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肥満が糖尿病リスクを6倍に増加 生活習慣や遺伝的リスクを上回る脅威に

 肥満は2型糖尿病の発症リスクを6倍に増加させることが、9,500人以上を対象としたデンマークの大規模研究で明らかになった。遺伝的な原因や不健康な生活スタイルも糖尿病リスクを増加させるが、肥満の方がはるかに深刻だという。
 詳細は、9月にスペインのバルセロナで開催された欧州糖尿病学会(EASD)年次集会総会で発表された。
世界で肥満対策が喫緊の課題に
 国際糖尿病連合(IDF)によると、世界の糖尿病の有病者数は4億2,500万人に上り、2045年までに6億を超えると予想されている。糖尿病への対策は、国民1人ひとりだけでなく、各国の保健政策にとって大きな重要だ。

 遺伝的な要因、肥満、食事や運動などの不健康な生活スタイルが、2型糖尿病の発症に大きく関わっている。

 2型糖尿病を予防するための戦略として重要とみられているのは、健康的な生活スタイルの促進することで、標準体重を維持することだ。糖尿病のリスクの高い人でも、体重コントロールのための生活改善を行うことで、発症を防げたり遅らせられることが、多くの研究で確かめられている。

 一方で、生活スタイルによる要因と肥満が2型糖尿病リスクに及ぼす影響は、遺伝的変異によっと人によって異なることも知られている。そのため、2型糖尿病の発症における遺伝的原因、肥満、不健康な生活スタイルの相互作用を理解することが重要となる。

 そこで、デンマークのコペンハーゲン大学のヘルミーナ ジャクポビック氏らは、ノボ ノルディスク財団基礎代謝研究センターの協力を得て、2型糖尿病の遺伝的リスクが肥満と不健康なな生活スタイルによってどけだけ強調されるかどうかを調べた。

関連情報
肥満の人では糖尿病リスクが5.8倍に上昇
 研究チームは、「デンマーク食事・がん・健康(DCH)」研究に参加した平均年齢56.1歳の男女9,556人を対象に、統計モデリング調査を行った。参加者のほぼ半数(49.5%)が平均14.7年間の追跡調査中に2型糖尿病を発症した。

 健康的な生活スタイルとして、(1)喫煙しない、(2)アルコールは中程度にとどめる、(3)運動を習慣として行う、(4)健康的な食事――という条件を設定し、3つ以上を実行している人を健康的、0または1つか実行していない人を不健康、その残りを中間的と定義した。

 遺伝的リスクについては、2型糖尿病と強く関連していることが知られる193の遺伝的変異体を含む遺伝的リスクスコア(GRS)によって評価した。

 その結果、不健康な生活スタイルと肥満の両方をもっていると、遺伝的リスクに関係なく2型糖尿病を発症するリスクが上昇することが明らかになった。

 肥満の人では、標準体重の人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが5.8倍に上昇した。遺伝的リスクや不健康な生活スタイルによる影響は、単独では比較的少なかったが、不健康な生活スタイルは糖尿病リスクを20%増加させることも分かった。
肥満の影響は他のリスク要因よりも決定的
 「2型糖尿病リスクに対する肥満の影響は、他のリスク要因よりも決定的です。2型糖尿病を予防するために、体重をコントロールし肥満を解消することの重要さがあらためて示されました」と、ジャクポビック氏は結論付けている。

 細胞にブドウ糖を取り込むインスリンの仕組みがうまく働かなくなる原因のひとは、インスリンの効きが悪くなることで、これを「インスリン抵抗性」と言う。肥満がその要因だ。肥満になると、インスリンが分泌されても、脂肪組織から出る悪玉物質が肝臓、筋肉、脂肪組織でのインスリンの効きを悪くする。

 また、初期の段階では、インスリン抵抗性による高血糖を抑えるために、インスリンが過剰に分泌されることが多い。この状態では、インスリン抵抗性をインスリンの量でカバーしているため血糖値はそれほど高くなく、糖尿病とは診断されないことも多い。

 しかし、インスリンが過剰に分泌されると、高血圧や動脈硬化などが進行しやすくなる。さらに、この状態が続いているとインスリン抵抗性がさらに強まり、2型糖尿病を発症しやすくなる。
肥満に対策するために活動的な生活が必要
 日本人はインスリン分泌能力が欧米人に比べて低い場合が多い。日本人は肥満にいたらなくても、小太り程度でも糖尿病になりやすい。とくに、20歳の時の体重と比べて10kg以上増えている場合は要注意だ。

 体重のコントロールするために効果的なのは、体重計に毎日のること。どんな状況で体重が増減するかがわかり、食事や運動の対策も実感をもってできるようになる。

 また、日頃からよく体を動かすことで、肥満解消の効果を得られる。よく体を動かし、エネルギー源として糖を使用し続けると、インスリン抵抗性が改善する。

 ふだんあまり体を動かしていない人は、日常生活を活動的に過ごすことを意識することが重要。電車では座らないで立つ、テレビは立って観る、掃除など家事でも体を動かす、職場や自宅のまわりを歩くなど、少しでも活動的に暮らすことが大切だ。ウォーキングなど、気軽に行えて長く続けやすい運動を習慣にするとさらに効果的だ。

Obesity linked to a nearly 6-fold increased risk of developing type 2 diabetes, with genetics and lifestyle also raising risk(Diabetologia 2019年9月16日)
[Terahata]

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