ニュース

「世界腎臓デー」 10人に1人が腎臓病の危機にさらされている 早期発見・治療のための戦略が必要

 3月14日は「世界腎臓デー(World Kidney Day)」だった。世界の成人の10人に1人が腎臓病の脅威にされされている。
腎臓病が原因で年間に240万人が死亡
 「世界腎臓デー(World Kidney Day)」は、腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発する国際的な取り組みとして、2006年より国際腎臓学会(ISN)と腎臓財団国際連合(IFKF)により開始された。毎年3月の第2木曜日に実施され、世界各地でイベントが開催されている。

 腎臓病は早期に発見し治療することで予防・改善が可能だ。世界各地でイベントが開催され、「糖尿病や高血圧など、腎臓病のリスクの高い人は、検査を定期的に受けてほしい」と呼びかけられた。

 国際腎臓学会によると、世界の腎臓病の有病者数は8億5,000万人に上り、成人の10人に1人が危険にされされている。慢性腎臓病が原因で年間に240万人が死亡しており、世界の死亡が増えている疾患の第6位で、2040年までに「早死により失われる年数(Years of Life Lost)」の原因の第5位に位置付けられている。

 2019年の「世界腎臓デー」のテーマは「腎臓の健康はみんなのもの」。世界のすべての場所で誰でも腎臓病の検査と治療を受けられるよう、各国政府や保健当局、医療機関などに医療環境を整備することを求めている。

 日本を含む世界中で腎臓病は増えている。「腎臓病を早期発見し治療するために、予防と治療のための戦略が必要です。糖尿病や高血圧など、とくに腎臓病のリスクの高い人が定期的に検査を受け、早期に治療を開始することで、腎不全を防ぐことが必要です。腎不全を防いだり、発症を遅らせることが、医療費の削減にもつながります」と強調された。
定期的に尿検査や血液検査を受けることが大切
 慢性腎臓病は、腎障害を示す所見や腎機能低下が慢性的に続く状態。日本を含む世界中で有病者数が増え続けている。

 慢性腎臓病は心筋梗塞などの心血管疾患を合併しやすく、また症状がないうちに腎機能が低下する。適切な治療を受けず、末期腎不全となり、透析や腎移植が必要になる人が少なくない。いわゆる「隠れ腎臓病」のうちに、早期発見・早期治療をすることが必要だ。

 日本には約1,330万人の慢性腎臓病の有病者がいるといわれている。これは、成人の8人に1人にあたる数だ。また、人工透析を受けている患者も32万人を超えており、その数は毎年1万人ずつ増え続けている。

 慢性腎臓病の主な原因は糖尿病や高血圧で、透析を新たに開始する原因を1年ごとに調べると、糖尿病がもっとも多く42%以上を占める。

 初期にはほとんど自覚症状がなく、貧血、疲労感、むくみなどの症状があらわれたときには、病気がかなり進行している可能性がある。定期的に尿検査や血液検査を受けることが大切だ。
「微量アルブミン尿」検査で糖尿病腎症を早期発見
 慢性腎臓病では、腎臓の老廃物を取り除く糸球体が少しずつ壊れていく。その結果、血液中の老廃物が十分に取り除けなくなったり、尿に漏れないはずのタンパクが尿にまじったりする。一定程度以上に壊れてしまった糸球体は、正常に戻すことができない。

 自覚症状の乏しい慢性腎臓病の早期発見に役立つのが、尿中のタンパク質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査だ。

 クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつであり、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出される。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積される。この血液中のクレアチニンを「血清クレアチニン値」という。

 しかし、糖尿病が原因の慢性腎臓病は、上記の検査だけでは早期発見できない。なぜなら多量のタンパク尿が検出される以前から糸球体が壊れはじめることが多いからだ。

 早期の段階では、タンパクの主成分であるアルブミンがごくわずか尿に混じる。その「微量アルブミン尿」の検査が早期発見には不可欠だ。アルブミン尿は通常の健康診断では検査されない。そこで糖尿病の人は、かかりつけの医療機関でアルブミン尿の検査を3ヵ月から1年に1回受けることが推奨されている。
脳卒中・心不全・心筋梗塞も起こりやすくなる
 腎臓病を防ぐために、なによりも大切なのは良好な血糖コントロールを保つこと。高血圧のコントロールをすることも重要だ。肥満、不健康な食事、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなども、腎臓病の発症に大きく関わる。

 糖尿病は腎臓病の主な原因であり、米国では糖尿病をもつ成人の4人に1人が腎臓病をもっているという。米国糖尿病学会(ADA)は3月27日に「糖尿病のスタンダード・メディカル・ケア 2019年版」を発表した。

 糖尿病患者の合併症、とくに心疾患と腎臓病の予防に焦点をあてて、最新の研究の成果を取り入れ、治療の標準化により糖尿病患者のQOL(生活の質)の向上を目指している。

 「慢性腎臓病が進行すると、透析などの治療が必要になることがありますが、それだけでなく脳卒中・心不全・心筋梗塞なども起こりやすくなります。あなたが腎臓病のリスクが高いかそうでないかに関わらず、ふだんから腎臓の健康について、医療者をはじめとして、家族や友人とも話しておくことが大切です」と、米国糖尿病学会はアドバイスしている。

世界腎臓デー(World Kidney Day)
国際腎臓学会(ISN)
腎臓財団国際連合(IFKF)
一般社団法人 日本腎臓学会
NPO法人 日本腎臓病協会
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2019年09月11日
味覚の秋 「スローカロリー」なスイーツが登場 糖質をゆっくり吸収し、満足感も長持ち
2019年09月10日
毎日の家事が女性の寿命を延ばす 軽い身体活動を積み重ねると死亡リスクが低下
2019年09月10日
健康的な生活スタイルが糖尿病リスクを75%減少 生活改善の指導に大きな余地が
2019年09月10日
認知症患者を介護する家族は睡眠不足になりやすい 睡眠は保健指導で改善できる
2019年09月10日
腸内細菌が不飽和脂肪酸の代謝をコントロール 高脂肪食による肥満を防ぐ働き
2019年09月10日
筋肉の質の低下を決める3つの要因が判明 高齢者の筋肉を維持するために 名古屋大
2019年09月04日
自宅や職場でメタボ判定 アディポネクチン値を測定できる簡易キットを開発 徳島大
2019年09月04日
肥満予防に「ゆっくり食べる」ことが効果的 よく噛んで食べるための8つの対策
2019年09月04日
身体に優しい最適な姿勢「美ポジ」 健康寿命の延伸には腰痛対策など心身アプローチが必要
2019年09月04日
女性の認知症を防ぐために 女性ホルモンの分泌期間が短いと認知症リスクは上昇
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 8,441 人(2019年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶