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「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定

 子宮頸けいがんの前がん病変を抑える抗ウイルス薬を開発したと、京都大学のチームが発表した。今年度中に京都大学病院で臨床試験(治験)を始め、3年以内の実用化を目指す。
子宮頸がんの罹患者数は今後も増加が続く
 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によっておもに引き起こされるウイルス性のがん。HPVは性交渉により感染し、多くの場合⾃然に消失するが、子宮頸部の上⽪組織で持続感染が起こることがある。

 そして、数年の期間をかけて前がん病変である「子宮頸部異形成」(CIN)を経たのち、⼀部の症例では子宮頸がんへと進展する。

 子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,900人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にある。とくに20歳~40歳台の若い世代での罹患の増加が著しい。

 HPV感染予防ワクチン(子宮頸がんワクチン)の導⼊が世界で進みつつあるが、日本での普及率は0.5%を下回っている。そのため、子宮頸がんの罹患者数は今後も増加が続くと予想される。また、いったんHPVに感染した⼈では、HPVワクチンによる予防効果を得られない。

 前がん病変であるCINの治療は、子宮頸部を部分切除することが⼀般的だが、子宮頸部の機能が損なわれることにより、⼀定の割合で早産・流産などの周産期予後のリスクが生じる。

関連情報
年度内に治験を開始する予定
 そのため、HPVに対する抗ウイルス薬による、切除を行わず体を傷つけない新しい治療法が望まれている。研究グループは、これまでに抗ウイルス活性のあるCDK9阻害剤「FIT-039」が抗HPV活性を示し、新たな治療薬となりうることを確かめていた。

 多くのウイルスは感染したヒトの細胞がもつタンパク質の一種であるCDK9を利用して増殖する。CDK9の働きを妨げる化合物を投与すると、ウイルスの増殖を抑制する効果を得られる。

 新しい抗ウイルス薬FIT-039はCDK9を標的としており、ウイルス性疾患の治療薬となる可能性がある。

 がんと関連するHPV型(おもに16・18型)は⼝腔・⽣殖器などの粘膜上⽪組織に感染する。研究チームは、FIT-039によるHPVを抑える効果を調べるために、粘膜上⽪⾓化細胞にHPVを導⼊してFIT-039の効果を調べた。

 その結果、細胞増殖やCINの特徴である異形成が抑えられるなど、治療の効果があることが分かった。

 また、マウスにおける子宮頸がん細胞のゼノグラフト腫瘍でもHPV感染腫瘍の増殖を抑えられることが分かった。FIT-039の投与による有害事象はみられなかった。

 現在、京都大学ではCINに対する治療効果を確認する治験を計画しており、年度内に開始される予定だ。

 研究は、京都⼤学⼤学院医学研究科の萩原正敏教授と網代将彦特定助教らの研究グループによるもので、医学誌「Clinical Cancer Research」に発表された。
京都⼤学⼤学院医学研究科
CDK9 Inhibitor FIT-039 Suppresses Viral Oncogenes E6 and E7 and Has a Therapeutic Effect on HPV-Induced Neoplasia(Clinical Cancer Research 2018年4月30日)
[Terahata]

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