ニュース

認知症と腸内細菌が強く関連 認知症患者で少ない菌が判明 長寿医療研究センター

 腸内細菌と認知症の発症は強く関連することが、国立長寿医療研究センターの研究で明らかになった。認知症の人は腸内で「バクテロイデス」という菌が少ないという。
うんちを調べれば認知症のリスクが分かる?
 認知症の有病者数は、全世界で2015年には4,680万人だったが、2050年までに3倍に増えると予測されている。日本でも、2012年に65歳以上の15%に当たる462万人が認知症とみらており、今後も増加傾向が続く。

 一方、腸内細菌については、糖尿病や肥満、心疾患にも影響すると考えられている。腸内には数百から1,000種類の細菌が生息しており、その構成は年齢や食事などで変化する。

 認知症発症との因果関係は不明だが、腸内の細菌状態が脳の炎症を引き起こす可能性が指摘されている。

 そこで国立長寿医療研究センターの研究グループは、認知症患者とそうでない患者とのあいだで腸内細菌叢の組成に違いがあるのではないかと考えた。

 もの忘れ外来の受診患者から128例(平均年齢 74歳)の検便サンプルを採取して、腸内細菌叢と認知機能との関連を分析した。

 研究は、国立長寿医療研究センターもの忘れセンター副センター長の佐治直樹氏らによるもので、詳細は科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

関連情報
認知症の人は腸内のバクテロイデスが少ない傾向
 認知症と診断されたのは34例、非認知症は94例だった。認知機能検査や頭部MRI検査などを行い、検便サンプルを同センターのバイオバンクに収集した。

 検便サンプルを微生物解析を行うテクノスルガ・ラボに送付し、「T-RFLP法」(糞便から細菌由来のDNAを抽出し腸内細菌叢を網羅的に解析する手法)を用いて、認知症の有無によって腸内細菌の組成に違いがあるかを調べた。

 その結果、腸内細菌叢の組成の変化が認知症の独立した関連因子であることが明らかになった。

 細菌の割合により、エンテロタイプI(バクテロイデスが多いタイプ)、同II(プレボテラが多いタイプ)、同III(その他の細菌が多いタイプ)の3タイプに分類したところ、認知症患者はエンテロタイプIが少なく、エンテロタイプIIIが多かった。

 バクテロイデスは、日本人の腸内で多い最近で、日和見菌として分類されることが多いが、最近では腸管免疫で重要な働きをすることも分かっており、人体に有用な作用が期待されている。

 詳しく解析したところ、バクテロイデスは、認知症でない患者の45%から検出されたのに対し、認知症患者からは15%にとどまった。また、バクテロイデスが多い患者は、そうでない患者に比べて認知症の罹患率が約10分の1になった。
認知症と食習慣との関連を調査
 佐治氏は「今回の研究は症例数が少ない横断研究でありであるため、因果関係を証明するものではない」としながらも、「バクテロイデスの少なさとその他の細菌の多さは、認知症との関連性が高いことが示された」と述べている。

 「腸内細菌の詳細な解析が認知症の治療法や予防法の開発のための新たな切り口になるかもしれない。食生活や栄養環境を見直すことで、認知症のリスクを減らせる可能性がある」と話している。

 同センターは、東北大学などと共同で、食事習慣・栄養の視点から、腸内環境との関連についてさらに調査を進める予定だ。

国立長寿医療研究センター もの忘れセンター
Analysis of the relationship between the gut microbiome and dementia: a cross-sectional study conducted in Japan(Scientific Reports 2019年1月30日)
Proportional changes in the gut microbiome: a risk factor for cardiovascular disease and dementia?(Hypertension Research 2019年1月31日)
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2019年11月20日
なぜ漢方便秘薬は効くのか 腸の水分分泌メカニズムを解明 便秘以外にも応用
2019年11月13日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月13日
11月14日は世界糖尿病デー ウォーキングで世界につながろう 糖尿病の半分以上を予防できる
2019年11月12日
がん患者の食事の悩みを解消するサイトを公開 料理教室と連携しレシピを作成 国立がん研究センター
2019年11月12日
インフルエンザシーズン到来にそなえて 感染前の最後の砦「のどバリア」を高める習慣とは
2019年11月12日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 岡山大が臨床試験で実証
2019年11月06日
【申込開始】あらゆる世代・分野の健康づくりをサポート 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2020年版」 
2019年11月06日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年11月06日
腸内細菌が内臓脂肪に影響 内臓脂肪の少ない人に多い菌が判明 健診のビッグデータを分析
2019年11月06日
妊娠中の長時間労働や夜勤が健康リスクに 全国の約10万人の女性を調査 エコチル調査
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 9,332 人(2020年04月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶