オピニオン/保健指導あれこれ
保健師の活動と放射線について
No.1 原発事故後の復旧期における保健師活動―放射線防護文化をつくるために
2015年05月27日
1. 原発事故後、保健師の取り組みは今も続いている
麻原きよみ
聖路加国際大学
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経歴:
聖路加看護大学卒業。長野県松本市保健師。その後、聖路加看護大学大学院看護学研究科修士課程修了、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(博士(保健学))。信州大学医療技術短期大学部助手、長野県看護大学助教授、信州大学医学部保健学科教授等を経て、2003年4月より聖路加看護大学地域看護・公衆衛生看護学教授。 |
2. 実際的な放射線防護文化をつくる:鍵となるのは保健師
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3. 放射線防護文化をつくるために有効な活動を見出す
私たちの活動は、次の3つからなり、それらは互いに関係しあっています。
1)住民に対する活動:保健師が地区で行っている子育てひろばや高齢者のデイクラブなどの既存事業に、放射線に関する講話やQ&A方式の相談を組み込み、保健師と放射線防護の専門家および公衆衛生看護の研究者が協働で計画・実施・評価しました。既存の事業に組み込むことで無理なく継続できること、対話による講話・相談が有効であることなどがわかりました。
2)保健師活動を支援する活動: 前項の1)で保健師と協働する際に、放射線防護の専門家が保健師からの放射線に関する相談に乗ったり、皆で今後の活動について話し合う機会をもちました(協働ミーティング)。また、保健師が住民支援のために活用できるツールとして、6種類のリーフレットを協働で作成しました。
3)1)2)で得られた有効な活動の普及・啓発活動:ホームページ(2019年10月まで開設)を開設するとともに、関係団体に情報やリーフレットの提供、学会等での発表などを行いました。
今月から1年間(12回)、「保健師の活動と放射線」について、保健師活動に必要な放射線の知識や活動のヒント、私たちが3年間、保健師と協働で取り組み、明らかになった放射線防護文化をつくるために有効な活動、保健師に必要な放射線教育などをシリーズで掲載していきます。皆様の日頃の活動にどうぞお役立て下さい。
1) International Commission on Radiological Protection: Application of the Commission's Recommendations to the Protection of People Living in Long-term Contaminated area after a Nuclear Accident or a Radiation Emergency. ICRP Publication 111, Elsevier, London, 2009.
「保健師の活動と放射線について」もくじ
- No.1 原発事故後の復旧期における保健師活動―放射線防護文化をつくるために
- No.2 保健師活動に必要な放射線に関する基礎知識とは
- No.3 保健師の実践へのヒント(1) ベラルーシ視察報告から学ぶ
- No.4 保健師の実践へのヒント(2)川内村における放射線専門保健師の活動報告
- No.5 保健師の実践へのヒント(3)住民への放射線に関する支援(相談・教育)
- No.6 放射線と公衆衛生看護
- No.7 対象別協働実践報告(1) 母子
- No.8 対象者別協働実践報告(2) 高齢者
- No.9 対象別協働実践報告(3) 精神・社会的弱者
- No.10 対象別協働実践報告(4) 学校との協働実践
- No.11 保健師の健康支援に必要な情報と媒体
- No.12 保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ
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