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よく怒る人は心臓病のリスクが高い ストレス管理で対処

 あなたがもしも怒りを抑えられずに感情を爆発させるタイプなら、ストレスのマネージメントの仕方を学ぶべきかもしれない。というのは最新の研究で、激しく怒りを爆発させる頻度の高い人は、そうでない人に比べ、2時間後に心臓病の発作を起こす可能性が高いと判明したからだ。
怒りを爆発させると心臓病リスクが5倍に上昇
 心臓病の危険因子となるものは、肥満や過体重、糖尿病、高コレステロール、高血圧、高血糖などだ。米疾病管理予防センター(CDC)によると、世界で年間に約1,700万人が心筋梗塞などで死亡している。

 「メンタル面も心臓病に影響することが分かりました。感情的になり怒りを爆発させるのは、ストレスになるだけでなく、心臓にも悪いことが判明したのです」と、ハーバード公衆衛生大学院のエリザベス モストブスキー氏(心臓病)は話す。

 モストブスキー氏らは、怒りと心臓病の関連を調べた9件の研究を解析した。20年にわたる調査期間中に、4,546例が心筋梗塞を、462例が急性冠症候群を、590例が虚血性発作をそれぞれ発症した。

 「急性冠症候群」は、動脈硬化によって狭くなった冠動脈内のプラークが破裂し、血栓ができることにより、急激に血流が悪くなって起こる心臓病の総称で、急性心筋梗塞や不安定型狭心症が含まれる。

 激しい怒りの後では、心筋梗塞や心臓発作、急性冠症候群を起こす危険性が4.7倍に上昇することが判明した。1日5回怒っているとすると、心臓にリスクのない人でも、10,000人あたり年間158回の心臓発作が起こる計算になるという。これが心血管系リスクの高い人の場合、その割合は657回に増える。

 「過去に心臓病の発作を起こしたことのある人は、ふたたび発作をおこす可能性が高いことが知られていますが、怒りの爆発の後では心臓病の既往歴のある人とない人の両方で、心臓発作をおこす割合が高まることが分かりました」と、ハーバード大学医学部のマーレー ミッテルマン氏(疫学・予防医学)は話す。

 「強い怒りをあらわすのが1ヵ月に1回ぐらいであれば、心臓発作や脳卒中の発症リスクはそれほど上昇しません。でも、それらの病気のリスクがもともと高く、1ヵ月に何度も怒りの感情を爆発させる人では危険性は上昇し、長い時間をかけて蓄積されていきます」と、ミッテルマン氏は指摘する。

怒りを鎮めるために ストレスに対処する5つの方法
 スタチンやβ遮断薬などで治療している人は、心筋梗塞や心臓発作、急性冠症候群などを起こすリスクを下げることができるが、メンタル面での対応も必要がある。怒りの爆発を抑えられないという人は、ストレスをためすぎないようにする対策したり、場合によっては抑うつ薬などで治療をする必要があるという。

 米国心臓病学会(AHA)は怒りを鎮めストレスをためないようにするために、次のことを勧めている。

1. 家族や友人との会話は最高の薬
 喜びや望み、悲しみ等の感情を共有できる仲間をもつことでストレスを解消できます。家族と話したり、友人に電話をかけてみましょう。気持ちの良い人間関係をつくることが大切です。

2. 運動や身体活動を増やす
 運動を習慣的に行うことで、身体的な緊張が和らげられます。活発に体を動かしている人では、うつ病の発症リスクが低下することが分かっています。ウォーキングや水泳、自転車、ダンスなど、運動はあなたに喜びをもたらします。

3. 自分の人生を受容する
 「もしも自分がもっと若かったら」、「こんな病気を患わなければ」といった具合に、人生には悔やまれることも少なくありません。現在の自分を肯定し「より良い人生を築いていこう」と前向きの気持ちをもつことが大切です。困っている人がいたら、手助けをすることを忘れずに。

4. 笑いでストレス解消
 笑いにはストレス解消の効果があります。笑うことで血圧や血糖値が下がることが確かめられています。1人でいるときも、ユーモアのあるテレビや映画を見るなどして、笑うことを忘れないようにしましょう。

5. アルコールやカフェインに注意
 多量飲酒やコーヒーの飲み過ぎによってストレスは増えます。夜よく眠れなくて寝酒に頼る人がいますが、アルコールには夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」を促す作用があります。睡眠の悩みをもつ人はかかりつけ医師に相談しましょう。

Outbursts of anger linked to greater risk of heart attacks and strokes(欧州心臓学会 2014年3月3日)
Stress Management(米国心臓学会)

[Terahata]
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