オピニオン/保健指導あれこれ
保健師の活動と放射線について
No.6 放射線と公衆衛生看護
2015年10月22日
北宮 千秋
弘前大学准教授
教育研究院医学系 |
経歴:
弘前大学教育学部卒業、秋田県保健所保健師を経て、産業保健師等として勤務。 その後、弘前大学教育学部教務職員、同大医学部保健学科助手、同大大学院保健学研究科講師、同研究科准教授を経て、2015年10月より現職。 弘前大学大学院教育学研究科修了(修士(教育学))、弘前大学大学院地域社会研究科修了(博士(学術))。 2011年3月福島県において放射線スクリーニング、同年6月一時立ち入りプロジェクトに参加。2013年から「放射線関連事故への保健所の対応の手引き」作成に協力。 |
2010年に事故発生地周辺の3市の保健師へのインタビューを行い1)、保健師の経験知の構築を試みました。
1つに「住民の不安軽減を優先した活動」があげられました。避難所での健康支援、放射線スクリーニングと相談を優先した活動を行い、次第に保健事業を通して継続的に支援して行くことが述べられました。
次に、「原子力災害時の心構え」として、住民対応するという強い意志を持ちながら住民を気遣うこと、相談ルートの確保と情報ルートを確保することでした。そのよりどころとなったのが、過去に受講した研修とその資料でした。
最後に、「平常時から原子力災害を想定し、組織の一員として研修する」ことの重要性でした。原子力災害は起こりうるという考えを共有することや組織の一員として役割を担うこと、研修等の機会を継続させることでした。この地域では周辺保健所が持ち回りで年1回の放射線事故を想定した研修会を保健所および市町村職員に向けて開催しています。
いかがでしょうか、JCO事故10年後に保健師達の語りから得た経験知は、今の福島の活動にほぼ通じるのではないでしょうか。すでに保健師として私たちは原子力災害の経験知をもっていたのです。その経験知が十分に全体の経験に結びつかないままに過ぎてしまっていたのではないでしょうか。
1つに「住民の不安軽減を優先した活動」があげられました。避難所での健康支援、放射線スクリーニングと相談を優先した活動を行い、次第に保健事業を通して継続的に支援して行くことが述べられました。
次に、「原子力災害時の心構え」として、住民対応するという強い意志を持ちながら住民を気遣うこと、相談ルートの確保と情報ルートを確保することでした。そのよりどころとなったのが、過去に受講した研修とその資料でした。
最後に、「平常時から原子力災害を想定し、組織の一員として研修する」ことの重要性でした。原子力災害は起こりうるという考えを共有することや組織の一員として役割を担うこと、研修等の機会を継続させることでした。この地域では周辺保健所が持ち回りで年1回の放射線事故を想定した研修会を保健所および市町村職員に向けて開催しています。

2)Chiaki Kitamiya : Responses of Public Health Nurses to the Consultations Following a Nuclear Disaster - Issues Associated with Level of Knowledge, Radiation Emergency Medicine,2(2),29-34,2013
「保健師の活動と放射線について」もくじ
- No.1 原発事故後の復旧期における保健師活動―放射線防護文化をつくるために
- No.2 保健師活動に必要な放射線に関する基礎知識とは
- No.3 保健師の実践へのヒント(1) ベラルーシ視察報告から学ぶ
- No.4 保健師の実践へのヒント(2)川内村における放射線専門保健師の活動報告
- No.5 保健師の実践へのヒント(3)住民への放射線に関する支援(相談・教育)
- No.6 放射線と公衆衛生看護
- No.7 対象別協働実践報告(1) 母子
- No.8 対象者別協働実践報告(2) 高齢者
- No.9 対象別協働実践報告(3) 精神・社会的弱者
- No.10 対象別協働実践報告(4) 学校との協働実践
- No.11 保健師の健康支援に必要な情報と媒体
- No.12 保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ
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