ニュース

「アルコール」は健康に悪い? 総合的にみて安全な飲酒量はないと結論

 アルコールは適量であれば健康に良いという研究は少なくないが、アルコールの重大な健康リスクを示した研究も多い。
 ワシントン大学は「アルコールを少し飲み過ぎただけで健康リスクがある。安全な飲酒量など存在しない」という研究を発表した。
少し飲み過ぎただけでも健康リスクが
 これまで、コーヒーの健康上のメリットについてご紹介した。一方、アルコールはどうか。

 「酒は百薬の長」ということわざがある通り、アルコールは健康に良いという研究は少なくないが、アルコールの重大な健康リスクを示した研究も多い。

 ワシントン大学の研究チームがこれまでに行われた飲酒についての膨大なデータをまとめた研究によると、アルコールは少し飲み過ぎただけでも健康リスクを引き起こすという。

 「飲酒によって得られるデメリットはメリットを上回ります。アルコールの摂取量が増えると、それだけ健康リスクも増大するのです」と、ワシントン大学のエマニュエラ ガキドゥ教授は言う。

関連情報
年間に300万人がアルコールが原因で死亡
 研究には40ヵ国以上の研究者が協力し、アルコール摂取についての694件の調査と、592件の研究を解析した。研究は国際的な医学誌「ランセット」に発表された。

 世界の2016年の飲酒者の数は20億人以上で、63%が男性だ。一方、アルコールが原因で死亡した15~49歳の男性の数は2016年に300万人に上るという。これは全死因の12%に相当する。

 アルコールの飲み過ぎは、心筋梗塞、脳卒中、がん、肝硬変、2型糖尿病、膵炎などの原因になり、交通事故などの傷害も引き起こす。

 アルコールは2016年に、死亡を早め、DALY(障害調整生命年)を縮める7番目のリスク要因だった。アルコールを原因とする死亡率は、男性で6.8%、女性で2.2%に上る。年齢層を50歳以上に絞ると、死亡率は男性で18.9%、女性で27.1%に跳ね上がる。
安全なレベルの飲酒は神話に過ぎない
 今回の研究では、アルコール摂取量の基準とされるお酒の1ドリンクを、純アルコールに換算して10gで算出した。お酒の1ドリンクに相当する量は、ビール(アルコール度数 5%)なら250mL、ワイン(同13%)なら100mL、ウィスキー(同40%)なら30mLだ。

 たとえば米国の食事ガイドラインでは、アルコールの適切な摂取量を、男性は1日に2ドリンク、女性は1ドリンクとしているが、「この程度の制限では十分ではない」と研究者は指摘している。

 研究によると、2ドリンクのアルコールを毎日飲むと、まったく飲まない人に比べ、アルコールが原因の障害が起こるリスクが7%上昇する。飲む量が7ドリンクに増えるとリスクは37%跳ね上がるという。

 「アルコールは死亡の主要な原因になっています。世界で数百万人の命を救うため、緊急に行動する必要があります」と、ワシントン大学のマックス グリスウォルド氏は言う。

 「1日1~2ドリンク程度の飲酒量であれば健康に良いと言われていますが、それはまったくの神話です。今回の調査は、それが幻想であることを明確に示しています。安全な飲酒量など存在しないのです」と、グリスウォルド氏は強調している。
アルコールが糖尿病リスクを下げるという調査結果も
 アルコールを飲む習慣は、糖尿病リスクにどう関わっているだろうか? 南デンマーク大学の研究で、週3回から4回飲酒する人は、まったくく飲まない人に比べ、2型糖尿病になる可能性が低いことが分かった。この研究は、欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「Diabetologia」に発表された。

 研究チームは7万551人の男女を4.9年間(中央値)追跡して調査。期間中に男性859人、女性887人が糖尿病を発症した。解析した結果、適量のアルコールを週に3~4回飲んでいる人は、飲酒の頻度が週に1度以下の人に比べ、糖尿病リスクは男性で27%、女性で32%それぞれ低下したことが分かった。

 糖尿病リスクを下げる効果がもっとも高かったのは赤ワインだった。赤ワインに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」には、血管の弛緩を減少させ動脈硬化を改善する作用があるとみられている。

 「だからといって、アルコールを推奨量以上を飲んでも大丈夫というわけではありません」と、南デンマーク大学のヤネ トルストロプ教授は言う。「ただし、アルコールを一度に大量を飲むよりも、4回以上に分けて少しずつ飲んだ方が、良い効果を得られることが示されています」と指摘している。

 過度のアルコール摂取はがんや心臓病、肝臓病、胃腸疾患、膵炎などを引き起こす。専門家は「アルコール摂取が2型糖尿病に及ぼす影響は人によって異なるので、慎重になるべきです」と述べている。

Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016(ランセット 2018年8月23日)
The Lancet: Alcohol is associated with 2.8 million deaths each year worldwide(ランセット 2018年8月23日)
New scientific study: no safe level of alcohol(ワシントン大学保健指標・保健評価研究所 2018年8月23日)
Alcohol drinking patterns and risk of diabetes: a cohort study of 70,551 men and women from the general Danish population(Diabetologia 2017年7月27日)
People who drink 3 to 4 times per week less likely to develop diabetes than those who never drink(Diabetologia 2017年7月27日)
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2019年06月26日
「低炭水化物ダイエット」がメタボや肥満のリスクを減少 ただし長期の安全性には疑問も
2019年06月26日
肥満やメタボは「脂肪肝」の危険因子 見逃されやすい「NAFLD/NASH」に対策
2019年06月26日
人生の後半戦で「運動」は絶対に必要 筋力トレーニングを週2回 若さを保つためにも必須
2019年06月26日
体幹筋量が減ると「腰痛」は悪化 日常生活の動作が困難に 世界で初めて大規模データで解明
2019年06月26日
高齢者の歯の喪失 糖尿病や骨粗鬆症があるとリスクが増加 教育歴や職歴も影響
2019年06月21日
高尿酸血症のリスクは痛風だけではなかった! 中高年だけでなく、若い世代から気をつけたい尿酸値
2019年06月18日
「超加工食品」が肥満や糖尿病の原因に 悪玉ホルモンを増やし食欲を増進
2019年06月18日
夜間に照明やテレビをつけたまま寝る女性は肥満になりやすい
2019年06月18日
座ったままの生活で死亡リスクは上昇 「1日30分、体を動かそう」
2019年06月18日
脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性を引き起こす ウォーキングなど運動が必要

最新ニュース

2019年06月26日
「低炭水化物ダイエット」がメタボや肥満のリスクを減少 ただし長期の安全性には疑問も
2019年06月26日
肥満やメタボは「脂肪肝」の危険因子 見逃されやすい「NAFLD/NASH」に対策
2019年06月26日
人生の後半戦で「運動」は絶対に必要 筋力トレーニングを週2回 若さを保つためにも必須
2019年06月26日
体幹筋量が減ると「腰痛」は悪化 日常生活の動作が困難に 世界で初めて大規模データで解明
2019年06月26日
高齢者の歯の喪失 糖尿病や骨粗鬆症があるとリスクが増加 教育歴や職歴も影響
2019年06月25日
「人事労務×産業看護職のコラボでもう一歩ふみ出す!健康経営 社員を巻き込むNEXTステップ」産業保健と看護 4月号
2019年06月24日
パワハラの防止措置を初めて義務化―女性活躍推進法等改正案が成立
2019年06月21日
高尿酸血症のリスクは痛風だけではなかった! 中高年だけでなく、若い世代から気をつけたい尿酸値
2019年06月20日
【健やか21】児童虐待予防支援のための「パパカード」活用について
2019年06月20日
統括保健師のいる職場で仕事にやりがい、継続就労にも―保健師の活動基盤に関する基礎調査
2019年06月18日
「超加工食品」が肥満や糖尿病の原因に 悪玉ホルモンを増やし食欲を増進
2019年06月18日
夜間に照明やテレビをつけたまま寝る女性は肥満になりやすい
2019年06月18日
座ったままの生活で死亡リスクは上昇 「1日30分、体を動かそう」
2019年06月18日
脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性を引き起こす ウォーキングなど運動が必要
2019年06月18日
筑波山の特産品「福来みかん」に肥満抑制の効果 ストレス回復も 茨城大
2019年06月14日
【書籍紹介】「精神科医の話の聴き方 10のセオリー」
2019年06月13日
最新版「カリフォルニアくるみ 科学的研究に基づく健康効果~ヘルスプロフェッショナルのためのリソースガイド」をご提供します くるみに関する科学的知見を解説
2019年06月13日
【健やか21】「溶連菌の感染症が増加中!抗菌薬は適切な使用方法を守って―」(国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター)
2019年06月12日
健診・検診/保健指導実施機関 集計結果と解説(2018年度版)
2019年06月12日
事業所で働く保健師の法的位置づけの確保などを厚労省へ要望-日本看護協会
2019年06月11日
企業向け「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」 がん治療と仕事の両立 心がけるべき7ヵ条とは?
2019年06月11日
「生活にゆとりのない」家庭は食育に関心がない 子供の孤食や栄養バランス不足に親の生活習慣病が影響
2019年06月11日
7つの簡単な生活改善が糖尿病リスクを減少 4つ以上実行で80%低下
2019年06月11日
日本小児科学会などが「幼児肥満ガイド」を作成 小児期の肥満は成人後にリスクに 保健師による声掛けは効果的
2019年06月11日
ホエイ(乳清)やチーズに含まれるアミノ酸に認知機能を改善する効果
2019年06月10日
がん治療と就労の両立支援に、産業医を積極的に活用 アフラック生命保険株式会社に聞く
2019年06月07日
特定保健指導(積極的支援)モデル事業の実施事例を紹介―厚労省の検討会
2019年06月06日
【健やか21】「自殺予防」リーフレットを公開しました
2019年06月05日
運動が高齢者の「ADL(日常生活動作)」を高める 1日1万歩を達成できなくても効果がある
2019年06月05日
寿命を縮める「転倒」を効果的に防ぐ 60歳超では4割近くが「転倒」 食事と運動で対策
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 8,441 人(2019年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶