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認知症の発症を予想する新たなマーカーを発見 久山町研究の成果 九州大学

 九州大学は、認知症の発症を予想するための新たなマーカーを発見したと発表した。
 血液中に「sTREM2」と呼ばれるタンパク質が増えると、アルツハイマー病などの認知症のリスクが上昇することが、ゲノム解析技術の進歩により突き止められた。
認知症のない久山町の高齢住民を10年間追跡して調査
 認知症は全世界で患者数が急増している疾患だ。認知症は、早い段階で発見できれば、進行を遅らせることができ、良好な状態を保つことが可能になる。早期発見のための検査法が求められている。

 九州大学などの研究グループは、脳にあるミクログリアに着目。ミクログリアは、中枢神経(脳と脊髄)にあるグリア細胞のひとつ。ミクログリアが活性化すると、炎症性サイトカインの分泌が増え、神経細胞がダメージを受けやすくなると考えられている。

 ミクログリアにある受容体となるタンパク質がTREM2で、中枢神経系で、ミクログリアの活性化、貪食作用、サイトカイン産生など、恒常性をコントロールしていると考えられている。これが分解され切断されると、可溶型のsTREM2ができる。

 これまでにTREM2遺伝子の変異が認知症の発症に寄与することや、認知症初期から脳脊髄液中のsTREM2が上昇することが分かっていた。

 研究グループは今回の研究で、TREM2に異変が起こりsTREM2が増えると、アルツハイマー病などの認知症のリスクが上昇することを、ゲノム解析技術の進歩により突き止めた。

 研究は、九州大学大学院医学研究院の二宮利治教授、同大学大学院医学研究院の小原知之助教、および京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部の浅原哲子部長らの共同研究グループによるもの。研究成果は国際科学雑誌「Annals of Neurology」オンライン版に発表された。

関連情報
血清sTREM2値が認知症発症のバイオマーカーになることを発見
 久山町研究は、1960年代から、福岡市に隣接した久山町(人口約8,400人)の住民を対象に脳卒中、心血管疾患などの疫学調査を行っている日本の代表的なコホート研究。最近では、認知症についての成果も出始めている。

 研究グループは、認知症のない久山町の高齢住民約1,300人を10年間前向きに追跡し、血清sTREM2レベルと認知症発症の関係、および血清sTREM2が認知症発症の予測能に与える影響を調べた。

 その結果、血清sTREM2値の上昇に伴い、全認知症、アルツハイマー型認知症、および血管性認知症の発症リスクがいずれも有意に上昇することを確かめた。

 血中のsTREM2値の上昇にともない、認知症の累積罹患率は有意に上昇した。これは、血清sTREM2値の高い人では、低い人に比べ認知症を将来発症する確率が高いことを示している。
 さらに、血液中のsTREM2値の上昇にともない、アルツハイマー型認知症と血管性認知症の発症リスクは有意に上昇した。これらから、血清sTREM2値は、認知症発症を予測するための有効な新たなバイオマーカーであることが示された。
 さらに、既知の危険因子と血清sTREM2値を組み合わせることで、将来の認知症発症の予測精度を高めることをできることを突き止めた。

 今回の研究により、ミクログリアを主体とした脳内炎症が認知症の発症に寄与することを明らかにしたものだ。血清sTREM2値が認知症の早期発見の有効な新規バイオマーカーであることがはじめて示された。

九州大学大学院医学研究院
久山町研究(九州大学大学院医学研究院)
Serum soluble TREM2 as a biomarker for incident dementia: the Hisayama Study(Annals of Neurology 2018年11月28日)
[Terahata]

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