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「緑茶」の摂取が糖尿病リスクを減少 九州大学・久山町研究で明らかに

 テアニンを含む緑茶の摂取が2型糖尿病発症リスクを低減する可能性があることが、九州大学・久山町研究で明らかになった。
テアニンは緑茶の旨味の素となる茶葉特有のアミノ酸
 緑茶に含まれる成分テアニン特有の代謝物であるエチルアミンの血清濃度が高い人では、将来の2型糖尿病発症リスクが低いことが、九州大学・久山町研究(研究代表:二宮利治・九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野教授)とサントリー食品インターナショナルを中心とする研究グループにより明らかにされた。

 久山町研究の結果をふまえ、同社が実施したテアニンを含む市販緑茶飲料の摂取による人の血清エチルアミン濃度に関する研究では、日常的な飲用が体内での一定量の残存に寄与することが示された。

 テアニンは、緑茶の旨味や甘みの素となる茶葉特有のアミノ酸で、緊張を和らげたり、睡眠を改善する効果があると言われているが、詳しい作用については分かっていない。

 テアニンは、摂取後約1時間をピークに速やかに代謝されて、グルタミン酸とエチルアミンに分解される。空腹時の採血では血清中のテアニンを検出できないが、エチルアミンは摂取後24時間以上血清中に残存する。そのため血清エチルアミンの濃度は、緑茶の摂取量を反映する客観的指標となる。

 研究グループは、地域住民を対象とした前向き追跡研究の成績を用いて、血清エチルアミン濃度と2型糖尿病発症の関連を検討した。過去に血清エチルアミン濃度と2型糖尿病発症の関係を検討した疫学研究はない。

関連情報
緑茶のテアニンの摂取量が多いと糖尿病リスクは低下
 今回の研究では、2007年の久山町生活習慣病健診を受診した40~79歳の男女2,957人(受診率77.1%)のうち、保存血清から血清エチルアミン濃度を測定できた糖尿病ではない住民2,253人を7年間追跡して調査した。

 その結果、血清エチルアミン濃度の上昇に伴い2型糖尿病の発症リスクは有意に低下した。さらに、肥満およびインスリン抵抗性を有する住民では、血清エチルアミン濃度と2型糖尿病発症の間により強い負の関係が認めされた。
血清エチルアミン濃度別にみた2型糖尿病の発症リスク
 この研究結果をふまえ、同社は健康な中高齢男女を対象に、市販緑茶飲料の摂取による血清エチルアミン濃度の推移に関する研究を行った。その結果、緑茶飲料を継続的に飲用することで、久山町研究で示された2型糖尿病の発症リスクが低い群の血清エチルアミン濃度を上回る濃度が維持されることが示された。

 緑茶にはテアニンに加え、カテキンやカフェインなどの成分も含まれる。緑茶のどの成分が糖尿病リスクを減少するのか、詳しくは分かっていない。「今後の研究で、健康飲料としての緑茶の効果を詳しく解明したい」と、研究グループは述べている。
日本を代表する疫学調査「久山町研究」
 「久山町研究」は、1961年から、福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に行われている、日本を代表する疫学調査。久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布をもっており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団となっている。

 久山町研究は、日本人の脳卒中の実態解明を目的として開始され、脳卒中、心血管疾患、糖尿病などの疫学調査が行われている。久山町研究の特徴のひとつは受診率の高さ。40歳以上の久山町住民の70~80%が健診を受診しているため、選択バイアスの少ないデータをもとに、時代ごとの生活習慣の移り変わりの影響や、危険因子の変遷を知ることができる。さらに、追跡調査の精度も高く、追跡率は99%以上を実現している。

 最近では、九州大学病態機能内科学、衛生・公衆衛生学分野、精神科神経科、心療内科、循環器内科、呼吸器科、眼科、予防歯科、健康科学センターなど幅広い分野から研究者が集まり、研究テーマが生活習慣病全体に広がっている。2002年には、遺伝子解析(SNPs)を加えたゲノム疫学を日本ではじめて開始した。

 今回の研究の成果は、米国糖尿病学会の専門誌「Diabetes Care」オンライン版に掲載された。

久山町研究(九州大学大学院 医学研究院)
サントリー食品インターナショナル
Serum Ethylamine Levels as an Indicator of l-Theanine Consumption and the Risk of Type 2 Diabetes in a General Japanese Population: The Hisayama Study(Diabetes Care 2019年5月10日)
[Terahata]

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