オピニオン/保健指導あれこれ
禁煙指導のかんどころ

No.2 日常診療・健診・指導時にも使える短時間で行う効果的な禁煙支援方法

勤労者健康科学研究所
斎藤 照代

 日本人の死亡原因を分析した最近の研究をみると、喫煙者本人の喫煙による超過死亡数は、12.9万人と第1位で、第2位の高血圧(10.4万人)と並んで、日本人の死亡原因として最も寄与が大きいことが改めて確認されています(図1)。

 また受動喫煙に関しても2010年国立がん研究センターは、受動喫煙により日本で年間6800人が死亡していると推計しており、喫煙は日本人の死亡原因の中で最大の原因であり、日本の公衆衛生上の最重要優先課題であるといえるでしょう。

 厚生労働省は、これら、たばこによる健康被害を低減させるための取り組みとして、第1回でもご紹介した喫煙率の目標値を定めた第2次「健康日本21」とともに、特定健診・特定保健指導においても禁煙支援を強化する方針を示しています。そしてその中で他の生活習慣病のリスクの有無にかかわらず全喫煙者を支援することが重要と指摘しています。

 これら目標達成のためには、特に多くの喫煙者にアプローチできる医療や健診・保健指導等の日常の保健事業の場での禁煙のアドバイスや情報提供の推進が求められています。

 しかし、医師を対象とした日常診療場面での患者への禁煙アドバイスに関する国際比較をみると、アメリカが72.6%であるのに対し、日本は32.4%とフランス、ドイツと並んで低率であることが分かっています。多忙な日常診療の中で禁煙指導に時間を避けない日本の医療現場の厳しい現状が伺えます。

 一方、わずか3分間の禁煙指導でも何も指導しない場合と比較し禁煙率が1.3倍高まる禁煙支援の方法があることが分かっています。

 ここでは、短時間の禁煙支援の方法としてその有効性が明らかとなっているAHRQ(米国医療研究品質局)の5A・5Rについて、その詳細をご紹介します。

アルコールと保健指導
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