将来の準備として死を考えることは矛盾しないと思います。「死」を忌み嫌うことのない社会づくりに貢献したいと願っています。


特養 聖徳園のホールにて講演会を開催。健康チェックも行います。

<参考文献>
猪飼周平. 特集 在宅で看取る~施設から在宅へは予定されている未来. 医療と介護Next
第1巻4号. メディカ出版. 2015