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「子宮頸がんワクチン」の効果は高い HPVウイルス感染を90%以上予防

 新潟大学の研究グループは、子宮頸がんワクチンの接種者と未接種者で、発がん性の高いタイプのウイルス感染率を比較した結果、ワクチン接種で感染を予防できる確率は90%以上で、初回性交前に接種した場合は予防効果がさらに高くなるという研究成果を発表した。
2013年以降、積極的勧奨が中止されているHPVワクチン
 新潟大学の研究グループは、日本人女性において、子宮頸がんワクチン(2価ワクチン)のヒトパピローマウイルス(HPV) 16/18型感染予防に対する有効率は90%以上と高く、特に、初回性交前に同ワクチンを接種するとその効果がさらに高くなり、HPV 16/18型だけでなくHPV 31/45/52型に対しても感染予防効果を示すことを明らかにした。

 日本では子宮頸がんによって毎年約2,700人が死亡している。子宮頸がん予防ワクチンであるHPVワクチンは、子宮頸がんの60%~70%の原因となるHPV 16/18型の感染を予防するワクチンで、日本では2009年に認可された。

 2010年には自治体ごとの公費接種助成が開始となり、2013年4月には国が定める定期接種ワクチン(対象:12~16歳女子、3回接種)のひとつとなった。しかし、2013年の6月以降は厚生労働省による積極的勧奨が中止され、ワクチン接種者がほぼゼロの状況が続いている。

 海外では、HPVワクチンにはHPV 16/18型の感染予防に対する高い有効性があり、標的としたウイルス株とは異なるウイルスにも感染予防効果を発揮する「交叉防御効果」があり、その他の高リスク型HPVに対しても有効性があることが報告されている。

関連情報
HPVワクチンの有効率は91.9% 日本人女性で検証
 研究は、新潟県内の主要都市での自治体の子宮頸がん検診の受診者を対象としている。2014年度に開始され、HPVワクチンの公費接種世代を中心とした20代前半を対象に現在も継続している。

 今回は中間解析として2014~2016年度の3年間における20~22歳のHPV感染率について解析を行った。この世代は、HPVワクチンの積極的勧奨が中止される以前の公費接種対象学年を含むため、ワクチン接種率が高い。研究グループは、ワクチン接種歴について自治体の接種記録からワクチンの種類、接種日、接種回数を確認し、ワクチン接種群と非接種群の割り付けを行った。

 さらに、HPVは性交渉により感染するため、初交前に接種すること(HPVに感染する前に接種すること)が推奨されており、今回の研究では登録者の性的活動性(初回性交年齢、性交経験人数)もアンケート調査し、これらの因子を加えて正確なワクチン有効性を算出した。

 研究の登録者は、HPV 2価ワクチン接種者1355人(74.6%)、非接種者459人(25.4%)で、ワクチン接種者のうち1295人(95.5%)は3回接種を完了していた。

 その結果、ワクチン接種者のHPV 16/18型の感染率は0.2%であったのに対し、非接種者の感染率は2.2%で、ワクチンの有効率は91.9%と高い感染予防の効果があることが判明した。

 特に、初回性交前にワクチンを接種した群では、HPV 16/18型に対する感染予防効果の有効率は93.9%とさらに上昇し、HPV 31/45/52型に対しても有効率67.7%の感染予防効果があることが分かった。

 

 ワクチン有効率は、ワクチンを接種しなかったら罹患していたはずの人が、ワクチンを接種したことで罹患を予防できた確率を示す。

 なお、日本では現在、HPV 2価ワクチン(2009年10月承認)とHPV 4価ワクチン(2011年6月承認)が認可されている。両方とも高リスク型のHPV16/18型を標的としており、4価ワクチンはそれに加えて低リスク型のHPV6/11型も標的としている。さらに、海外ではではすでに高リスク型のHPV 16/18/31/33/45/52/58型と低リスク型のHPV 6/11型を標的とするHPV 9価ワクチンが導入されているが、日本ではまだ未承認だ。
HPVワクチン接種が停止されてから5年が経過 日本の女性が失った恩恵は大きい
 「HPV2価ワクチンは日本人女性においても高いHPV感染を予防する効果があることが明らかになった。HPV2価ワクチンの直接の標的であるHPV 16/18型にHPV 31/45/52型に対する交叉防御効果を加えると、日本人子宮頸がんの80%以上をカバーできる可能性がある」と、研究者は述べている。

 今回の研究は、HPV感染に対するワクチンの予防効果の中間解析だが、研究は現在も継続されており、子宮頸部の細胞診異常や前がん病変に対する予防効果についても引き続き検証を行う予定だという。

 さらに、2020年にはHPVワクチンの接種率が激減した世代が子宮頸がん検診の対象年齢となるため、この世代のHPV感染率と前がん病変発生率がどのように変化しているのかが注目されるとしている。

 HPVワクチンが誕生してから約10年が経過し、海外ではすでにHPVワクチン接種による子宮頸がん(浸潤癌)発生率の減少効果が報告されはじめてきている一方で、日本ではHPVワクチン接種が事実上の停止状態になってからすでに5年が経過している。

 「この間に日本人が失った、ワクチンによる一次予防の恩恵について今一度見つめ直す必要があるだろう」と、研究者は述べている。

 研究は、新潟大学医歯学総合研究科の榎本隆之教授、関根正幸准教授、工藤梨沙特任助教らの研究グループによるもの。詳細は医学誌「Journal of Infectious Diseases」に掲載された。

新潟大学医歯学総合研究科
Bivalent HPV Vaccine Effectiveness in a Japanese Population: High Vaccine-type Specific Effectiveness and Evidence of Cross-Protection(Journal of Infectious Diseases 2018年10月9日)
[Terahata]

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