がんと就労 ~本人と職場を支える産業看護職のより良い支援とは~
錦戸 典子(東海大学大学院健康科学研究科)
No.3 人事労務担当との連携
東京医療保健大学 医療保健学部看護学科
佐々木 美奈子
このコラムでは、がんを抱える労働者本人や上司・人事といった職場関係者に対して、より良い支援を行うための重要なポイントや具体的な内容について紹介していきます。第3回となる今回は、人事労務担当との連携について述べていくこととします。
ヒント9.適正配置について産業看護職の立場から助言します
がんを治療中または治療後の労働者は、体力低下、倦怠感などの全身症状や、立ち仕事がつらい、腕を上げることができないなどの特定の動作に制限が生じる場合があります。産業看護職は、医療職でありながら職場の状況を理解する立場として、適正配置についての助言を行うことができます。
本人や主治医から、治療の状況、スケジュール、現在の体調・体力、今後の見通しについて聞き、医療的な立場からの見解を、適正配置を担う人事労務担当者に分かりやすく伝えます。
産業看護職は、現在の体力、今後の治療スケジュール・見通しをふまえて、
◆通勤が遠い場合は、家に近いところを検討できないか
◆病院に通院しやすいところはどこか
◆工場勤務から事務系の職場への配置転換が必要ではないか
◆職位が今のままだと十分に休めない可能性が考えられる
◆出張は難しいだろう
など、医療的立場からの見解と本人の希望などとを合わせて、人事労務担当者に助言し、連携します。