オピニオン/保健指導あれこれ
保健師の活動と放射線について
No.8 対象者別協働実践報告(2) 高齢者
2015年12月24日
小野 若菜子
聖路加国際大学看護学部 准教授
|
経歴:
聖路加国際病院内科病棟、訪問看護科勤務を経て、聖路加看護大学博士前期課程に進学。同博士後期課程修了後、聖路加看護大学(現聖路加国際大学)の教職に就く。訪問看護におけるターミナルケアやグリーフケアをテーマに研究活動に取り組む。 |
高齢者保健事業の中で実施した
放射線に関するミニ講座
A市では、介護予防の高齢者保健事業が年間を通して行われていました。今回、その事業の集まりの際に、地区の担当保健師、放射線防護専門家、公衆衛生看護研究者が、ミニ講座「放射線との付き合い方」や質疑応答、健康相談を行いました。参加者は、1回目22名、2回目23名(男性16名,女性29名,70-80歳代)でした。
ミニ講座(約30分)の内容は、原子力災害による放射線の影響、除染や食品検査、健康管理調査、復興に向けた取り組み等でした。参加者は、すでに知識や対応策をそれぞれにお持ちでしたが、あらためて放射線の話を聞くことができてよかったという声が聞かれました。
放射線に関するミニ講座

保健師、放射線防護専門家、公衆衛生看護研究者との協働ミーティング
保健師から、放射線の関心について、あらためて住民の話を聞く機会になったということでした。その他、放射線に関する疑問や原子力災害の不安が続いていること、住民にどのように関わるのがよいのかといった意見交換が行われました。
高齢者支援のこれから
高齢者保健事業のような機会を利用して、高齢者の放射線防護に向けた支援を継続していくことは大切です。また、A市の地区は、山間部で、過疎化、高齢化が進んでいました。もし若い世代が避難先から戻ったとしても、時を経て、互いに新たな生活があり、様々な課題が生じます。保健師は、こうした世帯に対して、放射線防護を含めた健康を支援する役割を担っているといえるでしょう。
「保健師の活動と放射線について」もくじ
- No.1 原発事故後の復旧期における保健師活動―放射線防護文化をつくるために
- No.2 保健師活動に必要な放射線に関する基礎知識とは
- No.3 保健師の実践へのヒント(1) ベラルーシ視察報告から学ぶ
- No.4 保健師の実践へのヒント(2)川内村における放射線専門保健師の活動報告
- No.5 保健師の実践へのヒント(3)住民への放射線に関する支援(相談・教育)
- No.6 放射線と公衆衛生看護
- No.7 対象別協働実践報告(1) 母子
- No.8 対象者別協働実践報告(2) 高齢者
- No.9 対象別協働実践報告(3) 精神・社会的弱者
- No.10 対象別協働実践報告(4) 学校との協働実践
- No.11 保健師の健康支援に必要な情報と媒体
- No.12 保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「地域保健」に関するニュース
- 2025年04月01日
- 日本人の平均寿命と健康寿命の差は拡大 健康格差が拡大 肥満や認知症のリスクも深刻 30年間の健康傾向を分析
- 2025年04月01日
- 「塩のとりすぎ」で肥満リスクも上昇 塩分をコントロールする2つの効果的な方法
- 2025年03月31日
- 1日に1万歩のウォーキングが肥満・メタボのリスクを減少 歩数をどれだけ増やすと効果を期待できる?
- 2025年03月31日
- ゆっくり食べると肥満・メタボのリスクが減る 保健指導にも活用できるゆっくり食べるのを習慣化する方法
- 2025年03月24日
- 肥満は認知症リスクも高める 食事と運動で脳の老化に対策 中年期の保健指導は効果が高い