ニュース

「味噌」に血圧の上昇を抑える効果 日本型の食事スタイルを再評価

 日本の代表的な発酵食品である味噌が、血圧の上昇を抑え、脳卒中や心筋梗塞などの予防に役立つ可能性があることが、広島大学の研究で明らかになった。「味噌を中心とした日本型の食事スタイルの再評価が必要」と、研究者は述べている。
味噌は日本の代表的な発酵食品
 味噌の効能として、血圧の上昇を抑制し、何らかの脳卒中の予防効果があることが、広島大学の研究によって明らかになった。塩分による味付けを、味噌を含む発酵食品に代えることで、血圧の上昇を抑え、脳卒中が減少することが期待できるという。

 研究は、広島大学の渡邊敦光・名誉教授と広島大学大学院医歯薬保健学研究科の吉栖正生教授らの研究グループによるもの。

 味噌は日本人にとって古くからのソウルフードであり、食生活から切り離せない食材だった。味噌の歴史は1,300年以上昔に遡り、江戸時代に刊行された本朝食鑑には、その効用が薬のように説かれている。

 日本の代表的な発酵食品である味噌が、健康や長寿に良いことは知られているが、食塩の過剰摂取につながるおそれがあることも指摘されてきた。
味噌に塩分の影響を緩和する物質が含まれる
 味噌などの発酵食品についての科学的な研究は多くないが、近年は動物を用いた臨床研究、分子生物学、分子栄養学の研究が進展し、その健康機能が急速に明らかにされつつある。

 渡邊敦光名誉教授は、味噌の抗がん効果などを長年にわたり研究し、その生理機能研究を解明してきた。

 「日本人は食生活で塩分を多く摂取しているが、心筋梗塞などが少なく、長生きしていることは海外でも関心を集めている。味噌には塩分の影響を緩和する物質が含まれており、熟成みそは特にその効果が強いと考えられている」と述べている。

 高血圧や脳卒中は日本人に多い疾患だ。高血圧は心臓に負担をかけ、左室肥大や心房細動などを増加させる。心筋梗塞を含む心疾患は、日本人の死亡原因の第2位、脳卒中などの脳血管疾患は第4位と、いずれも上位を占めている。脳卒中は、寝たきりになる原因疾患の第1位でもある。

 閉経後の女性が味噌などに含まれるイソフラボンを多く摂取すると、脳卒中や心筋梗塞を抑えられることが、国立循環器病研究センターの研究で明らかになっている。

 国立がん研究センターなどの研究では、味噌などを多く摂取する日本型の食生活によって胃がんのリスクが低下することが示されている。味噌に一定の乳がん予防効果があることも報告されている。

 渡邊名誉教授は、味噌を摂取することで、胃がん、肺腺癌、大腸がん、肝臓腫瘍の予防効果を得られることを動物実験で突き止めた。がん以外でも、塩分が含まれる味噌を多く食べても血圧が上昇しないことに気が付いた。
味噌を食べると血圧は上昇しない
 研究グループは、脳卒中を発性しやすい高血圧のラットを3つのグループに分け、0.3%の食塩を含むエサ(低食塩群)、味噌由来の2.8%の食塩を含むエサ(味噌群)、同じ量の食塩を含むエサ(高食塩群)をそれぞれ与えた。

 63日間にわたり観察したところ、低食塩群でも血圧は200mmHgを越え、高食塩群ではさらに血圧が上昇し、早期に脳卒中を発症し歩行不全などの異常があらわれた。

 しかし、味噌群では高食塩群と同じ量の食塩が含まれているにもかかわらず、血圧は低食塩群と差がなく、脳卒中による死亡率は低食塩群よりやや高いものの有意差がなかった。

 研究グループは過去の研究で、食塩を多く摂取すると血圧が上昇する食塩感受性の高いラットを用いて、血圧に対する味噌の影響を検討した。この研究でも、味噌を与えると同等量の塩分を摂取していても、血圧は上昇しないことが明らかになった。
味噌を中心とする日本型の食事スタイルの見直しを
 これらの結果から、味噌には血圧上昇を抑制する効能があることが考えられるという。さらに、熟成した味噌の中に血圧を抑制したり、血糖値を低下させたりする成分や、抗酸化作用を持つ成分が含まれていることも分かった。

 こうした成分は発酵熟成の過程で産生され、さまざまな成分の作用が合わさり、混合物として作用することが生体にとって有用なものになるという。

 「味噌を含む発酵食品を摂取することが、がんや高血圧などの減少につながる可能性がある。食塩を多く摂取することの弊害が問題になっているなかで、味噌を摂取する日本型の食事スタイルの重要性はますます高まっている」と、渡邊名誉教授は述べている

広島大学
Protective effects of Japanese soybean paste (miso) on stroke in stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP)(American Journal of Hypertension 2017年7月31日)
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2019年11月20日
なぜ漢方便秘薬は効くのか 腸の水分分泌メカニズムを解明 便秘以外にも応用
2019年11月13日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月13日
11月14日は世界糖尿病デー ウォーキングで世界につながろう 糖尿病の半分以上を予防できる
2019年11月12日
がん患者の食事の悩みを解消するサイトを公開 料理教室と連携しレシピを作成 国立がん研究センター
2019年11月12日
インフルエンザシーズン到来にそなえて 感染前の最後の砦「のどバリア」を高める習慣とは
2019年11月12日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 岡山大が臨床試験で実証
2019年11月06日
【申込開始】あらゆる世代・分野の健康づくりをサポート 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2020年版」 
2019年11月06日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年11月06日
腸内細菌が内臓脂肪に影響 内臓脂肪の少ない人に多い菌が判明 健診のビッグデータを分析
2019年11月06日
妊娠中の長時間労働や夜勤が健康リスクに 全国の約10万人の女性を調査 エコチル調査
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 9,332 人(2020年04月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶