オピニオン/保健指導あれこれ
禁煙指導のかんどころ

No.3 身近に潜むPM2.5の恐怖!それはタバコです

勤労者健康科学研究所
斎藤 照代
 PM2.5 とは?

 最近、PM2.5 と呼ばれる微小粒子状物質による中国の大気汚染が社会問題になっています。PM2.5とは、空気に含まれる直径が千分の2.5ミリ未満の微小粒子のことであり、粒径が髪の毛の太さの1/30と極めて小さいので、たやすく肺の一番奥の肺胞まで入り込み、そこで様々な病気をおこします。PM2.5が多いと、心臓病や喘息、肺ガンなどが増え、死亡率が高まることが分かっています。

 例えばアメリカなどでの調査によると、PM2.5が10 増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えることが明らかとなっています。

 タバコとPM2.5
 PM2.5は、一連の報道にもあるように工場や一般家庭、交通機関で化石燃料を使うとたくさん出ますが、実はタバコの煙にもたくさん含まれていることが分かっています。

 喫煙可能な室内においては、危険なレベルまでその濃度が高まることが分かっています。例えば部屋の中に喫煙者がいた場合、その部屋は200~700 に達することもあり、中国で問題となっている汚染濃度と変わらないのです。

 下のグラフは、日本禁煙学会の受動喫煙ファクトシートに掲載されている、わが国の飲食サービス業の店内(車内)のPM2.5です。全面禁煙の店舗以外は、ほとんどすべてでPM2.5が100 を越えており、自由喫煙の居酒屋などは、北京の最悪汚染時に匹敵するPM2.5レベルとなっています。

 つまりPM2.5の問題は、単なる他国の課題ではなく、間違いなく私たち日本人の身近に潜む深刻な健康問題であると言えます。

日本の様々な飲食サービス業店内(車内)のPM2.5濃度

※出典:「受動喫煙ファクトシート2 敷地内完全禁煙が必要な理由」(NPO法人 日本禁煙学会)

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