オピニオン/保健指導あれこれ
禁煙指導のかんどころ

No.1 第7回日本禁煙科学会学術総会に参加して

勤労者健康科学研究所
斎藤 照代
 具体的には、2010年の19.5%から2022年には、12%を目指すというものです。この根拠は、2010年の厚労省の調査結果で喫煙者の37.6%がたばこをやめたいと答えていたことから、これら喫煙をやめたい人のすべてが禁煙を達成することを数値化したのが、喫煙率12%という数値目標ということになります。これは2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」と同じ目標値でもあります。

 このような成人喫煙率の数値目標の設定は日本独自のものではなく、他の先進国でも、それぞれ根拠は異なるものの、同様の目標設定が行われています。なお、能動喫煙の数値目標としては「未成年者の喫煙をなくす」という目標も引き続き設定されています。

 さらに受動喫煙防止に関しての目標値として、まず職場は、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」において掲げられている、2020年までに「受動喫煙のない職場」を実現するとの目標が設定されています。

 また行政機関および医療機関については、2022年までに受動喫煙の機会を有する者をなくすことを、家庭および飲食店に関しても同じく2022年までに受動喫煙の機会を有する者をそれぞれ3%、15%まで減らすとしています。そして2014年までには、妊娠中の喫煙をなくすことについても目標として掲げられています。

 今回の第2次「健康日本21」の目標設定の意義は、閣議決定という政府全体で目標値を定めた点が特に重要であると言えます。国民や私たち保健医療従事者に対しよりメッセージ性の高いものになったと考えられます。

 今後、日本のたばこ対策を推進し第2次「健康日本21」で設定されたこれら目標を達成するためには、WHOのたばこ規制枠組条約に沿った、たばこ税の値上げ、受動喫煙防止のための法的規制の強化に加え、喫煙習慣の本質がニコチン依存症という病気であることを踏まえ、保健医療の場での禁煙推進が必要となります。その意味で、私たち保健医療の現場を担う保健医療従事者の役割は、ますます重要になってきていると言えます。

アルコールと保健指導
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