eスポーツが高齢者の新しい社会参加や娯楽の手段に 「高齢者eスポーツ導入ガイド」を公開 千葉大学予防医学センターなど
有効な手段になる可能性があるという新しい研究も発表された。
eスポーツはシニア世代にも広がりをみせている
楽しみながら脳や体を活性化
千葉大学予防医学センターは、高齢者向けにeスポーツの効果や活用方法などをまとめて紹介する「高齢者eスポーツ導入ガイド」を作成し公開を開始した。
スマホや家庭用ゲーム機を利用してデジタルゲームを楽しむシニア世代は増えている。
eスポーツは、家庭用ゲーム機などを使い、対戦をスポーツ競技として楽しむもので、従来のスポーツに比べて身体的負担が少ないことから、若年層だけでなくシニア世代などにも広がりをみせているとしている。
高齢者がeスポーツに参加すると、心拍数の上昇やストレスの軽減、ポジティブな感情の増加などの効果が得られることが報告されている。
また、梅雨や猛暑など屋外活動が制限される季節でも、eスポーツであれば天候に左右されずに楽しめるため、地域のシニア世代向けにeスポーツを推進することを考える自治体や福祉関係者は増えているとしている。
高齢者のコミュニケーションづくりにもつながる
自治体や福祉関係でも活用
シニア世代を対象としたeスポーツは、楽しみながら脳や体を活性化できる可能性があり、コミュニケーションづくりや生きがいにもつながるという声が出ている一方で、新しい試みであり、「何から準備すればよいかわからない」といった声も多い。
そこで「高齢者eスポーツ導入ガイド」では、高齢者の支援や健康づくりに取り組む実務者が安心して運用できるよう、eスポーツの導入に向けた計画作り、活用方法や事例、実施時の機材、注意点などをわかりやすく紹介している。
同ガイドは、日本eスポーツ連合と日本アクティビティ協会の監修のもと制作された。
同ガイドは、千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門サイトで公開されている。
「本ガイドを、シニア世代の健康維持や社会参加を促す支援ツールとして、今後、全国の自治体や福祉関係者の実務者の皆さまにご活用いただきたいと願っています」と、千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門の中込敦士准教授は述べている。
有効な手段になる可能性が
千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授が、2025年に発表した研究では、千葉県松戸市に在住する65歳以上のシニア世代2,504人を対象に調査した結果、デジタルゲームの利用者は、趣味グループへの参加頻度や友人との交流頻度が高いという関連がみられた。
研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)の成果を使い行われたもの。研究成果は「Journal of Medical Internet Research」に掲載された。
デジタルゲームの利用と、幸福感・生活満足度、身体的・精神的健康、人生の意味と目的、性格と美徳、健康行動との関連はみられなかったものの、ゲームを通じた趣味のグループへの参加や、友達との交流など、シニア世代にとって新しい社会参加や娯楽の手段となる可能性があるとことが示された。
デジタルゲームの利用が座りがちな生活や外出の減少を促すといった否定的な影響もみられなかった。デジタルゲームは、シニア世代の日常生活でバランスのとれた活動の一部として受け入れられる可能性がある。
「デジタルゲームは、高齢者にとって新しい社会的活動や娯楽の手段としての可能性を秘めています。今回の研究は、高齢者がデジタルゲームを通じて社会的つながりを深め、活動的な生活をサポートする可能性を示した点で意義があります。また、近年注目されているeスポーツやゲームを通じた新しい交流の場が、高齢者の社会参加を促進する有効な手段となる可能性があります」と、研究者は述べている。

千葉大学予防医学センター
日本老年学的評価研究(JAGES)
Digital Gaming and Subsequent Health and Well-Being Among Older Adults: Longitudinal Outcome-Wide Analysis (Journal of Medical Internet Research 2025年1月27日)
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